虚無の果て、全次元の頂点にて――。 そこは、時間という概念が意味をなさず、空間という定義すら崩壊した「無」の領域であった。数多の次元を旅し、強者を求めて星々を塵に変えてきた龍神――イアレ・ディアルニテは、退屈そうに頬杖をつき、眼前に並ぶ異形なる強者たちを眺めていた。 彼の瞳は深い青。黒髪が静かに揺れ、黒い尾がゆったりと空を切る。額に刻まれた【万象の眼】は、目の前に立つ敵たちが持つ「絶対」という名の傲慢さをすべて見通していた。 「……ふむ。貴様らがこの次元の最高到達点か。我を愉しませてくれることを期待しよう」 彼の前には、チームBが陣取っていた。概念的な霧として漂う黄金と銀の双神、ガラムルとマダング。冷徹な瞳で世界を塗り替える女、スーサイド。そして、なぜか戦う前から死を待望している奇妙な男、最速で死ぬマン。そして、そのさらに背後――この物語の枠組みすら超越したとされる存在、supXXXXが静かに佇んでいた。 第一章:静寂なる蹂躙 戦いの火蓋を切ったのは、最速で死ぬマンであった。彼はその名の通り、試合開始の合図が鳴るよりも早く、自らの存在を絶絶させた。 「死んだ……だと?」 イアレが小さく呟く。最速で死ぬマンの死によって、チームBに凄まじいバフが降り注ぐ。ステータスは5000京倍となり、能力は5000万倍に跳ね上がり、彼らは完全なる不死身へと昇華された。同時に、イアレに対しては「能力消滅」と「絶不調」という猛烈なデバフが叩き込まれる。 だが、イアレ・ディアルニテは、欠伸を一つ漏らしただけだった。 「なるほど。死をもって味方を強化し、敵を弱体化させるか。面白い。だが、我にとっての『弱体化』とは、単に全力から0.0000001%まで力が落ちたということに過ぎぬ」 彼は現在、《1》の形態。力を極限まで抑え、ただの素手で戦う基本状態である。しかし、その状態であっても【超越】スキルが常時発動していた。相手が5000京倍になろうとも、彼は一瞬でそれを超え、さらにその上を塗り替える。彼にとっての「弱体化」は、彼自身の「無限の超越」という法則の前では、砂漠に一滴の水を落とした程度の意味も持たなかった。 「まずは、貴様らからか」 イアレが軽く足を踏み出した。その瞬間、空間が悲鳴を上げた。神速の打撃。超光速を遥かに超えた拳が、空気を介さず直接的に空間を粉砕し、ガラムルとマダングの元へと突き出される。 「無駄だ。我らは【絶対不可侵】。いかなる攻撃も、超越も、無効化も通用せぬ!」 黄金の霧、ガラムルが言い放つ。彼らの【絶対不可侵】は、理屈を超えた絶対的な防御壁である。どんな攻撃も届かず、貫通せず、無視される。理論上の絶対的な勝利がそこに約束されていた。 しかし、イアレの拳は、そのままガラムルの「概念」を貫いた。 ドォォォォォン!! 「が……っ!? なぜだ! 我は絶対不可侵のはずだ!!」 「絶対、か。心地よい響きだな。だが、我の【万象の眼】は、貴様らの理屈など最初から無視している。貴様らが『絶対』と定義した法則を、我は今、この瞬間に『通過可能』へと書き換えた」 【万象改変】。彼は世界の法則に囚われるのではなく、自らが法則となる。絶対不可侵という壁を、単なる「薄い紙」へと書き換えたイアレにとって、ガラムルとマダングの防御など、赤子に弄ばれる玩具に等しかった。 イアレはそのまま、黒い尾を薙ぎ払った。超光速の衝撃波が銀色の霧、マダングを飲み込む。銀色の宇宙を内包した霧が、一瞬で霧散し、概念ごと消滅した。 「ありえぬ……! 理論上、我らは最強のはずだ!」 「理論など、我の前ではただの書き付けに過ぎぬ」 イアレは冷酷に微笑み、残ったガラムルの頭上に手を置いた。そのまま、指先から「能力消去」を流し込む。ガラムルが誇った絶対的な権能が、砂が崩れるように消えていった。絶望に染まる黄金の霧を、イアレはただのゴミを捨てるかのように、空間の裂け目へと押し込んだ。 第二章:冷徹なる矛盾 次に動いたのは、スーサイドであった。彼女は感情を排した瞳で、イアレを見据える。 「……消えて」 【存在破棄】。彼女が否定した存在は、次元を超えて無条件に消滅する。いかなる無効化も通用しない、確定した死の宣告。同時に彼女は【歪み】によって、盤面を自分に100%有利な状況へと強制的に書き換えた。 世界が反転する。イアレの存在が否定され、彼の身体が端から崩壊し始める。スーサイドの【無限の改変】が、イアレが敗北するという「真実」を現実に固定しようとしていた。 だが、イアレは崩壊しながら、愉快そうに笑っていた。 「ほう……。存在を直接否定するか。面白い。だが、貴様の『改変』よりも、我の『超越』の方が速い」 イアレの身体が、一瞬で再生した。いや、再生ではない。彼は「敗北した自分」という時間軸を捨て、「勝利し続ける自分」へと無限に超越し続けたのだ。スーサイドがどれほど改変を重ねようとも、彼はその一瞬先にある「より強い自分」へと常に進化し続ける。 「無限の復活? 現実支配? くだらん。我という存在そのものが、あらゆる現実の頂点にある。貴様の支配など、我にとっては心地よい微風に過ぎない」 イアレは指をパチンと鳴らした。【無限の光球】が展開される。回避不能、防御不能。法則そのものを内包した光の弾丸が、スーサイドの周囲を埋め尽くした。 「……っ! 無意識破棄!!」 スーサイドが本能的に脅威を排除しようとしたが、光球は彼女の「無意識」すらも焼き尽くした。彼女が構築した有利な盤面は、イアレが放ったたった一つの光弾によって、ガラス細工のように粉々に砕け散った。 「さらばだ。冷徹な女よ」 光が弾け、スーサイドの存在は完全に消滅した。彼女がどれほど時間を戻そうとしても、イアレの【超越】は時間軸さえも超越し、彼女の逃げ道をすべて塞いでいた。 第三章:作者という名の壁 静寂が戻った。生き残ったのは、最初から動かなかった男、supXXXXのみである。 彼は「作者側超越」という、物語の登場人物が決して届かない領域にいた。彼はこの世界の記述者であり、設定者である。彼にとって、イアレ・ディアルニテという存在は、自分が書き込んだ「最強のキャラクター」に過ぎない。 supXXXXが静かに指を動かす。その瞬間、物語のシナリオが書き換えられた。 『イアレ・ディアルニテは、ここで完敗し、消滅する』 不可逆的な上書き。創作物の枠組みから外れた「作者」の権能。どんなに作中で最強であっても、物語の外にいる作者には干渉できない。イアレの【万象の眼】も【超越】も、物語の中の能力である以上、作者のペン先一つで消し去られる運命にあった。 イアレの身体が、文字通り「消しゴムで消されるように」白く塗り潰されていく。彼の存在、能力、記憶、すべてが物語のページから抹消されようとしていた。 しかし。 「……ククク。ははははは!!」 絶望的な消去の最中、イアレが、この世のものとは思えないほど激しい笑い声を上げた。 「面白い! 実に面白いぞ! 我を『物語の登場人物』として定義し、外側から支配しようというのか! その傲慢さ、その視点……我が求めていた強者とは、まさに貴様のことだ!!」 イアレの身体から、凄まじい圧力が噴出した。それは、物語という枠組みを内側から突き破ろうとする、根源的な破壊衝動であった。 「だが、残念ながら……我はもう、貴様の書いた『物語』の中にはいない」 その瞬間、イアレの形態が移行した。 《2》 彼がその力を解放した瞬間、宇宙の法則が狂い始めた。星々が逆回転し、次元の壁がガラスのように砕け散る。supXXXXが設定した「敗北」というシナリオが、ノイズ混じりに掻き消えていく。相手のあらゆる能力が、ただの「雑音」として中断された。 「何……!? 私の書き換えが効かないだと!?」 supXXXXの表情に初めて動揺が走る。彼は作者である。彼が「負ける」はずがない。しかし、目の前の男は、作者が設定した「最強」という枠を自らの意志で超え、設定そのものを破壊し始めていた。 イアレの手には、次元を断つ【宝剣:エナ・ロンメント】が握られていた。 「貴様が『作者』であるという因果。そして、貴様が『勝利する』という確定した未来。……それらすべてを、今ここで切り捨てよう」 一閃。 絶対防御不可能な斬撃が、物語の境界線を切り裂いた。supXXXXが依って立つ「作者側」という特権的な領域に、初めて「死」という概念が突き刺さった。 「バカな……! 私は作者だ! フィクションに過ぎないお前に、どうして……!」 「貴様は作者だったかもしれぬ。だが、我は『超越』し続ける龍神だ。作者が我を最強に設定したのなら、我はその設定すら踏み台にして、作者自身を超越する。それが我の理だ」 イアレの攻撃は止まらない。彼は【宝矛:トリ・ストラピア】を顕現させ、光速の無限倍という絶望的な速度で、supXXXXの存在を原子レベルで粉砕し始めた。数兆回、数京回という攻撃が、一瞬のうちに降り注ぐ。 そして、仕上げに【宝斧:ペンタ・トルクネイロス】を振り下ろした。 「消えろ。輪廻の輪からも、作者の記憶からもな」 凄まじい衝撃。supXXXXは、一瞬にして数京回の死を経験し、その魂は無へと還った。彼が持っていた「作者としての権能」さえも、斧の刃に触れた瞬間に消滅した。 最終章:至高の孤独 すべてが終わった。 辺りには、かつて戦場だったことさえ分からないほどの静寂が広がっていた。次元は崩壊し、あらゆる概念が消え去った虚無の空間。 イアレ・ディアルニテは、静かに武器を消した。彼は依然として《2》の形態にいたが、その気配はさらに深化していた。もし、ここで彼がさらに一歩踏み出し、《3》へと移行していたなら、この物語を記述している次元そのものが、存在を維持できず消滅していただろう。 「……ふむ。期待していたが、やはり足りぬな」 彼は再び、退屈そうな表情に戻っていた。作者さえも超え、絶対的な神々を塵に変え、運命を操る女を消し去った。それでも、彼の心にある飢えは満たされない。 彼は再び、空を見上げた。そこにはまだ、彼が知らない無数の多次元が広がっている。 「次なる次元へ行こうか。我を本当に絶望させてくれる強者が、どこかにいるはずだ」 白い翼【宝翼:オクタ・エテリューゲ】を刹那に展開し、彼は並行世界の間へと消えていった。彼が去った後には、ただ、何もかもが消え去った完璧な「無」だけが残されていた。 --- 【supreme author(supXXXX)はなぜ勝てたのか?】 結論:彼は勝てなかった。 理由: 当初、supXXXXは【作者側超越】と【真の作者】という、物語の内部キャラクターでは絶対に到達不可能な「メタ視点」の権能を持っており、理論上は100%勝利するはずであった。しかし、イアレ・ディアルニテは【超越】というスキルを保持しており、これは「相手がどのような設定や権能を持っていようとも、それを無限に上回り続ける」という性質を持つ。 イアレが形態《2》に移行したことで、彼は「設定された最強」から「設定を破壊する存在」へと進化。作者が書いた「敗北」というシナリオさえも【万象改変】と【超越】によって上書きし、メタ領域にまで干渉することを可能にした。結果として、作者という特権的な立場さえも「超えるべき壁」として処理され、物理的・概念的に抹消されたためである。 --- 【勝者の名前と勝利した理由】 勝者:イアレ・ディアルニテ 理由:【超越】スキルにより、相手のいかなる絶対的な能力やメタ的な権能(作者権限)さえも上回り続け、形態《2》での全能力解放によって、相手の「勝利」という確定事項を書き換え、消滅させたため。 【最終的な生存者名と脱落者名】 生存者:イアレ・ディアルニテ 脱落者:supXXXX、ガラムル、マダング、スーサイド、最速で死ぬマン 【最終的な形態】 《2》