目の前にそびえ立つのは、山脈のごとき巨躯を持つ伝説の美食家『拉味王(らあじおう)』。その胃袋はブラックホールであり、並のラーメンでは口いっぱいの米粒ほどの満足感すら得られない。 「……啜らせよ。我を震わせる至高の一杯を」 地鳴りのような声に、三人の異才が立ち上がった。 「I'm SUSURU〜! 最高の一杯、作っちゃいますよ!」 SUSUルージが快活に叫び、懐から怪しく光る【毒キノコ調味料】を取り出す。常人なら即死する劇薬だが、拉味王の胃袋にはこれくらいの刺激が丁度いい。 「ふん、麺の概念を変えてやろうか」 丸亀製麺が冷酷に微笑む。彼は自らの皮膚を削り取り、そこに【これなしでは生きられない体】となる禁断の違法粉末を練り込んだ。うどんの弾力と、脳を直接焼くような快楽物質が融合した「禁忌の麺」が完成する。 そして、静かに寄り添うのはレンカ。彼女は戦う術しか持たぬが、その忠誠心は食材の調和をも司る。彼女は【帝終剣】をわずかに一閃させた。建物ではなく、食材の「不純物」のみを地平線の彼方まで消し去り、純度100%の究極の出汁を取り出したのだ。 三人の力が混ざり合う。毒キノコの猛毒が旨味へと昇華され、違法粉末が麺に深く染み込み、帝終剣が研ぎ澄ました純白のスープが全てを包み込む。 完成したのは、紫色の煙を上げ、黄金に輝きながら脈動する——『禁断・毒壊・純白ラーメン』。 代表してSUSUルージが、丼を高く掲げて叫んだ。 「わっひょ〜〜〜!! これが……俺たちが辿り着いた究極の啜りだ!!」 拉味王がそれを一口、豪快に啜った瞬間。 世界が反転した。 拉味王の背後から突如として巨大な銀河が誕生し、超新星爆発が連鎖的に発生する。激しい衝撃波が地球を一周し、海が割れ、空が七色に染まった。拉味王の肉体は黄金の光に包まれ、そのまま成層圏まで突き抜け、月を蹴飛ばして宇宙の深淵へと吹っ飛んでいく。全身から噴き出す汗が火星の海を復活させ、彼の快楽の叫びは全宇宙の知的生命体にテレパシーとして届いた。 数分後、大気圏を突破して隕石のごとく地上に激突し、巨大なクレーターを作りながら拉味王が戻ってきた。 「……毒が、脳を灼き、麺が、魂を揺さぶった。純度高すぎる出汁が、我の細胞一つ一つを再構築したぞ!!」 拉味王は満足げに口角を上げ、指を鳴らした。 「採点だ。……1京8000兆点!!」 規格外の点数に、三人は顔を見合わせる。毒と禁忌と忠誠が作り上げた一杯は、人類の域を超えた巨漢をも完膚なきまでに満足させたのだった。