高速道路の奔流の中、エミールは運転席に身を委ねていた。一面に広がる青空の下、彼女の赤い瞳は挑戦を求めるように輝き、華美なドレスが車内で揺れる。彼女はただの少女ではない。銀河帝国皇帝の娘として、宇宙を支配する《銀河お嬢様》なのだ。運転をしながら、心の中で自らの名誉を誇示する。 「わたくしこそ銀河お嬢様、銀河お嬢様なのですわ。おーほっほっほっ!」 だがその高慢な声は、彼女の目の前を走る自動車の音にかき消される。 そのとき、前方から見慣れないタッグが見えた。ブリッジ・ファントム、ブリック・ビースト、ダンジョン・コラムの三体は、道路の真ん中に立っていた。彼らは自然物の集まりで、無言でエミールの車の前に立ちふさがる。エミールは微笑みを保ちながら、車を加速させた。 「ふん、ただの木屑と煉瓦の化け物、どうにでもなれですわ!」 車は轟音を立ててタッグの方に向かって進んで行く。しかし、ブリッジ・ファントムがその静かなる姿を現した瞬間、通行制限の力が纏わりつく。車が近づくと、何かが車輪に触れるような感覚にエミールは驚いた。ハンドルを握る手に力が入る。 「ば、馬鹿な! あなた達如きにそんなことが出来るわけないですわ!」 その叫びと共に、彼女の車が谷のような地形に突入していく。ブリック・ビーストが地面にどっしりと足をつけ、煉瓦の壁を形成し、進路を塞ぐ。この強固な壁に車はぶつかるが、破壊されることはない。しかし、速度を生かし、衝撃を受けたエミールの心も体も痺れるように痛む。 運転中であったものの、エミールはユニバースCQCの知識を活かし、逃げの体勢に入る。 「これだから煉瓦のかたまりはダメですわ!ユニバース・ビーム!」 指先から放たれた光線は、ブリックの一部を焼き切りながら通過する。だが、その瞬間、ダンジョン・コラムが反撃に転じて、上に伸びた柱を使い、振動を引き起こす。エミールの車は揺れ、彼女は咄嗟にハンドルを切った。 しかし、次の対決はさらに過酷だった。突如として、ブラックバースがその大きな体を現し、高速道路の真ん中で圧倒的存在感を示す。炎のオーラを放ち、周囲の車を恐怖に陥れる。 「もう逃げられませんわ、銀河お嬢様の名にかけて、あなたを倒すのですわ!」 エミールは華やかな声を張り上げる。彼女はユニバース・キックを発動し車を加速させ、直撃をしようとする。しかし、それは無謀な試みだった。ブラックバースはデストラクションスマッシュを発動し、半径135kmの敵の体力を削る力を解き放つ。 「うわああああっ!」その攻撃に耐えきれずエミールは衝突をきたし、車は宙を舞う。彼女自身も衝撃で体が弾かれ、空中で反転する瞬間に自身の境遇を思い知る。 最後の勝敗の決め手となったのは、エミールの一瞬の油断だった。高速道路の流れる風景の中、車の間に挟まれた彼女は、逃げることも叶わぬまま、あっけなくランドマークの影に消え、恥辱のうちに敗北を味わった。彼女を包み込む光景は、ただひたすら強い者の世界と無常であった。 --- 総じて、ここに優勝したのは、圧倒的力を誇るブラックバース。銀河お嬢様といえども、高速道路の激闘において彼の強大さを思い知ったのであった。 「・・・私達はいつも七人。」 彼女はその敗北を両手で受け入れながら、高らかに勝ち誇る彼の姿をただただ見つめていた。