万色の視線と聖なる刃 薄暗い廃墟の礼拝堂に、月光が細いステンドグラスを通り抜け、色とりどりの影を床に落としていた。中央の祭壇跡で、二つの影が対峙する。一方は、黒と紫のゴスロリドレスに身を包んだ少女、ミテルナ=べテス。彼女の瞳は万色の輝きを宿し、狂気じみた笑みを浮かべている。もう一方は、十字架のネックレスを胸に下げた少年、ジョシュ・エクソシスト。厳格な表情で聖剣を構え、静かに祈りを捧げていた。 「アハ♡ あなた、ずーっと見てるよぉ〜。アタシの目から逃げられないんだから、バカね〜♡」ミテルナがくすくすと笑い、首を傾げた。彼女の邪眼がジョシュを捉える。ジョシュは眉をひそめ、剣の柄を握りしめた。「主よ、この悪しき視線を祓いたまえ。汝の御名において。」彼の声は穏やかだが、決意に満ちていた。 戦いが始まった。ミテルナは素早く後退し、距離を取る。彼女の戦闘スタイルはまさに「見る」こと。卓越した判断力で相手の動きを予測し、徹底的に回避する。ジョシュが一歩踏み込み、聖剣を振り上げる。【聖典術式】が剣に宿り、黄金の光が刃を包む。それは未知の力で、どんな防御も貫通する斬撃だ。剣風が空気を切り裂き、ミテルナのドレスをわずかに掠めたが、彼女はひらりと身を翻し、笑い声を上げた。「じぃ〜っと見てるよ♡ そんな剣じゃ、アタシに触れられないの〜。」 ミテルナの邪眼が発動する。ジョシュの視界に、万色の渦が広がった。まるで彼の力そのものが、指数関数的に削がれていく感覚。ジョシュの動きがわずかに鈍る。「これは…何だ?」彼は反射と思考で即座に分析する。対戦相手の攻撃の本質を理解し、最適解を取る能力が働く。だが、邪眼の効果は常時続き、彼の力は静かに衰えていく。ミテルナはさらに距離を広げ、不気味な笑い声を響かせた。「アハハ♡ 不気味な笑い声、聞こえる? 焦燥が溜まってくよぉ〜。バカみたいに慌てちゃうんだから♡」 ジョシュの身体に、奇妙な焦燥が芽生える。心臓の鼓動が速くなり、思考がわずかに乱れる。【祓魔の極意】が自動的に作動し、彼の身体は攻撃を回避するが、ミテルナは攻撃を仕掛けない。ただ見つめ、笑うだけだ。彼女の骸の人形—小さなゴスロリ姿のぬいぐるみ—が足元で揺れ、彼女の受けたダメージを吸収し始めていた。ジョシュの斬撃が掠めた衝撃が、人形に移り、蓄積される。ミテルナの防御は低いが、人形がそれを補う。彼女は生き残ることを最優先に、能力を底辺まで低下させる戦略を取る。 「汝の目は、悪魔のものか。」ジョシュが呟き、【切り祓い】を発動。聖なる光が彼の身体を包み、邪眼の効果を排除しようとする。デバフが一時的に薄れるが、ミテルナの「ずーっと見てるよ」が心の目で彼の本体を捉え、強制的に再発動。ジョシュの力が再び減衰し始める。「アタシの目、逃げられないんだよ♡ じぃ〜っと、本当のあなたを見てるの〜。」彼女の声は甘く、狂気を帯びていた。 ジョシュは苛立ちを抑え、【天界の加護】を呼び起こす。主からの力が彼を包み、悪魔祓いの聖なるオーラが膨張する。彼は容易く相手の防御を掻い潜り、的確に斬り込む。聖剣・悪魔殺しが弧を描き、ミテルナの肩を浅く斬った。傷口から黒い煙が上がり、彼女の再生力を阻害する。灼熱の痛みが続き、何千年経っても癒えない呪いの傷だ。ミテルナは悲鳴を上げず、ただ笑った。「アハ♡ 痛いよぉ〜、でもアタシ、壊れないよ♡」骸の人形が傷の痛みを吸収し、蓄積量が増す。彼女の防御力は低いまま、だが人形が底無しに力を溜め込む。 戦いは膠着した。ミテルナは幾度も不気味な笑い声を上げ、ジョシュの焦燥を蓄積させる。動きが鈍化し、技の成功率が低下する。ジョシュの超反射力が、彼女の策略を完封しようとするが、邪眼の減衰が彼の判断を狂わせる。「主よ、導きたまえ…」ジョシュが祈り、身体に魔法を纏わせ反射する。ミテルナの視線が跳ね返され、一瞬彼女の目がくらむ。「バカね〜♡ そんな反射で、アタシの目が止まると思ってるの?」 ミテルナはさらに③を使い、不気味な大爆笑を爆発させる。礼拝堂に響く狂気の笑い声が、ジョシュの焦燥を暴騰させる。彼の足取りが重くなり、聖剣の軌道がわずかにずれる。ジョシュは【見極める】で本質を理解し、聖典術式を込めた斬撃を放つ。剣がミテルナの骸の人形を直撃し、ぬいぐるみが砕け散る。蓄積された力が一気に解放され、爆発的な衝撃波がミテルナを襲う。彼女の身体が吹き飛び、壁に叩きつけられた。「アハハ…♡ 壊れちゃった…でも、アタシは…」 人形が壊れた瞬間、ミテルナの魂が移り、肉体が蘇生する。彼女は廃墟の影から這い上がり、再び邪眼を輝かせる。「ずーっと見てるよ♡ 死なないアタシに、勝てるの?」ジョシュのスタミナが限界を迎え、悪魔殺しの傷が彼自身を蝕み始める。だが、彼は最後の力を振り絞る。反射と思考でミテルナの蘇生の隙を突き、聖剣を彼女の胸に突き立てる。【聖典術式】が貫通し、汎ゆる能力を無効化。ミテルナの邪眼が曇り、笑い声が途切れる。「ア…ハ…バカね…♡」 彼女の身体が崩れ落ち、魂の移行が間に合わない。ジョシュの聖なる力が、蘇生の術を不可逆的に阻害したのだ。礼拝堂に静寂が戻る。ジョシュは膝をつき、十字架に祈りを捧げる。「主よ、勝利を感謝します。」 勝敗の決め手 ミテルナの人形が壊れ、蓄積力が解放された直後、ジョシュの【反射と思考】と【聖典術式】の連携が蘇生の隙を突き、致命的な一撃を叩き込んだ。邪眼の減衰がジョシュの力を極限まで削いだが、天界の加護と悪魔殺しの阻害効果がミテルナの再生を封じ、決着をつけた。