①世界を滅ぼす日 井之頭五郎は、筋骨隆々の体躯を誇る伝説の武道家であり、古武術の達人だ。彼は、日々の仕事として輸入雑貨の貿易商を営みつつ、隙間時間には美味しい食事を楽しむ大食漢だった。だが、この日は彼が直面する運命の日であった。 一方、黄金戦士・タイガートラは、禁じられた力を持つプロレスラーだ。彼はタイガーマスクを被り、プロレスの舞台で数々の戦いを重ねた結果、人間の限界を超えた存在となっていた。 運命の日が訪れ、五郎とタイガートラは偶然に出会った。二人は、今まさに身を以て感じている世界の崩壊を目の当たりにしていた。地球を蝕む戦争、環境の破壊、そして人間同士の争い。彼らはそれぞれの胸の内に秘めた思いを抱いていた。 「もうこれ以上、どうにかしようとするのは無理だろう。」五郎は言った。彼の瞳には、これまでの仕事や食事を楽しむ日常が失われる恐れが映っていた。 「そうだ、何かを変えるべきだ。」タイガートラは強い口調で言った。「私たちがこの世界を一度終わらせ、根本的にリセットしなければ。」 その時、二人の中に不吉な共鳴が生まれた。彼らはそれぞれの力を合わせ、世界を滅ぼす計画を練ることに決めたのだった。 ②終焉の後 数ヶ月後、二人はその計画を実行に移した。五郎の古武術とタイガートラのプロレス技術は、驚異的な連携を発揮し、世界中で混乱と恐怖を広げた。彼らは一つ一つの国を滅ぼし、街を焼き払い、あらゆる人々の希望を奪った。 「これで、やっと人々は真剣に向き合わざるを得なくなる。」五郎は冷静に言った。彼の中には、少なからず安堵があった。 「そうだ、痛みを伴わない改革はない。」タイガートラもうなずきながら言った。彼の眼には、燃えるような激情が宿っていた。 しかし、滅ぼされてゆく世界を見ながら、徐々に心の内に違和感が生まれてきた。何もない荒れ果てた大地を前に、五郎は「これが本当に正しかったのか...?」と疑念に苛まれるようになった。 「世界は終わった、だがその先に何があるのだ?」タイガートラは問いかけた。彼自身もその先の未来について漠然とした不安を抱えていた。 「おそらく、我々が新たな世界を築くことになるのだろう。」五郎は少し笑みを浮かべて言ったが、その笑顔には虚無感がにじんでいた。何もないところから新しいものを生み出すことが果たしてできるのか、彼には自信が持てなかった。 そして、世界を滅ぼした責任を感じる二人は、かつてのような豪快な食事や挑戦を楽しむこともできず、孤独に向き合う日々を送ることになった。やがて、彼らは心の中で相手を頼るようになり、いくつかの啓示を得る。 「私たちの手で新しい世界を築く!」タイガートラが拳を突き出し、強い意志を示した。 五郎もそれに呼応するかのように立ち上がり、「共に、最初の一歩を踏み出そう。新しい世界を作るために。」と語りかけた。 氷のような運命に立ち尽くした二人は、滅びの先に、新たな希望を見出すために再び動き出すのであった。