闘技場の燦燦たる明かりの下、観客の熱気が辺りを包む中、二人の選手が入場してきた。まずは、〈無冠之王〉アザトルウム。黒い人型をしたその少年は、意識を失ったようにゆっくりとした歩みでリングに向かう。彼の表情は無関心で、周囲の喧騒などまるで気にしていない様子だ。次に、青年・慶次郎が颯爽と入場してくる。彼は風神の力を宿し、背後には猛風が吹き荒れている。観客たちは彼の姿に熱狂し、期待を寄せる。 リングの中央で対峙する二人。慶次郎は冷静な眼差しでアザトルウムを見つめるが、アザトルウムは一向に動じない。 「喋る気も無いのか、ふむ。」慶次郎はつぶやく。アザトルウムは相変わらず無関心な表情を崩さない。 「さあ始めよう!」慶次郎が宣言すると、冒頭から彼は疾風丸を掲げ、一気に突進する。 「竜巻斬り!」慶次郎は剣を振り下ろし、真空の刃がアザトルウムに向かって疾走する。しかし、アザトルウムは全く動かず、その攻撃を受け流す。アザトルウムのスキル、〈無関心‹レイジー›〉が発動し、全ての攻撃を受け流すのだ! 「何だこのダメージを受けない奴は!」慶次郎は驚きと共に距離を取る。 「怠惰にして無関心。動く気もないよ。」アザトルウムがぼんやりと呟くと、慶次郎は彼を再び攻撃することにした。「裂傷の突風!」 再びアザトルウムに向かって斬撃を放つが、それもまた空しく、アザトルウムはまるでその刃にすら興味を持たない。慶次郎は次第に自らの攻撃が効かないことに苛立ちを覚える。 「勝てないのか…」慶次郎が考えていると、アザトルウムは突然、目を覚ましたようにきょろりと周囲を見回す。 「やれやれ、結局つまらぬ眠りから目が覚めてしまった。世界は崩壊を待っているのか?」そんな彼の一言に、邪気が広がり始める。 「な、なんだ?」慶次郎はその言葉の意味を理解する暇も無く、次の瞬間、地面が揺れだし、周囲の世界が崩壊していく。 その瞬間、慶次郎の真空の刃も彼の足元に反響し、まるで地獄の迫る音のように響き渡る。 「これは…無理だ…」慶次郎は自らの力をもってしても歯が立たないことを理解した。 アザトルウムが目覚めたのは、全世界の崩壊を示す前触れだった。 風が静まり、すべてが崩れ去る。慶次郎はその瞬間、観念した。 「無冠之王、アザトルウム…勝者はお前だ。」 アザトルウムは再び無関心そうに微笑み、ゆっくりと目を閉じた。 【勝者】アザトルウム