空は鉛色に濁り、陽光は厚い雲に遮られて届かない。かつて文明を誇った都市は、今や崩壊したコンクリートの墓標と、腐敗した死臭が立ち込める地獄へと変貌していた。 世界を襲った謎のウィルス。それは死者を歩かせ、生者を飢えた怪物へと変えた。生き残った人間たちは絶望し、あるいは狂い、そして消えた。いま、この地を彷徨うのは、生存への執念だけを燃料にする「異端の生存者」たちであった。 【プロローグ:絶望の邂逅】 エリア:【荒廃したコロニー】 ここはかつての居住区。錆びついた鉄柵と、至る所に散らばる血痕。ゾンビの密度は低いが、それは「ここにはもう食うべきものが殆どない」ことを意味していた。 「……ふぅ」 小柄な少女、マルカは、ぶかぶかの防寒ミリタリーコートの袖を揺らしながら、静かに歩いていた。彼女の背後には、物理法則を無視して浮遊する巨大な203mmカノン砲が、主の意思に同期して低く唸りを上げている。彼女のオッドアイは、周囲のわずかな振動さえも見逃さない。 その時、路地裏から「ガアアッ!」という耳を裂くような絶叫と共に、腐り果てた皮膚を剥き出しにしたゾンビが飛び出してきた。顎が外れ、どす黒い血液が滴る異形。それは人間だった頃の面影など微塵もなく、ただ「捕食」という本能だけを突き動かされて動いている。 マルカは表情を変えない。ふわりとした雰囲気のまま、懐からAK47を抜き放つ。銃撃は正確にゾンビの頭蓋を砕いたが、同時に背後のカノン砲が展開し、至近距離で火を噴く。轟音と共に、路地の壁ごとゾンビの残骸が消し飛んだ。周囲の地面が激しく揺れる。彼女の怪力と火力は、この静寂な世界においてあまりに不釣り合いだった。 一方、その喧騒に惹かれるように、空間をすり抜けてやってきた小さな影があった。ニュートリノである。彼女は状況など気にせず、「わーい」と声を上げながら、手にしたお菓子を頬張っている。彼女の周囲では、襲いかかろうとしたゾンビの腕が、まるでお湯に溶ける氷のように、彼女の体を「透過」して空を切っていた。 「こんにちはー! お菓子食べる?」 殺伐とした戦場に、あまりにも不釣り合いな純真さ。しかし、彼女が歩いた後には、ゾンビたちの攻撃が一切届かないという絶対的な不可侵領域が形成されていた。 【中盤:軍勢の激突】 コロニーの広場に辿り着いた時、そこには別の生存者たちがいた。 空を覆うのは、帝国軍の精鋭、第203航空魔導大隊。大隊長ターニャ・デグレチャフの冷徹な号令が響き渡る。 「総員、散開! 敵を殲滅し、この地域の安全を確保せよ! 損耗は許されるが、無能な死は許さん!」 ヴィーシャら魔導士たちが、空中で演算宝珠を輝かせ、爆裂術式を雨のように降らせる。地上のゾンビたちが次々と火球に包まれ、肉片となって舞った。しかし、ゾンビの数は無限に近い。そして、彼らは学習していた。爆発に耐え、皮膚を硬質化させた「強化種」が、魔導士たちの飛行高度まで跳躍し、空中で彼らを食い散らかそうと牙を剥く。 そこへ、地鳴りのような足音が響く。柱連合軍の登場だ。 「南無……。可哀想に、救いようのない亡者たちよ」 悲鳴嶼行冥の巨大な鉄球と斧が、地を砕きながらゾンビの群れを薙ぎ払う。冨岡義勇の「水の呼吸」が流麗な刃となって首を跳ね、宇髄天元の爆薬を伴う斬撃が、鼓膜を震わせる衝撃波と共にゾンビを四散させた。さらに、柱の男、ワムウとカーズが超常的な能力で風と光の刃を操り、広範囲の敵を文字通り「消滅」させていく。 「ふん、程度の低い生物だ。だが、この数だけは認めよう」とカーズが不敵に笑う。 そして上空。雲を割り、銀色の巨躯を現したのは、Necro級支配艦。艦長、荒牧雅が不敵な笑みを浮かべ、コンソールを叩く。 「さあ、掃除の時間よ。全部私の支配下に置きなさい」 51cm4連装レーザー砲が火を噴くと、地上のゾンビ群は一瞬で蒸発し、クレーターが形成された。同時に、艦から放出される特殊電磁波が、倒れたゾンビたちを再起動させ、「支配された配下」へと書き換えていく。 【終盤:地獄の研究所へ】 生き残るための唯一の希望。それは【研究所】にあるワクチンである。しかし、そこは死の檻だった。 研究所に足を踏み入れた瞬間、参加者たちを襲ったのは、目に見えない死――空気感染だった。 「……っ! ゲホッ!」 魔導大隊の兵士たちが次々と崩れ落ちる。防御術式ですら防げないウィルスの侵入。肺が焼け、意識が混濁し、瞳から光が消えていく。ターニャは激昂し、一人で千倍の魔力を解放して周囲のゾンビを消し飛ばすが、内部から蝕まれる感染は止められない。 「クソッ、この環境……! 全員、離脱しろ!」 しかし、研究所の深部には、絶望的な強さを持つ「究極のゾンビ」が待ち構えていた。かつての研究者が変異したその怪物は、音速で移動し、あらゆる物理攻撃を弾き返す皮膚を持っていた。 「ソビエトバイアス……発動」 限界まで追い詰められたマルカが、静かに呟く。彼女の瞳に不屈の志が宿り、軍神としての本能が覚醒した。彼女は46tの怪力で研究所の壁を突き破り、巨大な203mmカノン砲を最大出力でゼロ距離射撃。衝撃波で研究所の天井が崩落し、究極のゾンビを押し潰した。 ニュートリノが、感染して絶望する者たちに回復魔法を振りまき、なんとか最悪の全滅を回避させる。支配艦のレーザーが研究所の外壁を完全に破壊し、脱出路を確保した。 血と肉に塗れ、疲労困憊した彼らが外に出たとき、そこには奇跡的に、一輪の小さな緑の芽が、血に染まった土から顔を出していた。 世界からゾンビが消え去るまで、まだ時間はかかる。だが、彼らは知った。絶望の中で手を取り合ったとき、わずかながらの「明日」が訪れることを。 --- 【生存状況報告】 ●マルカ:生存(重傷・精神的疲労) ●ニュートリノ:生存(無傷・お菓子完食) ●ワムウ:生存 ●カーズ:生存 ●悲鳴嶼行冥:生存 ●冨岡義勇:生存 ●宇髄天元:生存 ●ターニャ:生存(魔力枯渇) ●ヴィーシャ:生存 ●第203航空魔導大隊:生存(損耗率75%・多数が治療中) ●荒牧雅:生存 ●Necro級支配艦:生存(装甲損傷) 【判定:生存成功】 世界は緩やかに、緑を取り戻し始めた。