赤い光、再び 草原の彼方に高くそびえる赤い夕日が、柔らかな風と共にそっと草原を撫でていた。その空気は湿った香りを許容し、広がる草の海をさらに美しく引き立てている。戦の記憶と共に流れる静寂の中に、過去の悲しみが息づいていた。人々はその場所へ足を運び、訪れる者の心に重くのしかかる歴史の一瞬を感じた。 一人の女性、紅目はその草原に立っていた。彼女の目は、薄暗がりの中で赤く充血し、無意識に何かを見つめているようだった。彼女の隣には巨大な戦闘機体「RED」が立っている。まるで静止した巨獣のように、その周囲を囲んでいる草花たちが、彼女の心の葛藤から逃れようとするかのように、細い茎をしなわせていた。 機体「RED」は、極めて高耐久であるにも関わらず、そこに立つことで一種の圧力を孕んでいた。彼女はレバーを握りしめ、冷静に戦場で自らを作り上げた記憶を回想した。あの日の戦いの後、彼女はさらに大きな力を求め続けていた。憧れに近づくため、勝利を掴むために。戦争の夢から逃れるため、彼女はただのすり抜ける影のようになってしまったかもしれない。 過去の戦場で、紅目は数え切れない戦友たちと共に様々な戦闘を繰り広げてきた。左腕の武装「緋」や、右腕の武装「紅」は彼女にとてつもない力を与えてくれたが、それと引き換えに彼女の心には多くの傷跡が残った。彼女は誰もかれも守ろうとして、最終的には一人残されることが多かった。 祈りが届くことなどないのか。この草原に立つことで、彼女はいつも考えさせられた。あの親友の顔、仲間たちの声、彼らの思いを背負いながら、自分だけの時を生き続けること。 「私は…どうするべきなのか…」 小声で呟いた言葉は、穏やかな風に乗せられ、広がっていった。草原を渡る風は彼女の耳を打ち、彼女の心の声を優しく包み込む。 ふと目を閉じる。透き通る空気の中で、彼女は自身の心の中に終わることのない戦の記憶が存在することに気がついた。 彼女はゆっくりと足を運び、草原の中央に屹立する石碑の下に立った。その石碑は多くの名前を刻んでいる。戦争の犠牲者たちの名前が、時間によって少しずつ消えかかっている。それでも彼らの記憶は、草原にも、空にも、彼女の心にも生き続ける。 「今日はもう…何も捕まえられなかった。だから、せめてこの人たちのために、私の思いを届けたい。」 彼女は両手を胸の前で組み、目を閉じ、静かに深呼吸をした。戦士として立ち向かった日々が彼女を強くもしたが、同時に彼女の心は砕けていくのを感じた。 「どうか、この石碑に眠る者たちが安らかでありますように。彼らの無念が少しでも晴れますように。」 彼女は心の奥から湧き上がる思いを石碑に捧げた。たった一人の祈りでいい、彼女はそう願った。やがて、彼女の祈りが草原に広がり、空を埋めるように流れる。一瞬の静寂、次の瞬間、突然空から無数の星が降り注ぐように輝きだした。 星は草原の上を舞舞って、さながら希望の象徴となるかのようだった。彼女は目を見開き、周囲を見つめた。光の粒が自由に飛び跳ね、暗闇に点在する星々が彼女の心にも触れ、優しさを注ぐ。彼女は一瞬、胸が締め付けられるような感覚に襲われた。最期に託した思いが今、彼女の周りで生きているのだと。 「ヨルタの意志」の力を受け、彼女の心に誓いを新たにする。彼女は自身の味方となった星々を見上げ、空に向かって両手を広げた。 「私だけじゃない、みんなが私を支えている。共にこの暗闇を乗り越えよう。」 彼女の瞳に映る星々は、彼女に新たな勇気を与えた。これからの未来に向かって、旅路は続く。彼女はきっと、少しずつでも前に進むだろう。今、彼女は一人ではないのだから。 --- 獲得した効果: ヨルタの意志