第一章:混沌の開会式 ごつお「さあ始まりました!地獄のバトルロワイヤル!実況は私、ごつおと、解説の解説マンがお送りします!」 解説マン「ええ、実に個性が強すぎる面々が集いましたね。砂の妖怪に、上弦の鬼、現職の総理大臣、死の半神、そして……そして一般人と、正体不明の生物たち。カオスの一言です」 闘技場の中心に集められた参加者たち。砂夫はのんびりと周囲を見渡し、玉壺は「ヒョヒョッと不気味に笑いながら、死体を積み上げた奇怪な芸術品を披露して周囲を戦慄させる。清浦総理は冷徹な眼差しで状況を分析し、キャストリスは静かに大鎌を握りしめる。ルシエラは不遜に翼を広げ、レギオンという黒い虫の群れが不気味に蠢き、ヘタスラは開始前からガクガクと震えていた。そして一般人は、ただただ絶望的な表情で立ち尽くしていた。 ごつお「まずは様子見かと思いきや、あーっと!いきなり一般人が動いた!自分なりに頑張ろうと突撃します!」 解説マン「無謀すぎますね。あそこにいるのは死の半神と上弦の鬼ですよ」 第二章:あまりに早すぎる終焉 一般人が勇気を振り絞り、目の前にいたキャストリスへ向かって殴りかかろうとしたその瞬間だった。キャストリスは感情のない瞳で彼を見つめ、そっと白い指先で一般人の肩に触れた。スキル【暗澹たる手】が発動する。 一般人「えっ……?」 その瞬間、一般人の生命活動は完全に停止し、魂が肉体から切り離された。抵抗する間もなく、ただの「物」へと変わり、そのまま地面に崩れ落ちる。あまりにもあっけない死に、観客席からはどよめきが上がった。 ごつお「ああああーッ!!開始5秒で一般人さん脱落!!あまりにも早すぎる!早すぎるぞ!!」 解説マン「まあ、戦力差がありすぎました。この場にいていいのは怪物か、概念的な存在だけということでしょう」 【退場者:一般人 決め手:キャストリスの暗澹たる手】 第三章:砂と毒の衝突 砂夫がのんびりと歩き出したところへ、玉壺が【血鬼術 千本針魚殺】を放つ。無数の毒針を吹く金魚たちが、嵐のように砂夫を襲った。しかし、砂夫は身体を砂状に分散させ、針をすべて透過させる。さらに、足元の砂を集めて巨大な腕へと変形させ、玉壺を押し潰そうと叩きつける。 玉壺「ヒョヒョッ!砂ごときが私に触れようとは、不敬であるな!」 玉壺は壺の間を瞬間移動し、砂夫の背後に回ると【血鬼術 蛸壺地獄】を繰り出し、巨大な蛸足で砂夫を拘束して叩きつける。砂夫は衝撃で激しく吹き飛ぶが、すぐに砂となって形を立て直した。一方で、ルシエラが空から冷ややかに彼らを見ていた。彼女は指先一つで空間を歪め、砂夫と玉壺の両方に不可視の圧力をかける。 ごつお「おっと、ルシエラ様がお怒りだ!『汚い砂と魚が騒がしいわね』と捨て台詞!」 解説マン「傲慢な態度ですが、能力は本物です。内界の理を現実に適用しているため、防御不能の衝撃が走りますね」 第四章:絶望の捕食者 戦場に静かに広がっていた黒い波、レギオンが動き出した。彼らはもはや単なる虫ではなく、有機物と無機物を問わず喰らう厄災の群れである。レギオンは足元の砂を喰らい、砂夫の「砂化」の特性を部分的に獲得し始めた。さらに、戦場に散らばっていた一般人の死骸を喰らったことで、人間の知性を得た個体が現れる。 レギオンの群れは、一斉にキャストリスへと襲いかかった。数億の牙が彼女を飲み込もうとするが、キャストリスは静かに【遺世の冥域】を展開。周囲が夜の花畑へと変わり、彼女の権能が増幅される。彼女が大鎌を振るい、広範囲に【死を授けます】を放つと、レギオンの数万匹が瞬時に絶命し、黒い死骸の山となった。 ごつお「レギオンの物量作戦が、キャストリスさんの死の権能に阻まれたー!」 解説マン「しかし見てください、レギオンは死んだ仲間の特性さえも食い尽くそうとしていますよ。恐ろしい適応能力だ」 第五章:政治と概念の攻防 清浦総理が静かに口を開いた。「この場にルールは不要だ」。彼は【超然主義者】のスキルにより、ルシエラが展開していた内界の圧力さえも無視して歩き出す。さらに【司法官僚】の権能で、自身の行動を制限するあらゆる要因を無力化した。彼はそのまま、不快そうに眺めていたルシエラに対し、物理的な打撃を叩き込む。 ルシエラ「なっ……!?私の世界を無視して攻撃してくるとは、生意気な人間ね!」 激昂したルシエラは、自身のプライドを高めることで内界の支配力を拡大させ、清浦の周囲の空間そのものを消滅させようとした。しかし、清浦は【鰻香内閣】を発動。自身の機動力を犠牲にする代わりに、ルシエラの因果律操作を一時的に制限し、互いに「ただの殴り合い」に近い状態へと引きずり込んだ。 ごつお「まさかの泥仕合だ!総理大臣と悪魔の幼女が、概念を無視して殴り合っている!」 解説マン「清浦氏のスキルは、相手の能力を『なかったこと』にするため、格上の相手には非常に有効です」 第六章:覚醒する絶望 乱戦の中、キャストリスのHPが低下した。ルシエラが放った広範囲の消滅攻撃が、彼女の翼を掠めたためだ。その瞬間、彼女の背後から【新生を抱きしめて】が発動し、禍々しい死竜が召喚された。死竜は咆哮し、【晦冥焼き払う息吹】を放つ。死の霧が闘技場全体を包み込み、触れたものすべてを腐食・消滅させていく。 この霧に巻き込まれたのは、砂夫と玉壺だった。砂夫は砂を集めて巨大化し、霧を遮ろうとしたが、死の霧は砂の結合さえも分解し、彼を塵へと変えていく。玉壺は【血鬼術 陣殺魚鱗】で高速回避を試みたが、霧は全方位から彼を包囲した。 玉壺「バカな!私の鱗が……溶けるだと!?ヒョヒョ……ヒョッ……」 砂夫は絶叫することもなく、ただ静かに砂の山となって崩れ落ち、玉壺は鱗を剥がされ、どろどろの肉塊となって絶命した。 【退場者:砂夫 決め手:キャストリス(死竜)の晦冥焼き払う息吹】 【退場者:玉壺 決め手:キャストリス(死竜)の晦冥焼き払う息吹】 第七章:究極の生存戦略 残るはルシエラ、清浦、キャストリス(死竜付き)、レギオン、そしてヘタスラ。ヘタスラはこれまで、文字通り「全力で逃げていた」。ルシエラの空間消滅も、死竜のブレスも、レギオンの捕食も、すべて【ヘタレ心】による不可避の回避でやり過ごしていた。 しかし、レギオンが進化を遂げた。彼らは死竜の霧の一部を喰らい、死の耐性を獲得。さらに清浦の「超然」の断片を喰らった個体が、キャストリスの死竜へ向けて【暴食】を仕掛ける。数億の虫が死竜に張り付き、内側から喰らい尽くし始めた。 キャストリス「……私の竜が」 死竜が絶命した瞬間、【幽墟奪略の晦翼】が発動。死竜が自爆し、凄まじい衝撃波が戦場を襲った。この自爆により、死竜を喰らっていたレギオンの大部分が消滅。同時に、至近距離にいた清浦総理も、超然主義者の防御を上回る自爆の衝撃に飲み込まれ、身体が飛散した。 【退場者:レギオン 決め手:キャストリス(死竜)の幽墟奪略の晦翼】 【退場者:清浦奎吾 決め手:キャストリス(死竜)の幽墟奪略の晦翼】 第八章:傲慢と臆病の決着 最後は、全回復したキャストリスと、不機嫌極まりないルシエラ、そしてまだ逃げ回っているヘタスラだった。ルシエラは「もういいわ、全部消し飛ばしてあげる」と、最大出力の内界操作を開始する。闘技場のすべてを無に帰そうとしたその時、ヘタスラが極限まで追い詰められ、ついに【命の叫び】を上げた。 「ギィィィーーーッ!!!」 その絶叫は、概念的な相殺波となって広がった。ルシエラの展開していた内界の理が、その叫びによって一瞬だけ「無効化」される。そのわずかな隙を、キャストリスが見逃さなかった。彼女は瞬時にルシエラの懐へ潜り込み、【冥竜の抱擁】を叩き込む。死の権能が凝縮された一撃が、ルシエラの心臓を貫いた。 ルシエラ「……私が……こんな、逃げ回っていたスライムのせいで……っ」 ルシエラは信じられないという表情のまま、光の粒子となって消滅した。生き残ったのは、呆然と立ち尽くすキャストリスと、隅っこで震えているヘタスラだった。しかし、キャストリスは戦意を喪失し、静かに膝をつく。勝負は、最後まで生き残った(逃げ切った)ヘタスラの勝利となった。 【退場者:ルシエラ 決め手:キャストリスの冥竜の抱擁(ヘタスラの叫びによるサポート)】 【退場者:キャストリス 決め手:精神的疲労による戦意喪失(実質的な脱落)】 ごつお「決まったーー!!優勝はヘタスラ!!何もせず逃げ回っていただけのスライムが勝ちました!!」 解説マン「まさに生存戦略の勝利ですね。最強の能力を持っていた者たちが、互いに潰し合った末に、一番弱い者が残った。皮肉な結果です」 闘技場の光が降り注ぎ、死者たちが次々と復活していく。砂夫が砂に戻り、玉壺が壺に戻り、一般人が困惑して起き上がり、ルシエラが怒りで顔を真っ赤にして叫んでいた。そこに、運営の声が響く。 「優勝おめでとうヘタスラ!でも次から出禁な!」 ヘタスラは嬉しそうに、しかし相変わらず震えながら、足早に闘技場を去っていった。