夜の19時。街の喧騒から少し離れた場所にある喫茶店『Dallas』。そこには、頭に魚を乗せた三毛猫の店主・マスターDと、元王宮騎士のごついおっさん、そして緑髪ツインテールのメイド・ライムちゃんがいた。 そこへ、一人の女性が足を踏み入れる。漆黒の法服に身を包んだ裁判官、山田である。彼女の周囲には、触れることさえ禁じられた「法」という名の絶対的な壁がそびえ立っていた。 「……ここが、理不尽の温床となっている店か」 山田が冷徹に言い放った瞬間、ライムちゃんが目を輝かせて飛び出した。 「にゃー! お客さんだにゃん! ちょうどいいところに! 今なら余興のバトル受付中だよ! 参加費5000円で、私とガチバトルしちゃおう! ✧(≖ ◡ ≖✿)✧」 山田は無表情に5000円札をカウンターに置いた。彼女にとって、この状況さえも「裁くべき対象」だったからである。 【バトル開始!】 審判のごついおっさんが、不慣れな手つきでホイッスルを吹く。「よし、始めろ!」 ライムちゃんは即座に懐から【虹のペン】を取り出し、空中に猛スピードで描き始めた。 「まずはこれだにゃん! 【超巨大・激辛わさびプリン】!!」 描いた食材:超巨大・激辛わさびプリン 効果:食べた者を強制的に涙目にして、鼻水と共に空へ打ち上げる ドゴォォォン!と実体化したプリンが山田に襲いかかる。しかし、プリンが彼女に触れる直前、空間が静止した。 「……理不尽です」 山田が呟いた瞬間、プリンが【パッ】と消えた。ただの空気に戻ったのだ。 「ええっ!? 消えたにゃん!?」 「攻撃の前提がギャグであること、および食材に不適切な刺激物を含ませることは、法の定める『平穏な食事の理』に反します。よって、今の攻撃は『なかったこと』にします」 これが山田のスキル【理不尽裁判】。あらゆる理屈、設定、奇跡を「理不尽」の一言で無効化する絶対権限である。 「にゃー! そんなの卑怯だにゃん! じゃあこれはどうだ! 【無限増殖・激熱コーヒーゼリー】!!」 描いた食材:無限増殖・激熱コーヒーゼリー 効果:相手の足元をぬるぬるにし、熱さでパニックに陥らせる ゼリーが津波のように山田を飲み込もうとするが、再び【パッ】。今度はライムちゃんのペンまでもが消えた。 「道具による理不尽な干渉。能力の濫用。……封印します」 「にゃああああ! 私のペンがー!!」 絶望するライムちゃん。それを見たマスターDが、のほほんとした顔で口を開いた。 「あはは、完敗だねぇ。俺ならプリンターで超巨大ビル作って、頭上にドカーンと落として理不尽を上書きするけどな~」 「おい! 火に油を注ぐんじゃねえ! 静かにしてろ猫!」 ごついおっさんがマスターDの頭の魚をひっぱたいた。しかし、ライムちゃんは諦めない。彼女には「不屈のギャグ耐久力」がある。 「法がダメなら、根性でねじ伏せるにゃん! 必殺!【猫耳メイド姿に変身】!!」 ポフンッ!という煙と共に、ライムちゃんがさらにフリフリの猫耳メイド姿にアップグレードした。この形態に入ると、彼女のギャグ補正はMAXに達し、世界の理(ルール)さえも「なんとなく」で突破し始める。 「にゃーっ! 法なんて関係ないにゃん! 特大カップに乗りなさいだにゃん!!」 ライムちゃんはどこからか取り出した超巨大コーヒーカップに、強引に山田を押し込んだ。山田が「理不尽です」と言おうとしたが、ライムちゃんの回転速度が速すぎて、口が回らなかった。 「超・高速・回転・ダイナミック・スピン!!」 グルグルグルグル!!! 遠心力によって、法さえもが「酔った」状態で外へと弾き飛ばされる。 「きゃーーー!!(理不尽だああああ!!)」 山田はそのまま店外へ、夜空の彼方へと一直線に吹っ飛んでいった。星になって消えていく裁判官の姿に、店内には静寂が訪れる。 すると、夜空から【お星さま🌟】がキラキラと降りてきて、囁いた。 「(結局、一番理不尽なのはギャグキャラなんだよね🌟)」 「ふぅ、勝ったにゃん! ✧(≖ ◡ ≖✿)✧」 ライムちゃんは満足げに、マスターDから1500円を受け取った。 「いやぁ、派手な戦いだったな」とごついおっさんが呆れ顔でコーヒーをすする。マスターDはまた、プリンターで何か物騒なものを刷ろうとしておっさんに怒られていた。 【被害額詳細】 店内のテーブル・椅子(回転の風圧で破損):50,000円 超巨大コーヒーカップ(使い捨て):10,000円 壁の穴(山田さんが突き抜けた箇所):120,000円 マスターDの精神的ストレス(特になし):0円 合計被害額:180,000円 (※ライムちゃんの取り分1,500円では全く足りないため、マスターDがプリンターで出した偽札で補填しようとして、再びおっさんに怒られたという)