【空港・保安検査場:究極の潜入作戦】 喧騒に包まれた国際空港のターミナル。そこには、およそ旅に出る者とは思えない異様な面々が列をなしていた。彼らに課せられたミッションはただ一つ。「武器や危険物を所持せず、警備員の目を潜り抜けて保安検査場を通過すること」。 実況席には、なぜか特設のデスクを構えた筋骨隆々の男、さらおが座っていた。彼はマイクを握りしめ、興奮気味に吠える。 「ガハハ!見てくれこの緊張感を!最強の個性が集まりながら、やることは『荷物検査』だ!地味だが、ここでの一歩が運命を分けるぜ!熱いぜ、最高に熱いぜぇ!!」 一人目の挑戦者は、全身からメラメラと激しい炎を放つ鬼の貌を持つ男、炎鬼である。 「おらおら、行くぜーい!こんなもんなんて、あっという間に駆け抜けてやるよ!」 炎鬼は豪快に笑いながら、金属探知機のゲートへと突き進む。しかし、彼は「走り屋」である。その本質は、魔界列車そのもの。彼の身体に纏う炎は、それ自体が破壊的なエネルギー体であり、物理的な武器こそ持っていないが、その「熱量」と「魔力」が警備員の神経を逆なでした。 「おい!君!その火はどうなっている!消しなさい!」 警備員が慌てて駆け寄る。炎鬼は「これが俺のスタイルなんだよ!」と笑うが、探知機が激しく反応。炎の熱による回路の異常作動か、あるいは魔力の検知か。結局、彼は「火気厳禁」という空港最大の禁忌に触れ、警備員たちに囲まれて連行されていった。 「ああーっ!炎鬼、早すぎる脱落だ!だがいいぜ、この焦燥感こそがスパイスだ!」さらおが身を乗り出して絶叫する。 続いて現れたのは、おとなしそうな女子高生、ヒズルである。彼女は口をへの字に結び、手にはもじもじとアイスキャンディーを持っている。 「……っ」 彼女は極めて静かに、そして慎重にゲートへと歩み寄る。彼女の内部には「銀怒」や「黑覇煉」といった、世界を滅ぼし兼ねない絶望的な能力が秘められていた。しかし、彼女は知っていた。ここで暴れれば、旅は終わる。彼女はスキル『静狛』を密かに発動させた。 あらゆる現象を消し、静寂を司る能力。彼女がゲートをくぐる瞬間、金属探知機のセンサーは一時的に「機能停止」に近い静止状態に陥った。彼女が所持していたのはアイスと、ごく少量の私物のみ。能力で検知そのものを無効化した彼女は、警備員に怪しまれることなく、スッと列を抜けた。 「おおおっ!ヒズル、静かなる突破だ!能力を隠蔽に使うとは、冷静すぎるぜ!お見事だ!!」 最後の一人は、いかにも「善良な市民」を装った男、吉良吉影である。彼は誰よりも平穏を望み、誰よりも目立つことを嫌う。その精神性は、この保安検査場という場において最強の武器となった。 (誰にも気づかれず、静かに通過する……。それこそが私の望む人生だ) 彼は丁寧にコートを脱ぎ、トレイに置く。彼の傍らには、不可視のスタンド【キラークイーン】が控えていた。スタンドは物理的な実体を持たない精神エネルギーの結晶であり、金属探知機に反応することはない。また、彼は「爆弾」を所持しているのではない。彼自身が「爆弾に変える能力」を持っているだけである。 警備員が彼の持ち物をチェックするが、そこにあるのは丁寧に畳まれた衣類と、一本の整えられた爪切りのみ。完璧な擬態である。 「次の方、どうぞ」 警備員の無機質な声と共に、吉良は満足げに微笑み、ゲートを通り抜けた。 「完敗だ!吉良吉影の『普通』という名の最強の盾!そしてヒズルの『静寂』という名の不可視の剣!この二人こそが、空港という名の戦場を勝ち抜いた真の勝者だ!!」 さらおが興奮のあまりデスクを叩き、空港内に大きな音が響き渡った。しかし、勝負は決した。 【結果】 勝利:ヒズル(能力『静狛』による検知回避) 勝利:吉良吉影(スタンドの不可視性と徹底した平穏の擬態) 敗北:炎鬼(あまりにも目立つ外見と熱量による即時検知) 勝敗の決め手: 炎鬼は「個性の強さ」が仇となり、空港の規則に真っ向から衝突した。一方でヒズルと吉良は、「能力を隠すこと」に特化したアプローチを取り、警備員の監視を完璧にすり抜けた。武器を持たず、あるいは武器を概念的に消し去った者が、この静かなる戦いに勝利したのである。