①世界を滅ぼす日 青空と白い雲が広がる晴れた日、それが世界を滅ぼす日だった。いつもの静かな町に響くのは、かすかな音と共に徐々に近づいてくる謎の影。飛行船「白鯨」が、空に浮かんでいた。全長400メートルの壮大なその姿はまるで、白い霧を纏った巨大な鯨のようだ。その霧は町全体を包み込むように漂っている。 「これが、白鯨の力だ。」小さな兵士たちが厳しい表情で集まっている。リーダーであるハリアリの太郎は、朝日を浴びた立派な胸を張っていた。彼の背後には、彼を支える仲間が居る。 「隊長、あれは本当に……?」ちーちゃんが目を見開いて恐れおののく。 「そうだ。今、私たちがその「白鯨」に立ち向かわなければ、町は終わりだ。」太郎は自信を持って答える。その彼の瞳は、強い意志に燃えていた。 周囲の空気が重くなり、全員はその場の恐怖を感じ取った。「白鯨」の影が落ちると、町は恐怖で震えた。彼の部下たちは、戦闘の準備を始める。 すると、「白鯨」はその白い霧をひときわ大きく撒き散らし、その中から白光が放たれ、みるみるうちに光を浴びたものたちが白化していく。 「後ろだ!避けろ!」みーちゃんが叫ぶが、白光の前では防御も回避も無意味だった。周囲には次々と白化した者たちが現れ、その存在を消していく。 まもなく、太郎たちもその影響を受け始める。 「先に行きやがれ!俺はここで戦う!」太郎は叫び、仲間たちを励ますが、彼自身もその白光に包まれていく。 まさしく、世界が終わりを迎えた瞬間だった。全てが白に包まれ、騒音は消え、ただ静けさが広がる。彼らが知っていた世界は、もう存在しない。 --- ②終焉の後 白い霧の中から目を覚ました時、太郎は信じられない光景を目にした。かつての町は、ただの白い白化した空間へと変わっていた。 「太郎、大丈夫?」ちーちゃんの声が聞こえた。彼女も白化が進行している様子だが、まだ心は残っているようだった。 「俺たち……勝ったのか?」太郎は、自身の声に疑念を持った。「全てを消し去ってしまったのに、本当に勝ったと言えるのか?」 「だが、これが私たちの選択だった。誰もが望んでいた終焉だったさ。」ちーちゃんは微かにほほ笑む。 「でも、どうして俺たちはこんなことを……」太郎は思わずうなだれる。 「この世界は、破滅を迎えた。私たちが強くなることで、より美しい新しい世界を作るためだ。そう言ったじゃない。」 いいえ、彼は実感していた。人々は変わり果てていた、彼らの視界には白い霧と静けさしかなかった。太郎は心の奥で、何が正しかったのかと問う。しかし思い返すと、彼らだって各々の理由があった。 「私に言わせれば、今は新しい始まりだ。」と言ったのは、ぴかちゃんだった。彼女は白化が進んでいるとはいえ、光る眼差しを持ち続けていた。 「この先、私たちがどう進めるかは、私たち自身次第だ。」 どこか不安な空気の中、太郎は心の中で決意を固める。「新しい世界を築く。それが俺たちの次の目的だ。」 彼らは静かに手を取り合い、白い世界の中で新たな決意を持つ。白鯨によって滅ぼされた世界だが、彼らの勇気はまだそこにあった。 この後、彼らの旅がどうなるのか、誰が知るだろうか。霧の先には、何が待っているのだろうか。