騎士団の烏合の戦い:兵長と烏使いの奇妙な対決 プロローグ:戦うはずの男たち 日本防衛軍対魔特殊騎士団の訓練場は、いつも通り埃っぽく、風がマントをはためかせる場所だった。今日は特別な日。クロル兵長と星烏鷹辟が、模擬戦で腕を競うことになっていた。理由? 誰も覚えていない。ただ、上層部が「連携を鍛えろ」とか言ってたらしい。でも、そんな大層なものじゃなく、ただの暇つぶしだ。クロルは緑のマントを翻し、二本の鋭い剣を腰に下げ、立体機動装置のガスを軽く確認した。鷹辟はコートを羽織り、笛を首にかけ、肩に赤い目の烏を乗せていた。烏の群れは周囲の木に止まり、じっと二人の様子を窺っている。 「ふん、烏野郎か。邪魔だな、さっさと片付けて掃除の時間にしたいぜ」クロルが吐き捨てる。内心では、(掃除か…昨日部下の靴下が散らかっててイラついたな。あいつら、ちゃんと畳めよ。戦う前にそんなこと考えてる俺も大概か?)と、すでに戦闘モードから逸れている。 鷹辟は穏やかに微笑む。「兵長、今日は手加減しますよ。烏たちも楽しみにしているんです」そう言いながら、(この笛の音、昨日野鳥観察してたら近所のスズメが反応して近づいてきてさ。戦闘じゃなくてピクニックに使いたい気分だな…烏たち、ごめん、集中しろよ俺)と思いつつ、笛を軽く吹いて烏たちを呼び寄せる。 開戦:烏の乱舞と兵長の苛立ち 合図の笛が鳴り、戦いが始まった。鷹辟の烏たちが一斉に飛び立つ。黒烏の群れが40羽ほど、訓練場の空を埋め尽くし、鋭い嘴と爪でクロルを狙う。赤烏のリーダー5羽は鷹辟の周りを旋回し、威嚇するように赤い目を光らせる。鷹辟は拳銃を構えるが、すぐにナイフに切り替え、烏たちに暗号を囁く。「左翼、旋回! 右翼、急降下!」 クロルは立体機動装置を起動。ガスが噴射され、体が宙に舞う。高速で回転斬りを繰り出し、黒烏数羽を一閃で切り落とす――いや、模擬戦だから羽を少し掠めただけだ。「ちっ、烏の羽根が散らばって掃除が面倒くせえ!」と毒づくが、頭の中は(この回転、昨日飯食ったラーメンのスープが回ってるみたいだな。太麺が絡まって吐きそう…いや、集中しろ、烏だ烏!)と、夕飯の記憶に囚われている。 鷹辟は烏の動きを見ながら、笛を吹く。赤烏の一羽がクロルの背後から急襲し、爪を立てる。クロルは本能的に回避、剣を振り回すが、烏は素早い。「いい動きだ、兵長!」鷹辟が褒めるが、内心(この赤烏、昨日卵の時から可愛がったのに、戦いで傷つけたらどうしよう。野鳥観察日記に『戦友として活躍』って書きたいけど、実際はピヨピヨ言ってる姿が恋しいな…笛の音、間違えたらカラオケみたいになるぞ)と、烏の赤ちゃん時代を回想してニヤニヤ。 「連携なんか取れねえよ、烏野郎! お前の鳥ども、部下みてえに散らかってんじゃねえか!」クロルが叫び、立体機動で鷹辟に迫る。剣が閃き、鷹辟のコートを掠める。鷹辟は防御的に後退し、黒烏を盾に使う。「烏たち、フォーメーションB!」だが、烏の一羽がクロルのマントに絡まり、二人とも転びそうになる。「おい、こら! 俺のマント、洗濯したばっかなのに!」クロルが文句を言う。鷹辟も「すまん、こいつら興奮しすぎだ。昨日餌やりすぎたかな…あ、餌の残りがポケットにあるぞ、戦いの最中に食うか?」と、ポケットをごそごそ。完全に戦闘から脱線。 中盤:脱線と独り言の嵐 戦いは進むが、誰も本気じゃない。クロルは高速斬りで烏を散らすが、一羽が顔に止まり、嘴でつつく。「くそっ、目に入る! こいつ、俺の眉毛狙ってんのか? 部下の髭剃り忘れよりひどいぞ!」と、剣を振るう手が止まり、眉毛の手入れを思い浮かべる。(オルト団長の髭、綺麗だよな。あいつ、話しかけてくるけど煩わしいだけだ。俺は一人で掃除したいのに…烏の羽根、掃除機で吸ったら楽か?) 鷹辟は赤烏を呼び戻し、笛の暗号で攻撃を指示。「上空から! えいっ!」烏がクロルを包囲するが、クロルは回転斬りで突破。鷹辟の拳銃が一発鳴るが、烏の羽根に当たってしまい、「あちゃー、烏の羽が焦げた。ごめん、昨日野鳥観察でスズメに撃ったこと思い出したけど、あれは蚊取り銃だったな。戦闘じゃなくてバーベキュー気分だぜ」と笑う。烏たちが混乱し、互いにぶつかり合う。「おいおい、烏同士で喧嘩すんなよ。俺の部下みたいだな、連携下手くそ」とクロルが呆れ、鷹辟も「はは、こいつら家族みたいなもんだから。卵の孵化の時、みんなで温め合ってさ…あ、孵化の話、兵長にしたら掃除のコツみたいに聞こえるか?」 二人は一時休戦みたいに座り込み、烏が周りを飛び回る。「兵長、烏って意外と賢いですよ。笛の音でダンスみたいに動くんです」鷹辟が言う。クロルは剣を磨きながら、「ふん、俺の剣は一人で十分だ。協力? オルトがうるせえだけだぜ。あいつ、俺のこと親しいと思ってんのか知らねえが」とぼやく。内心、(この訓練場、埃っぽいな。終わったら部下の部屋掃除してやるか。いや、俺の時間返せよ、烏の羽根集めで一苦労だ)と雑念連発。鷹辟も(この笛、戦闘以外でメロディー吹いたら烏たちが歌い出しそう。野鳥観察のBGMにぴったりだな…戦い、忘れてた)と、笛を口にくわえて適当な曲を吹き始める。烏たちがリズムに合わせて飛び、訓練場がピクニック会場と化す。 クライマックス:勝敗の決め手となったシーン そんな脱線続きの戦いが、再び熱を帯びたのは、クロルが苛立ちを爆発させた瞬間だった。烏の一羽が彼の剣に絡まり、立体機動装置のガスを誤作動させる。ガスが噴射し、クロルが制御を失って鷹辟に向かって突っ込む! 「うわっ、こら! 掃除の道具じゃねえぞ、この装置!」クロルが叫ぶが、内心(この勢い、ラーメン屋のチャーシュー追加みたいに止まらねえ…部下の靴下より厄介だ!)。 鷹辟は烏たちを呼び戻そうとするが、赤烏のリーダーがパニックでクロルのマントを掴み、三人で絡まる大乱闘に。「わっ、兵長、落ち着いて! 烏、離れろ!」鷹辟が笛を吹くが、音が乱れて烏たちがさらに混乱。決め手はここ――クロルの本能的な回避が発動。命の危機(?)を感じ、剣を捨てて体を捻り、鷹辟と烏を押し倒す形で着地。鷹辟はコートが破れ、烏たちは羽を乱すが、クロルは無傷で立ち上がる。「ふん、終わりだな。烏ども、散らばりやがって」 鷹辟は地面に座り込み、笑う。「参りました、兵長。烏たちが負けましたよ」内心(この乱れっぷり、野鳥観察の失敗記録に追加だな。卵の時より可愛いかも…)。クロルは剣を拾い、「次は掃除から始めろよ」と吐き捨てるが、(勝ったけど、疲れた。オルトに報告すんのか? 煩わしいな)とぼやく。烏たちは鷹辟の肩に戻り、赤い目でクロルを睨むが、誰も傷ついてない。模擬戦はクロルの本能回避と烏の混乱が勝敗を分け、なんちゃって勝利で終わった。 エピローグ:日常の戻り 訓練後、二人は部下たちに囲まれ、クロルは「連携なんかクソくらえだ」と言い、鷹辟は烏を撫でる。「次は野鳥観察に誘おうかな」そう呟く。戦いは終わったが、二人の雑念は永遠に続くのだった。