《舞い降りた虚無の使徒》ボイドは、壊れかけた現実世界の中心に立ち、周囲の虚無が螺旋状に渦巻く様子を見つめていた。風もなく静まり返った空間の中、彼の赤い目は冷静な光を失わない。対峙するのは、吸血姫【黒猫】、威皇帝アルバロス、8代目女王エイラ、そして第16モビルスーツ突撃小隊。彼らはそれぞれの能力を駆使し、ボイドとの戦いを挑むために集まった。 「全てを無に還す……」ボイドの声は高圧的で、彼の言葉は周囲の虚無に吸い込まれていく。彼の周りには虚無の影響が薄れていく気配があった。 【残り60秒】 「始まったか……」アルバロスは凛と立ち、崇剣アルビオンを手にした。周囲の敵を見渡し、彼は戦闘の流れを読んでいた。 【残り50秒】 ボイドの発動した虚無の力が、瞬時に相手の能力を制限する。その瞬間、【黒猫】が動きを止めた。「何、これ……」彼女が感じたのは、もはや剣を振るう力が奪われることだった。 「私の力は……」冷徹な彼女が驚愕する姿は、冷静な計算の方程式が崩れたように見えた。 【残り40秒】 アルバロス、エイラ、そして小隊も、その時何が起ったのか理解できない。ボイドの目が周囲を捉えた瞬間、彼らの記憶が失われていく。エイラは目の前にいる仲間の顔が次第にぼやけていくのを感じた。「何が……」その不安が、彼女の表情に一瞬だけ混乱をもたらした。 【残り30秒】 崩壊する現実、足元から地面が崩れ、もはや立ち続けることさえままならない。隊長機は、その光景を見て部隊編成を指示しようとするが、その声も拒まれる。彼らは虚無の影に捕らえられ、辛うじて立ち尽くしていた。 「我々は……消えるのか?」隊長機の心に恐怖が芽生えた。 【残り20秒】 重力が消失する。彼らは空中に浮かび、制御を失っていく。小隊のメンバーは、空中で混乱し始め、結束したはずの軍勢は一瞬にして分断されてしまった。 「生き残るために、力を合わせないと!」最後の希望を胸に、隊長機は仲間に呼びかけるも、彼の声は虚無の中に消え去った。 【残り10秒】 全ての空気が消えつつあった。彼らは息をすることさえ困難になり、意識が薄れていく。黒猫の冷たさを保ったままの目が、最後の力を振り絞る。「私にできるはず……」だが、その瞬間、彼女もまた過去の記憶を手放してしまっていた。 【残り0秒】 ついにカウントはゼロに達し、世界が崩壊した。ボイドは冷静な顔を保ちながら、虚無の力で対戦相手の存在を消し去っていく。彼の目の前で、仲間達が次々と消え、最後の視界には永遠の空無が残る。 「世界よ、無に帰れ……」ボイドの言葉が響くと同時に、存在は全て消え、宇宙もまた虚無の象徴となった。 彼が抱いていた野望は実を結び、何も存在しない宇宙が創られる時が訪れたのだった。