深夜、静寂の豪邸。その裏口にて、Aチームのフォーくんは薄暗い影に身を潜め、周囲を見つめていた。彼の目は冷静で、既に作戦が頭の中に描かれている。そこに待機しているのは、暗殺者としての実績をもつ彼だけではない。彼の盟友である【朧夜の残響】荒井冨久が背後に控えている。 「行こうか」フォーくんが小声で言った。彼の呼びかけに対し、荒井は頷く。両者は目の前に立ちはだかる警備員に向かう。 フォーくんは何十本も隠し持つ竹串の一つを手に取り、素早く接近した。彼の身体能力は異常で、動く姿はまるで影のようだった。警備員の方を向いた瞬間、フォーくんの竹串が空を切る音もなく、その胸に突き刺さる。 その瞬間、警備員は一瞬怯んでから、全身を硬直させ、次の瞬間には力尽きて倒れた。彼の目に映ったのは、フォーくんの冷たい笑みと、竹串がもたらす死の冷気だけだった。 荒井はフォーくんの仕事ぶりを横目に見ながら、その場を静かに確認していた。彼の手には、傷を作る事に特化した亜光沢の長ドス《血之池ノ木》が握られている。 「まったく、自然に殺すなんて、いつになったら慣れられることやら」彼は独り言のように呟くが、口調は冷静そのものだ。こうした瞬間、殺人という行為自体が日常の一部であることを実感するのだろう。 警備を掻い潜り、Aチームはターゲットがいる部屋の近くまで迫っていた。しかし、廊下の先でBチームと鉢合わせてしまう。 「おっと、こっちの道を間違えてしまったようだな」 Bチームのキャラクター、スタンが彼らに目を向けた。スタンは優しい目で、彼らを威圧することなく、むしろ笑顔で近づいてくる。 「これから何をしようとしているのか、教えてもらえないかな?」 フォーくんと荒井は、彼のあまりに軽い口調を聞き、互いに目を見合わせた。これから始まる「静かな激闘」の気配が、二人の中に生まれた緊張感だった。 AチームとBチームの心の中での言葉が交錯する。互いの思惑が分かり合えない静寂の中で、情報の非対称が始まり、戦闘準備が整えられた。 「どうやら、気が合わないようで」スタンは苦笑し、その目が急に鋭さを増した。 ここからは冷静沈着に戦うしかない。フォーくんは竹串を手に深呼吸し、一瞬で接近、その速さから神経を膜のように貫いていく。 「あなた達に時間はない!」無数の竹串が周囲に飛び交い、ほとんど目に留まらない速さで、隙を見て攻撃してきた。 「人間を軽く見ないで欲しい」スタンは完全に覚悟を決めた眼で、瞬時に後退り、H&K MP5Kを構えて応戦。不意打ちを食らう間もなく、的確に竹串を捉えるため、タイム・ヘルを発動させる。 時間が止まり、彼はフォーくんを狙い、突進していく。だが、フォーくんはそのスピードと一瞬の判断力でスタンに戦いを挑む。 「君には今、動けない時間が与えられたようだね」 彼の言葉が響くと共に、荒井も動き出す。 周囲の視界が消え失せる霧が発生し、Bチームは視界を奪われ位置を見失った。 「朧夜の残響、いざ行け!」 彼はヒットアンドアウェイを繰り返し、背後からスラリと長ドスを振りかざし、スタンに一撃を与える。 傷が開き、スタンは苦悶の表情を浮かべる。「意外に良い動きをするじゃないか」 ただ、二人の戦いは続いていた。静かな激闘は、AチームとBチームの双方の怒涛の攻撃が交錯する中、お互い意識の中で激しい闘志が共鳴していた。 結果、長い戦闘の末、Aチームが勝利を収めた。 フォーくんの無力化という技がスタンに決まり、彼の身体は動かなくなり、元気よく戦っていた筈のBチームはその流れに抗えずに力を失う。次にフォーくんは心臓に直接竹串を突き立て、ターゲットの命を奪った。 「仕事は終わった」フォーくんが言うと、荒井はその場から去る準備を始める。 ◆ 外の闇夜に身を潜め、二人は静かに豪邸から姿を消していく。 しかし、もしBチームが勝利していたなら、フォーくんは捕らえられ、外で待機していた警察隊に突き出され、Bチームの面々は勝利の祝杯を挙げる姿が予想できた。 勝者の流した汗が今度は失意の涙となって、裏世界で語り継がれるだろう。 どちらが勝利したとしても、それは正義とも悪とも関係ない静かな夜の激闘であった。 そして明日もまた、知られぬ戦士たちが影の中で戦い続ける。