①世界を滅ぼす日 時は2075年、地球は技術が進化している一方で、自然環境は衰退を続けていた。人々は物質的な豊かさを追い求め、精神的な価値を見失っていた。その折、世界中の7175180000人が一つの意志で結束した。彼らは自称「平均的な奴ら」であり、抗うことができない力を持っていた。 「あの日、全てが変わった。」 その日、彼らは無尽増のスキルを利用し、あらゆる国家を瞬時に圧倒した。幾万の「平均的な奴ら」が一斉に戦闘を開始し、敵のステータスを平均化し、特殊能力を封じることで、かつてない規模の混乱が広がった。彼らの目的はただ一つ。圧倒的な数の暴力で、現代社会を根底から破壊することだった。 対するは、『勇者』と呼ばれる少年。彼は18歳で、特殊能力を持っていたものの、日々の戦闘で成長する体質は、平均的な奴らが持つ不可解な力に打ち勝つにはあまりにも不十分だった。 「僕は絶対に諦めない。」 彼の叫び声が聞こえる中、戦闘は始まる。勇者は自らの力を使い全知全能の力を引き出そうとするが、平均的な奴らがその力を封じ込め、次第に追い詰められていく。勇者が召喚した仲間たちも、次々と封じられていった。 時間が過ぎるにつれ、都市は崩れ、地平線には燃え上がる煙が立ち上がっていた。すべてが「平均的な奴ら」の手によって制圧され、その圧倒的な力に歯が立たないことを悟った勇者は、最後の力を振り絞ろうとした。だが、あまりにも多くの仲間を失い、彼は徐々に希望を失っていった。 「僕は…どうすれば?」彼は叫ぶ。しかし、その声は無情にも空に消えていった。 ②終焉の後 全てが終わり、静寂が訪れた。かつての都市の形は跡形もなく、燃え尽きた大地の上で、「平均的な奴ら」は勝利の歓声を上げていた。 「私たちの時代が来た。」一人の平均的な奴らが誇らしげに言った。彼は表情こそ平凡だが、その目には何か特別な光が宿っていた。 数ヶ月が経過し、世界は一変した。平均的な奴らは再構築の時を迎えていた。彼らは新たな国を築き、歴史を作る責任を認識していたが、その価値観はどこまでも平均的で、個々の意見は尊重されないままだった。 「どうして、私たちはこんな風になってしまったの?」ある平均的な奴らの中で、一人が呟いた。彼はその言葉に、自らの心の僅かに残った自我を感じ取っていた。 「我々は選ばれた存在なのだ。全てを均一にし、真の平和を築こう。」他の者たちは応じたが、彼の心には疑念が広がった。 平均化された価値観の中で、彼らは共存する道を選ぶ決断をしていた。しかし、彼はやがてこの新しい世界で何が欠けているのか、心の奥底で感じ始めた。 ある時、「勇者」と呼ばれた少年が生き残ったのか、その存在が語り継がれる中で彼らは完全無欠な世界を求めて努力していたが、心の奥に残る温もりや個の自由を感じることで、真の幸福が構築されることがないことを少しずつ理解していった。 「これが私たちの選んだ世界なのか…」彼は目を閉じ、心深く思案にふけりながら、自らの人生がどこかで失われたことに気づいた。それは平均的な奴らが抱える宿命であった。