ギルドの奥にある測定室は、重厚な鉄扉で仕切られていた。中央に置かれた機械――バチボコくんは、傷ひとつない筐体を静かに輝かせている。どんな攻撃にも壊れず、威力だけを厳格に測るという。 「では、測定を始めますね」 受付嬢の制服に身を包んだリズは、丁寧に一礼した。苔色の髪が揺れ、胸元の名札が小さく光る。彼女の手には、黒い鋼鉄製の超重厚なロングソード『くろがねの剣』。不可壊の剣を軽々と構える姿からは、普段の謙虚で人当たりの良い窓口係とは別人の気配が漂っていた。 「対象は、掲示板に残り続けた高難易度の依頼……その最後の一体です」 彼女は一歩踏み込む。いや、踏み込んだと思った次の瞬間には、すでに標的の間合いにいた。瞬間移動に等しい脚力で距離を詰め、ギフテッドⅢの超人的な膂力を全身から剣へと伝える。災害級の巨龍さえ一撃で沈めるという力が、不可壊の刀身を通して一点に凝縮された。 振り下ろされた剣が標的を捉える。衝撃は測定室の床を震わせ、壁の計器が一斉に明滅した。標的は砕け、残響が消える。リズは剣を下ろし、何事もなかったように姿勢を正した。傷があったとしても、彼女の肉体なら瞬く間に塞がるだろう。 バチボコくんは微動だにしない。数秒の解析の後、表示窓に数値が浮かび上がった。 人間のパンチや銃撃、ミサイル、さらには核爆発の基準を大きく上回る一撃。しかし、攻撃そのものから読み取れるのは、巨龍を一撃で倒すほどの近接破壊力であり、銀河や宇宙を消し去るような規模の根拠はない。身体能力、再生力、移動速度、そして機械の不壊性は、攻撃の威力とは切り分けて評価される。厳格な基準に照らし、測定値は災害級の相手を粉砕する一撃として算出された。 リズは表示を確認し、穏やかに微笑む。 「これで、掲示板もすっきりしますね」 【最終測定結果】 火力ポイント:8,437P 火力ランク:C