第1章: 森の闇に潜む影 夕刻、川のせせらぎと木々が沙沙と揺れる森の奥深く、両面宿儺とヴォルデモートが対峙した。この豊かな森は、魔法使いとしての力を引き出す戦場として選ばれた。両者の魔力は強大であり、探知術により相手の位置を把握していた。それでも、この場には不穏な空気が満ちていた。 森は夜に包まれ、月明かりがほのかに道を照らす。一見静かな森だが、その中には張り詰めた緊張感が漂っていた。両面宿儺は、冷たい視線をヴォルデモートに向ける。「フン、情けない顔をしているな。呪術に対抗できると思っているのか?」迫る闇の魔法使いに言い放った。 ヴォルデモートはその言葉に表情を変えず、冷たく笑う。「俺は死ではない。私の力は、全てを焼き尽くす。分かっているか、宿儺?」その言葉と同時に、右手を上げると黒い炎がそこに渦巻き始めた。両面宿儺も負けじと臨戦態勢を整える。 「俺の炎の矢を受けてみろ!」両面宿儺の目は意気に満ち、手を構えると同時に、身体から炎のような呪力が発散する。彼の技術は驚異的で、あらゆる術を知り尽くしている。右手が振り下ろされ、見えない斬撃が宙を切り裂く。 ヴォルデモートは冷静にその動きを読んでいた。「そんなもの、無駄だ。」彼は反射的に左右に身をかわし、逃げる。直後、彼の放った悪霊の火が宿儺に襲いかかる。空間がゆがみ、黒い炎が森の中を燃え上がらせる。 両面宿儺はそれを見て、すぐに「御廚子」を発動させる。「俺の術式を受けてみろ!」不可視の斬撃が次々に悪霊の火を切り裂き、炎は消え去る。宿儺の回避能力は恐るべきものだった。 「クルーシオ。」ヴォルデモートの声が響くと、空気が一瞬凍りつく。宿儺にその呪文が向けられた瞬間、彼の心は不安に包まれる。肉体的な苦しみだけではなく、心理的な恐怖が巡る中、宿儺はその呪文への対抗策を思い巡らせる。 「愚かな。」両面宿儺は立ち上がり、赤い目でヴォルデモートを睨む。「俺には痛みなど関係ない。」彼の反転術式によって一瞬の間、心が安息に包まれる。再生の術が彼を守る。 だが、その瞬間。ヴォルデモートの背後から、死喰い人たちが静かに彼に近づいていた。彼らの目的は、ヴォルデモートを守ること、そして敵を妨害することだった。しかし、宿儺の目はそれを見逃さない。「愚か者共が…」 宿儺は不敵な笑みを浮かべると、瞬時に「伏魔御厨子」を展開する。領域の力で周囲の木々が凄まじい勢いで揺れ、伸びるように斬撃が発生する。死喰い人たちが切り裂かれる。一瞬の内に無数の斬撃が巧みに繰り出され、彼らは次々と倒れ込む。 ヴォルデモートもその事態に気付いた。彼は瞬時に「アバダ・ケダブラ」と呪文を唱える。緑色の光が両面宿儺に向かって放たれる。 「今度は流石に避けられないか?」ヴォルデモートが自信満々に言った。だが、両面宿儺はその瞬間一歩前に進み出た。「それでも、炎の矢を実体に変えることはできない。」宿儺の決意が両者の距離を縮め、呪文は不気味な音を立てながら宿儺に向かって突進する。 夜の森、戦いの幕が切って落とされた。両者が持つ力の恐ろしさは、まだ満ちない森の奥深くで熾烈な戦いを繰り広げていた。