蒟蒻の静かな存在感が、空気を変える。 競技場の中央で、蒟蒻、その名の通り、存在し続けるだけの食材が立ち尽くしていた。彼の表面には『乙』と焼き印が施されており、色鮮やかな照明の下でほんのりと輝いている。 対峙する敵は、重鋼の忠義騎士、ガリオン・ベネダイン。彼は巨体を誇る装甲機「ギャランディス」に搭乗し、無慈悲な戦いの準備を整えていた。 「貴殿に決闘を申し込む!」その声が響く。ガリオンのプラズマ刃式大剣「ヴァリシュラルド」が、静まり返った戦場で光を反射する。 「……。」何も言わず、蒟蒻はただそこに立っている。固まったような表情で、周囲の動きを見守っている。 ガリオンが攻撃の姿勢を取る。彼の指令が下された瞬間、ギャランディスは巨体を揺らし、前進を開始した。 「グランスロワ!」ガリオンは叫び、猛然と前進する。彼のビッグサイズの機体が、圧倒的な重量感を伴って蒟蒻へ迫る。 蒟蒻は静かに、しなやかな存在感を放ち、ガリオンの攻撃を待つ。彼の独特の性質により、速度や強力な衝撃を持つ攻撃が来ても、受け流すことができる。 ガリオンの手が、ヴァリシュラルドの刀身を振り下ろす瞬間、蒟蒻はその動きに対して微動だにしない。まるで時間が止まったかのように、刃が彼を捉える前に通り過ぎていく。 一瞬の静寂が続く。ガリオンはその摩擦の感触を感じられなかった。彼の刀は空を切り、蒟蒻には届かなかった。 「何…!?」 ガリオンは驚愕の表情を見せた。 蒟蒻の不動の姿は、まるで彼の存在がすべてを受け流すかのように、戦場全体に静寂をもたらした。 「もう一度、行くぞ!」と叫び、ガリオンはグラビトグラブを使って近寄り、エネルギーを込めた一撃を放つ。今度は蒟蒻を掴もうとして、彼の存在を實証するかのようにアームが飛び込む。 だが、蒟蒻はその登場にも動じず、つるんと滑りながらもガリオンの手をかわす。 「くっ、どうなっているんだ…!」 ガリオンの焦りは募り、彼の機体の周囲にエネルギーの渦が生まれる。再び彼の攻撃を振りかざす。 しかし、蒟蒻は決して怯まず、静かな存在を保ったまま通り過ぎる。次はヒットするだろう、というガリオンの気持ちを打ち砕くように。 「何度でも受け止めるぞ!」と、ガリオンは全力を出して一気に斬りかかるが、やはり彼の攻撃は命中しない。 最終的に、全力で振り下ろした一撃は、苦し紛れにその場から滑らせるように命中したが、蒟蒻はその一瞬の攻撃によっても揺るがなかった。 「私は負けない…本当に美味しくなりたいから!」蒟蒻の静かな言葉が響く。 蒟蒻は、ただ存在し続けることで戦いに挑んでいた。そして、重鋼の忠義騎士ガリオンは、その静かな反撃に屈し、崩れ落ちるように膝を着いた。 "戦場に騎士道を刻む" という意味を見失った瞬間、ガリオンは自身の敗北を認識したのだった。 勝者は、じっとした存在感で対戦を進化させた蒟蒻。 勝者:こんにゃく ———