深界4層の探索を開始したギネ=モガマ、レン、ラプターの一行は、目の前に広がるダイダラカズラの群生に圧倒された。巨大な皿のような植物は、薄曇りの空の下、彼らの行く手を阻んでいるかのように見えた。それでも、彼らには決意があった。次の階層へ行くためには、何としてでも探索ポイントを集めなければならない。 「これは今まで見たことのない光景だな。こんなのがこの地に存在するなんて、驚きだ。」ギネは目を輝かせながら辺りを見渡した。「我々はこの植物の上を通って進もう。落ちたら危険だから、慎重に行動することが大切だ。」 「了解!」レンは猫耳をピンと立て、興味深そうに水が溜まった皿の縁を覗き込んだ。彼女の好奇心は尽きることがなく、敵の危険性を忘れてしまうほどだった。 「ほら、行くぞ。」ギネは仲間を促し、皿の上に足を踏み入れた。彼らは水面から立ち上る湯気に囲まれ、幻想的な雰囲気の中を進む。だが、彼らの心の奥には緊張感が漂っていた。原生生物が潜んでいる可能性があるからだ。 彼らが進む中、ギネの目は周囲を警戒し続けた。すると、突然、左手の方から何かが音を立てた。「あれは?」彼は瞬時に反応し、暗闇から跳び出した影に目を凝らした。そこには、タマウガチがいた。白い体毛が月明かりに映え、鋭い棘を持つこの大型の獣は、静かに彼らを見ていた。 「ここに出現したということは、近くに遺物があるかもしれない。だが、警戒しろ!タマウガチは非常に危険だ!」ギネが叫ぶと、その直後、タマウガチは瞬発力を生かして彼らに襲いかかってきた。無防備に水面を渡っていたレンは、声も出さずに硬直した。 「逃げろ!」ギネは叫んだが、すでにタマウガチは近づいていた。刹那、レンの左腕に棘が刺さった。彼女は叫び声を上げ、そのまま膝をついた。 「レン!」ギネは自分の心臓が破裂しそうな感覚に見舞われた。周囲の空気が一瞬にして凍りついたように感じ、その場の動きが止まった。レンの顔色は一瞬にして青ざめ、やがて彼女は意識を失っていった。 ラプターも動きが鈍っていた。彼は少し離れた場所から、仲間を守るために獲物を探すように視線を動かしたが、心の中は混乱していた。 「どうしよう、助けてやらなきゃ…」なぜか、ラプターは言葉を失っていた。襲われた者の痛みを理解するのは困難なことだ。 しかし、逃げる時間はない。ギネは素早くタマウガチに向かってピッケルを構えた。「お前は俺が倒す!」 タマウガチは、ギネに向けて棘を飛ばそうとした。だが、ギネはその鋭さを回避し、身を低くして間合いを詰めた。運よく、タマウガチの一瞬の隙にピッケルを突き立てる。「そこだ!」 しかし、タマウガチにはまったく効かない。逆に、すでに刺されたはずのレンに続いて、他の仲間がどうにかしなければならなかった。仲間のためには、自身が成功しなければならない。 彼はさらに攻撃を放ち、タマウガチを引き寄せようとした時、手元に閃光石があったことを思い出し、そのまま使った。 「閃光石!」呟くと、たちまち周囲は眩しい光に包まれた。タマウガチは一瞬、攻撃の手を止めた。そのすきに、ギネは再びピッケルで攻撃を続けるが、タマウガチの動き自体は不思議と遅くならず、彼を惑わせていた。 「何が起きている?どこかに…」ギネは周囲を見渡しながら、足元にある皿の端に何かが光るのを見つけた。それは霧織りの遺物だった。 「ジャッギ!」ラプターが声を上げて、ギネの注意を引いた。彼は素早く動いてタマウガチの腹回りを狙って攻撃を仕掛けていた。だが、ラプター自身も無駄に興奮し、自分から距離を取れていなかった。 タマウガチの尾がラプターに直撃する。その衝撃で彼は地面に倒れこんだ。敵の牙をもっているタマウガチが迫ってくる。 「ラプター!」ギネは思わず叫び、彼の攻撃を妨げる形でタマウガチに立ち向かったが、彼の身を守る暇すら与えられなかった。 しかし、その瞬間、隙をついてか、圧倒的な力場を感知したのは体感では気づかなかったが、周囲一帯が異様に静まった。豪快にギネはタマウガチの前に立ち、ピッケルを振り下ろす。 タマウガチは一瞬動きが止まった。ギネは慌ててタマウガチの背後を見たが、その瞬間、タマウガチは一度大きく身を翻した。ギネは振り回していたピッケルを持った手を引き寄せられ、そのまま押し出された。 完全に意思を失い、彼は一瞬のうちに迫るタマウガチの鈍い尾の一撃をグサリと受けた。 「しまった…」その瞬間、彼は意識を失っていく。彼が最後に見たのは、タマウガチの白い体毛、周囲の植物と仲間の姿だった。 ーーー 限界を感じたギネの意識の中で、ラプターは怯えながらも仲間を助け出すために自分のスキルを駆使した。「いけ、動け!」 しかし、すでに仲間が倒されている。彼の知らない恐怖心は湧き、仲間を連れて逃げることができず、目の前のタマウガチに立ち向かうしかなかった。もう後がなくなっていた。 しかし、ラプターは立ち上がり、攻撃をはじめた。瞬時に4匹目のラプターが仲間に加わり、その恐怖を感じながらも、彼自身は生き残るために戦う。複数の仲間のラプターが生まれ、彼の攻撃の幅が広がる。 「行くぞ!」 彼はジワジワとタマウガチを追い詰め、吹きかかる自分の能力で相手を弱体化させていく。自ら寄生された仲間たちも、彼にかかりっきりなタマウガチには目もくれず、仲間のために、彼は全力で攻めた。 「さぁ、こい!」 タマウガチは完全に動きを止め、無数のラプターによりその巨大さと獰猛さに圧倒され、彼自身の攻撃は時間とともに無効化されていく。すでに両腕は効かないほどに疲れ果てていた。 その時、ラプターはタマウガチを倒すための最終手段を放つ。「俺を殺せ!」それに伴い、タマウガチの動きが止まる。彼は新たに現れた仲間に立ち向かう。 攻撃をほぼ無効にし、まさにその瞬間、ラプターたちは一致団結してタマウガチを囲んだ。「どろん!」そこで、彼は仲間たちを引き連れた。 最後の力を振り絞り、タマウガチの体に突き刺さるように敵を抑えた瞬間、周囲を包む光のようになり、無事にタマウガチを打ち倒した。 仲間たちを見れば、自身の体に生えていたものは全て消えた何もない姿だった。周囲が静まりかえるなか、タマウガチはゆっくりと崩れ落ちていき、その傍らには霧織りの遺物があった。 「これを見ろ、僕たちの運が味方したのさ!」ラプターは胸を張った。 「レンを助けなければ…」ラプターは急いでレンの方に駆け寄った。 やがて、彼らは経験を積み、多くの探索ポイントを得ることができた。その数は計500ポイントだった。 --- 【獲得・発見リスト】 探索者:ギネ=モガマ - 遺物:霧織り - 探索ポイント:250 探索者:レン - 遺物:発見なし - 探索ポイント:0 探索者:ラプター - 遺物:発見なし - 探索ポイント:250 --- 合計探索ポイント:500 個人の探索ポイント総計を超えられるため、次の階層に移動する準備が整った。