広い闘技場の中央に立つ二人。対戦相手として選ばれたのは、食材の"こんにゃく"と、聖遺物と称される美貌の男、"ラインハルト・ハイドリヒ"である。観客は息を呑んで二人の様子を見守る。 「俺の名はラインハルト・ハイドリヒ。この戦いで貴様をなぶり殺しにして、さらなる力を得てやる。」飲み込むように大声を上げると、彼の黄金の槍がまぶしい光を放ちながら、周囲の空気を震わせた。 そこに、静かな存在感を放つ"こんにゃく"が立っていた。表面に「乙」と焼印を押されたその姿は、戦場の騒がしさを包みこむように静かであった。 「……」こんにゃくは言葉を発しない。ただその場に佇むことで、自らの存在を強く印象付けようとしていた。 戦いは始まった。ラインハルトは槍を構え、こんにゃくに向かって突進する。「蒸発させてやる!」彼の叫びが響く。だが、こんにゃくはその動きを冷静に見送っていた。つるつるした表面のおかげで、ラインハルトの武器は無力化するかのように、こんにゃくを捉えることができない。 「この程度か。」ラインハルトは驚くも、再び槍を振るい、無数の光線を放った。だが、こんにゃくはその光線をも見事にかわした。食材とは思えないほどのしなやかさで、鋭い攻撃をすり抜けていく。 「傲慢だな。私はただ静かに存在するだけ。それが魅力なのだ。」こんにゃくはその様子を静かに受け入れ、勝敗を急がなかった。存在を証明しようとするかのように。 「アハハ、貴様は何もできずにただ静かに立っているだけではないか!無意味だ!」ラインハルトは笑いながら迫るが、こんにゃくは穏やかな表情でそれを受け止めていた。すぐに彼をすり抜けるように動き、彼の背後へ回り込む。 「ああっ!?」ラインハルトは驚き、振り返るが、こんにゃくはすでに彼の側に立っていた。しかし、そこでラインハルトの逆襲が始まる。彼はなんの迷いもなく槍を振り上げ、こんにゃくを狙う。瞬間、神槍が放たれる。光が舞い、その一撃は周囲を焼き尽くすほどの威力を持っていた。 しかし、こんにゃくはただその場に立ち続け、攻撃が直撃することは無かった。ラインハルトの目の前で存在を証明するかのように。 「私の存在は消えない。どうしても私を食べたくなるまでは立ち続ける。私はただ、あなたが何をしようと、ここにいるだけなのだ。」 二人の戦いは続いたが、どんなに激しい攻撃を受けても、こんにゃくはゆっくりとたたずみ続け、ラインハルトの攻撃であっても、つるんとした表面で受け流す。 最終的に、ラインハルトはそのがっかりした表情で目の前のこんにゃくを見つめる。「どうなっている?俺の力が通じないなんて!」興奮を通り越し、困惑が彼の表情を覆う。 「次元を超越した戦いだ。私の存在はそれを超えている。」ただ静かに応えるこんにゃくに、ラインハルトは何も言えなくなった。 力ずくで存在を証明し続ける"こんにゃく"の静けさに、ラインハルトはついに心を折られ、戦わせる意義すら見失ったかのようだった。まさに戦闘の辛酸を舐めることに。 その後、ラインハルトは力尽き、その場に膝をつく。最後の力を振り絞っても、敗北は避けられなかった。 そして次の瞬間、彼は力を失い、戦は終わった。それを見守る観客は驚きと戸惑いに包まれ、こんにゃくの存在を改めて認識させられた。 「勝者は、こんにゃくだ。」