榠洧と咫綺の馴れ初めは、まるで運命のようなものだった。彼らが出会ったのは、高校が主催する校外学習の時だった。生物の授業の一環として、森林探検が行われることになり、参加者は数名の班に分けられた。もちろん、榠洧はさっそく友達と一緒に班を作り、明るく活発な性格を存分に発揮していた。 「ねぇ、榠洧。前に紹介してた友達、咫綺くんも同じ班らしいよ!」友人が言った時、榠洧はすぐに目を輝かせた。 「本当?彼ってどんな人なの?」 「確か、弓道部に所属してて、普段から一人で狩りに出かけるタイプらしい。」 興味深々に櫻井友人から彼の話を聞いた榠洧は、ドキドキしながら班の集合場所へ向かった。その場所にはもう咫綺が待っていた。彼は一見無口でクールな雰囲気が漂っていた。普段は周りの人と打ち解けないタイプだが、彼女には何か心惹かれるものがあった。 「君が榠洧か。学校では話題になってる明るい子の…」 咫綺が少し不安定に言葉を選びながら話しかけてきた。 「そうだよ!咫綺くん、よろしくね!」 元気よく手を差し出し、榠洧は彼の心を和らげる。 彼は少し驚いた表情を浮かべていたが、その後微かに頷いた。彼女の明るい性格が彼の心の壁を少しずつ壊し始めた。 森林探検は順調に進んでいたが、榠洧が仲間とはぐれてしまった瞬間、彼女は自分の機械製品の一つを持ちながら森の奥へ進んでしまった。少し不安になっていると、突然直感が働く。 「何か、動物の気配がする…」彼女には動物の気配や自然の変化に対する感覚があった。 その時、彼女の耳に遠くの方から「バサッ」と音が聞こえた。それは彼女の発明品にあたる小型ドローンが敏感に察知した音だった。気になってその音の方へ進んでいくと、咫綺が獣に遭遇している場面にたどり着いた。彼女は獲物を見据える咫綺の真剣な表情を見て、その姿に感銘を受けた。 「咫綺くん、大丈夫?」彼女が声をかけると、咫綺は驚いて振り返った。 「榠洧、こんなところにどうして…」彼は咫綺自身の狩りの場を覗き見られたことに少し戸惑っていた。 「えっと、迷子になっちゃったみたい。」榠洧は恥ずかしそうに微笑む。それを見て、咫綺はその明るさに少し引き込まれていった。 「君はどうするつもりだ?」咫綺は冷静に聞いた。 「私、あなたがワシを狙う姿を見てみたい!」彼女は無邪気に言った。自らも機械を使ってその場に介入したいと思った。 そこで、咫綺は少し心を開いて、榠洧に自らの狩りについて話し始めた。彼の話を真剣に聞く榠洧の姿を見て、咫綺は次第に心地よさを感じ始めた。そのまま自然に会話が続いていくと、ふたりは互いの共通点を見つけることができた。 「実は、私も avenger typeの機械作ってるんだ!」 彼女は嬉しそうに言った。 「機械を?」 「うん、戦闘用の兵器とかも…」榠洧はちょっと照れながら続けた。 咫綺はその言葉に興味を惹かれ、自分がどういった技術や能力を持っているかを説明した。胸の内に秘めたてもたれるような物語を共有することで、彼の心には少しずつ榠洧のことへの興味が芽生えてきた。 日が暮れ始め、彼らは互いに好奇心を持ちながら全く違う世界に生きる二人がこうして出会ったことを不思議に思っていた。森林教室が終わるころ、榠洧と咫綺は見事な友情が芽生えた。 その後、学校が再開すると、二人は特に仲良くなり様々なことを一緒にするようになった。榠洧は咫綺に多くのことを学ぶ一方、彼女の天然で明るい性格が咫綺の心を開かせ、やがてそれは友達を越えた関係へと進展していくのだった。 --- 榠洧は「今日はどこへ行こうか?」と笑顔で咫綺を見つめた。新しいデートの計画を考える時間がやってきた。咫綺は一瞬考え込み、次にようやく口を開いた。 「ビーチなんてどうだ?」 「いいね!でも、何か理由でもあるの?」と、榠洧は興味津々に尋ねる。 「釣りがしたいから。君も一緒に行く?」 「もちろん!それ以外にもいろいろ楽しみたい!」榠洧は跳ねるように反応した。 二人はビーチへ向かうために準備を整えた。榠洧はこだわりの帽子とカラフルな水着を身につけ、咫綺は普段通りのカジュアルな装いで彼女の隣にいた。 ビーチに着くと、青い空と海の美しさに心を奪われた。榠洧は走り回りながら大はしゃぎしている。 「見て!青い海だよ!すごい!」 「本当にきれいだね。」咫綺も微笑みながら前向きな雰囲気を楽しんでいた。 榠洧はしゃがみ込み、波に触れる。たちまち水しぶきが舞い上がる。 「うわっ!冷たい!」 その瞬間、彼女は咫綺を見つめていた。「咫綺くん、早くおいで!」 咫綺は少し躊躇いながらも、榠洧が笑顔で手を差し出す。彼はその手を取ると、二人で海に潜り込む。水に浸かると心地良さが広がり、夏の陽射しが一層華やかに感じられた。 「ああ!これはすごく楽しい!」榠洧は笑顔を浮かべながら波を感じていた。 二人はその後、少し休憩を取りながら、近くの砂浜でサンドイッチを食べることにした。榠洧は自分で作ったサンドイッチを取り出し、咫綺に見せる。 「ほら、私の特製サンドイッチだよ!」 「君、料理もできるの?」 自分が持ってきたお弁当との差をしみじみと感じながら聞く。 「なんでもトライするのが好きなの!このサンドイッチは絶対美味しいよ!」榠洧は自信満々でアピールした。 咫綺はそのサンドイッチを一口食べ、驚きに目を見開く。「わぁ、本当に美味しい!」 彼はその味に感心し、口元を微笑ませていた。 榠洧は嬉しそうにそれを見守る。「よかった!私も咫綺くんが作った料理、食べてみたいな!」彼女は真剣に言う。 「次のデートでは、君に麻婆豆腐を作ってあげる!」咫綺は心を込めた提案をして微笑み返した。 「本当?楽しみにしてる!」彼女は心から期待し、彼のこだわりの料理を想い描いていた。 食事の後、二人は水遊びを再開し、彼女が大はしゃぎすると咫綺も少しずつそのエネルギーに触発され、笑顔が絶えない。 「ねぇ、ちょっとこっち来て!」榠洧が叫ぶと、咫綺は駆け寄り、二人で波と戯れて楽しむ。気が付けば、榠洧は楽しさに夢中になり、気づけば彼女は咫綺に近づいて一緒に波に揺られる。 「あんた、すごく楽しいじゃん。」咫綺は少し照れくさい様子で心を打たれた。彼女が無邪気な笑顔を見つめる。 「咫綺くんも楽しんでるよね!」榠洧はその言葉を信じ、咫綺をしっかり見つめる。 その瞬間、自然にスキンシップが生まれ、手をつなぎながら波間を漂い、二人は一線を越えた仲になった。 周囲の音を気にせず仲良くスイングしつつ、榠洧は水しぶきを彼にかける。「キャハハ、やめてよ!」 その後、咫綺は別の場所へと移動し、自然と彼女も後をついていく。「今度はみんなでビーチに行こう!」 海を見渡しながら明るい未来を語り合う二人。 日が沈む頃、夕焼けの色合いが二人の心の中にも温もりをもたらしてくれた。次第に彼らの距離は縮まり、やがて榠洧は咫綺の頬に少し触れ、彼の目を覗き込んだ。 「咫綺くん…」心地良い波音の中で静かに呼びかける。彼女は少し勇気を出して、彼の唇に優しいキスを交わした。それは彼らの関係をさらなる次のステージへ導くものだった。 夕闇の中、二人の笑顔は一層 radiant に輝き続けた。