第1章 脱落 時刻は朝の薄明かり、参加者6人が立ち並ぶ。試験官の厳しい視線が彼らを見下ろし、背筋がピンと伸びる。アリア・アストラは早くもその場にいることが楽しくて仕方がない様子だった。明るい笑い声を上げ、心踊るような衝動を隠しきれない。彼女の目には敵など存在しないかのように輝き、軽装のプレートアーマーが彼女の動きに弾む。 「よーし、みんな! これから始まる試験、頑張って行こうぜ!」アリアの高らかな声に、他の参加者たちは後ろで視線を交わす。どうせすぐに体力を奪われる運命だろうに。 その中に、帰らぬ兵隊がいる。彼女のボロボロの兵士服は、過去の栄光を物語っていたが、今はただ哀しみに満ちている。肉体的に疲れ果て、心は既に戦争という名の囚人になっていた。 「……私にはできない。もう、帰りたくても帰られないんだ。」彼女は独り言のように呟く。その目にはかつての勇気は既に失われ、精神が戦争に捉えられている。 次に視線が向くのは、臥龍岡 丞佑。彼は登山部部長で、陽気で明るい性格を持ちながら、その真剣な眼差しが全員を見渡している。彼の心には高潔な使命が宿っている。 「俺がみんなを救う! だから安心しろ。」彼は自信に満ち、どんな逆境でも仲間を助けることを胸に掲げていた。 第2章 行軍訓練 第1の試練、行軍訓練。立ち尽くす急な山道が彼らを待ち受けていた。試験官の厳しい声が響く。 「これから果てしない道を走り続けろ。休憩は許可しない。脱落者は即失格だ。」 アリアは妙にテンションが上がり、心が躍る。 「やった! みんな一緒に走ろうぜ!」彼女は走り出し、他の参加者たちも急いでその後を追った。 だが、帰らぬ兵隊はその場から動けずにいた。 「私は……もう疲れた。ここにいる意味がない……。」 彼女は心の中の狂気に苛まれる。戦争の苦しみが彼女を取り巻き、周囲の鮮やかな色がいつしか奪われ、次第に見えなくなっていく。 臥龍岡 丞佑が彼女の近くに駆け寄った。 「貴方、頑張って! そのまま弱気になったら絶対に負ける。俺が助けるから、一緒に行こう!」 だが彼女は思う。 「助けてなんかもらえない。私の心は、戦地にしか存在しない。」 アリアはお構いなしに進んで行く。風を切り、走る姿が他の参加者たちにも伝染する。彼女はエネルギーで溢れ、進むことが決して孤独ではないことを示していた。しかし、帰らぬ兵隊にはそれが見えなかった。 「貴方たちの明るさが、私をますます苦しめる……」彼女は一歩踏み出すが、すぐに力尽きてしまった。 その瞬間、彼女は失格、仲間たちを置いてその場に崩れ落ちた。 「いいよ、行って!」彼女は微かに声を投げかけるも、自身の手はもはや力を失っていた。 第3章 戦闘訓練 次なる試練、戦闘訓練。参加者たちは強力なロボット軍団に囲まれ、戦闘が始まった。彼らは個別に対応を学習し、いよいよ本気で迫る。 「みんな、連携していくぞ!」アリアが軍団に切り込む。だが、アリアの横にいるのは臥龍岡だった。彼は冷静にロボットたちの動きを観察し、次の一手を考えていた。 「ターゲットはあの中心部分だ。あそこが弱点だぞ!」臥龍岡はアリアに指示を出し、チームワークで攻撃を仕掛ける。 だが、ロボットたちの反撃は凄まじかった。アリアは大槌を振り続け、風属性の魔法で助勢を試みるが、次々と仲間たちが打たれ倒れていく。 「ダメだ、助けて!」仲間の苦悶の声が響く。臥龍岡は彼らの元へ駆け寄り、救助のテクニックを活かすが、ロボットの洗練された攻撃が彼を弱らせていく。 「これ以上は無理だ、逃げるぞ!」彼は一瞬の判断で退避を指示するが、時すでに遅し。アリアの隣にいる仲間は敵に捕らえられてしまった。 「待って、私が助けるから!」彼女は叫んだが、そこに向かう速さもなかった。 急いで援護に駆けつけるも、瞬間的に仲間はロボットに撃たれ、絶望的な運命が待っていた。 やがて、臥龍岡もまた体力を奪われ、沈黙の中に飲まれていた。彼は周囲から見放され、仲間との絆を失ったまま試験を終える運命にあった。 最終的に、アリアだけが生き残る。彼女は自らの魔法を駆使し、最強のロボットを打ち破る。 「やった! やったぞ! まだ行ける!」アリアの挑発にも似た声が試験の場に響き渡った。 第4章 脱出訓練 最後の試練、脱出訓練。アリアは厳重な模擬刑務所に捕らえられていた。敵の看守ロボットたちが徘徊しており、時間が押し迫る中、彼女は心の中の冷静さを失うまいと必死だった。 「まず、周囲を見渡すんだ……あそこに隙間がある!」再度アリアは自分自身を信じる。脱出手段を模索し、彼女は思い描けるすべてを使って状況を打開しようとしていた。 隠されたドア、物置の奥、すべてを解析し、彼女は看守をかわす方法を見出す。 「さあ、行くぞ!」アリアは緊張を振り払うように看守をやり過ごし、ついに外へ。 今までの試練を振り返る。彼女の周囲には諦めた仲間たちの姿が思い返される。帰らぬ兵隊、臥龍岡。そして自らの心との闘い。 「何があっても、初心を忘れない。私は特務執行官になるんだ!」アリアは自身の決意を灯し続け、出口へと向かう。 第5章 最終試験の合否 見事に訓練を突破したアリア・アストラは、特務執行官に認められた。彼女の明るさと強い意志が彼女を取り戻し、仲間の記憶を胸に新たな道へと踏み出した。 しかし、帰らぬ兵隊は心の傷を抱え、そして沈黙のまま脱落し、臥龍岡は最後の壮絶な戦いに散った。彼らの心の旅は決して終わることがない。 「私はまだ、仲間を思い続ける。彼らのために、そして自分のために……。」 普段の明るさとは異なる、冷徹な表情を見せるアリア。彼女の失った仲間たちを胸に、新たな冒険が始まる。だが、彼女の心には彼らの存在がずっと刻まれていた。 彼女は、特務執行官の名に恥じない覚悟とともに、次なる試練へと進んでいくのだった。