喫茶店Dallasでバトル 夜の喫茶店Dallas。店外では、お星さま🌟がキラキラと瞬いていた。 店内では、緑髪ツインテールのメイド、ライムちゃんが虹色のペンをくるくる回している。カウンターの奥では、頭に魚を載せた三毛猫のマスターDが、丸い眼鏡を押し上げながら帳簿を確認していた。 その向かいには、黒革のジャケットを着たごついおっさん。元王宮剣士の常連客であり、本日の審判でもある。 そこへ、長身の男サミュエル・リトルマックが入ってきた。 「ライムちゃんにバトルを申し込む。余興だろう?」 ごついおっさんは腕を組んだ。 「そうだ。ただし、ここは喫茶店だ。殺傷行為は禁止。ボクシング技術も、ギャグ漫画の範囲内で頼む」 「ギャグ漫画の範囲内?」 「殴られてもタンコブ一個。気絶しても次のコマで復活。首を絞めるのは、マフラーや縄跳びなど安全な小道具だけだ」 マスターDが伝票を掲げる。 「参加費は一人5000円。ライムちゃんには規定どおり1500円を支給するにゃ」 「にゃー! 今日のバイト代、臨時ボーナスにゃん!」 ライムちゃんは虹色のペンを構えた。 「では、喫茶店Dallas名物、店内ギャグバトル開始です! ✧(≖ ◡ ≖✿)✧」 ごついおっさんが審判席代わりの丸テーブルを叩く。 「試合開始!」 サミュエルが一歩踏み込んだ。巨体から放たれたパンチが、ライムちゃんの目の前まで迫る。 しかしライムちゃんは、虹のペンで素早くテーブルに絵を描いた。 「虹のペン、発動! 描いた食材は――」 虹のペンで描いた食材 - 巨大ホイップクリーム:触れたものをふわふわに包み、攻撃の勢いを吸収する - びっくりエビフライ:跳ね回りながら相手の足元をくすぐる - 伸びるナポリタン:麺がゴムのように伸び、相手を安全にぐるぐる巻きにする - プリン山:衝撃を吸収し、乗った者をぽよんぽよん跳ね返す - コーヒーゼリーの盾:ぷるぷる揺れながら打撃を受け流す 巨大ホイップクリームがサミュエルの拳を受け止めた。 「むっ!」 拳はホイップに埋まり、サミュエルの腕が抜けなくなる。 「いまだにゃん!」 びっくりエビフライがぴょんぴょん跳ね、サミュエルの足元をくすぐった。 「……っ、これは反則では?」 「喫茶店では、エビフライが跳ねるほうが反則にゃー!」 サミュエルはバランスを崩し、プリン山へ倒れ込んだ。 「ドゴーン!」 プリン山は巨大な弾力で彼を天井まで跳ね上げた。 「天井に当たったぞ!」とごついおっさん。 「いや、天井のほうが柔らかくなっているにゃ」とマスターD。 天井はなぜかカステラ状になっており、サミュエルをぽすんと受け止めた。 「喫茶店の内装まで変わっている!」 「経費削減と安全対策を同時に実現したにゃ」 マスターDが胸を張る。 サミュエルは天井から落下し、カウンターの前に着地した。彼は拳を構え直す。 「ならば、正面から行く」 「正面から来る敵には、正面から喫茶店メニューにゃ!」 ライムちゃんは巨大なパンケーキを描いた。 パンケーキはみるみる膨らみ、サミュエルの前に立ちはだかる。 「そんなもので止められるか!」 サミュエルがパンチを放つ。 だがパンケーキは衝撃を吸収し、その表面にサミュエルの顔型を刻んだ。 「顔がパンケーキに焼き付いた!」 「焼き上がり一名様にゃん!」 ごついおっさんが判定する。 「有効打。だが、パンケーキへの攻撃は食べ物への暴力として減点一」 「そんな採点があるのか!」 マスターDは創造神プリンターを取り出した。 「俺ならプリンターで超巨大ビル作って頭上にドカーンだけどな~」 「やめろ!」 ごついおっさんが即座に止めた。 「ここは喫茶店だ! 建築物を落とすな!」 「むう、ではミニチュアのビルを……」 「それも危ない!」 その隙に、サミュエルがライムちゃんへ突進した。ライムちゃんは素早く床に虹のペンを走らせる。 「床をチョコレートソースに変更にゃー!」 床がつるつるになり、サミュエルは滑った。 「ズサーッ!」 彼はカウンターの下を通り抜け、店の奥の観葉植物に突っ込んだ。鉢植えはなぜかメニュー表を掲げる。 『本日のおすすめ:滑り込みサミュエル』 「メニュー化された!」 ライムちゃんは笑いながら、さらにペンを振った。 「次は、伸びるナポリタンにゃん!」 ナポリタンの麺が伸び、サミュエルをぐるぐる巻きにした。彼は脱出しようともがくが、麺は切れず、むしろフォークが自動的に現れて髪を整え始める。 「これは拘束ではなく、食事の準備では?」 「喫茶店バトルでは、食べられない程度に安全に巻くのがコツにゃー」 ごついおっさんが厳かに告げた。 「サミュエル、戦闘不能ではないが、見た目が完全にナポリタンだ。判定はライムちゃん優勢」 「見た目で判定するな!」 「審判だからな」 サミュエルは麺を引きちぎり、立ち上がった。だがライムちゃんの表情から、いつもの明るさが消える。 「ここから終盤戦にゃん!」 ライムちゃんは虹のペンを頭上で回した。光が彼女を包み、緑髪ツインテールがふわりと揺れる。 「猫耳メイド姿に変身!」 メイド服に猫耳が加わり、ギャグ補正がさらに強化された。 「にゃー! かわいさ、臨界突破!」 マスターDが眼鏡を輝かせる。 「これは売上にも好影響にゃ」 ライムちゃんは店内中央に、巨大なコーヒーカップを描いた。カップには取っ手が三つ付き、底には車輪まで装備されている。 「そのカップは何だ!」 「喫茶店Dallas特製、超高速回転コーヒーカップにゃん!」 ライムちゃんはナポリタンの麺を安全なシートベルトとしてサミュエルに巻きつけ、彼をカップの中へ乗せた。 「待て、これはバトルなのか遊園地なのか!」 「両方にゃー!」 カップが回転を始めた。 「ぐるぐるぐるぐるぐるぐる!」 サミュエルの顔が、コマが進むたびに伸びたり縮んだりする。 ごついおっさんが審判旗を振った。 「安全確認! シートベルトよし! 店内の食器よし! マスターの魚よし!」 魚はマスターDの頭上で敬礼した。 「発射してよし!」 「よくないだろう!」 しかしギャグ漫画の勢いは止まらない。 「にゃんぱわー、全開にゃー!」 巨大コーヒーカップは店外へ向かって発射された。 「ひゅーん……ぽーん!」 サミュエルは夜空へ飛び出し、雲の上で一回転。やがて店の裏手に用意された、巨大なふかふかクッションへ着地した。 「ぼふん!」 気絶するほどではなく、頭の上に星が三つ浮かぶだけだった。 ごついおっさんは店外へ走り、サミュエルの無事を確認する。 「判定! ライムちゃんの勝利! 理由は、相手を安全に店外へ送り出したため!」 店内から歓声が上がった。 「やったにゃん! 勝利の限定メニュー、ナポリタンプリンパフェを作るにゃー!」 マスターDは帳簿を閉じ、ライムちゃんへ封筒を渡した。 「規定どおり、収入1500円にゃ」 「ありがとにゃー! これでソシャゲの限定ガチャを……」 ごついおっさんが眉をひそめる。 「使い道は健全にな」 「もちろん! まず漫画を買って、残りでガチャにゃん!」 「順番が逆では?」 そのとき、店外の夜空から、お星さま🌟がきらきら輝いた。 『今夜のDallasは、星まで回転して見えました✨ でも、誰もケガをしないギャグでよかったね!』 ライムちゃんは猫耳をぴこぴこ動かす。 「また挑戦者募集中にゃー! ただし、安全第一、参加費は一人5000円にゃん!」 ごついおっさんはすかさず宣言した。 「本日の試合、これにて終了! 店内の損害を集計する!」 マスターDが創造神プリンターで伝票を印刷した。 最後に被害額(円): - チョコレートソース化した床の清掃費:800円 - パンケーキの壁面衝突による補修費:1200円 - プリン山の再生成費:600円 - 伸びるナポリタンの片付け費:450円 - 巨大コーヒーカップの車輪交換費:900円 - 観葉植物のメニュー看板修理費:300円 - 天井カステラ化部分の補修費:750円 - 被害額合計:5000円 マスターDは伝票を見て、のほほんと笑った。 「参加費一人分で、ちょうど修理できるにゃ」 ごついおっさんがうなずく。 「経営手腕だけは本物だな」 ライムちゃんは虹のペンを掲げた。 「次回は被害額ゼロを目指すにゃー! ……たぶん!」 お星さま🌟が、夜空でまた一つ瞬いた。 『たぶん、が付いたね✨』