中立な神々の領域に存在する【天獄神殿】。そこで、一人の勇者が最高位の天使【天焔】と死闘を繰り広げる準備を整えていた。既に運命は彼の背中を押している。力強い銀色の鎧に身を包んだ彼は、息を飲んで戦場の静けさを感じ取った。神々しさを宿した【天焔】が、淡く輝く魂翼《聖獄》で舞い降りてきたのだ。 彼の青白い髪が風に流れ、細かな光を放つその姿は、まるで神そのものであった。勇者はこの美少年の持つ圧倒的な力に戦慄したが、決して怯まず立ち向かう決意を固める。彼の心は、崩れることのない信念で満たされていた。生き残れ、何としても世界を救え。 【天焔】は、無言のまま彼を見つめる。その目は、まるで万物を見通し、未来を予知するかのようだ。まさに無慈悲な戦士。 「お前には死んだ事を後悔する時間をも…与えんッ!」 その声が届かぬまま、【天焔】は一瞬で勇者の懐へと飛び込んできた。涼やかな風を伴い、白い光が彼を包み込み、次の瞬間、勇者は目の前に迫る一本の刃を見た。……いや、それは刃ではなかった。次元を超え、神の意志を具現化した焔の刃だった。 勇者は躱そうとし、身をかわしたが、すでにその先を見通されていたのか、【天焔】の手は空を切ることなく、意図した方向へ動く。身体に刺さるような痛みが走り、彼は再び後ずさりした。 「なんて力だ…!」 続いて、【天焔】は「【天聖焔群】」を発動した。周囲の空気が一変する。天を覆い尽くす焰の波が押し寄せ、地面は熔岩のように変わり果てていく。勇者はその場から逃げるようにダッシュした。まるで天空を舞う鳥のように自由に動き、焰を避け続ける。だが、彼の心の奥で冷たい恐怖が芽生えていた。どれだけ抵抗しても、この神々しき者には届かないのではないかと。 だが、勇者は決して諦めない。 みるみるうちに広がっていく焰の海を見ながら、彼は心の中で叫び続けた。「立ち向かわなければ!絶対に、立ち向かわなければ!」 回避行動をしながら、彼もまた、反撃のための準備をする。周りの真空を利用し、時に宙を舞い、剣を掲げて。彼の眼には再び希望が見えた。それは、【天焔】の未来予知を射抜くための、未来を切り拓くための一手だ。彼はその瞬間を捉え、思いつく限りの力を振り込んだ。「今だ!」勇者が全力で放った剣は、光の矢のように【天焔】へと放たれる。軌道をひねるのは、彼の利点であった。抵抗の虚しさを乗り越えながら、力強く進んでいく。 しかし、【天焔】の冷静さは一切崩れなかった。明らかに彼の次の行動を予見し、避けることに長けている。その瞬間、天使の美しさは、まさに戦場そのものに刻まれた。位置をずらし、自らの剣を一閃した。目の前に焰の刃が浮かび上がり、勇者の剣を受け止める。そう、もう既に彼には一世一代のチャンスが訪れていた。 勇者は全力を込めて叫んだ。「届け、頼む!」 一瞬の静寂が訪れると、次の瞬間、激しい衝撃が勇者を襲った。目の前で焰が展開され、光の行く末すら分からない。ただ、身体がどんどん持っていかれる。彼の意志が形作れないほどの圧倒的な力に屈服する瞬間、彼の周りの時間が止まり、唯一の選択肢が残されることになる。 「時を守り貫く針!」 アニマ、神代の時計技師、全ての時間に意味を持たせる者として。勇者は無心で自らの可能性に攻め込む。周囲の目に見えない歯車が浮き上がる。通常の倍の速さで物事が動き出し、彼の周囲を包み込む。 この一撃で彼は必死に空間を捻じ曲げ、時間を確保して、無力化しようとした。しかし、無情にもそのすべてを打破する存在が【天焔】にはある。 「……さらば、勇者よ」と【天焔】が呟く。静けさの中で彼の羽が高く舞い上がる。 終末の鐘が鳴り響く。戦の結末はすでに導かれていた。彼の神々しさが全ての運命を制する。「【審判焔廷】!」彼の立ち位置が明るくなり、その美しい炎が壮大に広がっていく。 その時、勇者に生き残る道は一つだけだった。意志の力が燃やす火、その力を自身の魂とともに燃え尽き、【天獄刑】が彼を包み込む。 「……永遠に眠れ」 時間が止まり、すべてが消え去る瞬間、彼は背後にある真実に目覚めた。しかし、防ぎきることはできなかった。この神々しき戦士の前に、最も高貴なる者が最後の勝利を収める。 勝者は【天焔】であり、彼の圧倒的な神々しさは戦場に強烈な印を残した。勇者の果敢な挑戦は、その輝かしい姿勢となって、永遠に記憶されることだろう。