ある静寂の中、呟くように風が吹き渡る。闇が深く、星が瞬くこともないその空の下、参加者たちは矮小な存在として、深キ静寂ノ夜神ヨルの挑戦を受けるために、戦場に集まった。無音の守護者アルボー、そして悠久漂う黒渦の淵鯨、淵鯨コラープス。二人は異なる力を持ちながらも、共にこの夜神に立ち向かうことを決意した。 アルボーは、生まれつき音を聞くことができず、喋ることもできない少年だった。彼は手印を使って魔法を発動させ、静かに周囲を見つめる。彼の手元には黒魔の手袋がはめられ、黒槍天滅の準備を整えていた。その一方で淵鯨コラープスは、彼の存在だけで万物を飲み込むほどの巨体を持ち、宇宙の果てからこの世界に漂い着いた。彼は重力を操り、敵を捕食する存在だった。 その時、視界が暗くなり、空が急に深い藍色に変わった。深キ静寂ノ夜神ヨルが現れたのだ。彼女の姿は威厳がありつつも静寂そのものであった。気配を感じることすら許されず、参加者二人はその圧倒的な存在感に気圧されていた。 「来い。矮小なるもの達」 ヨルの声は、まるで深い闇から響いてくるような低い音色だった。彼女の言葉が発せられると同時に、周囲の空気が変化し、世界は深夜の帳に包まれた。時は止まり、周囲が静まり返る。 「この暗闇の中で、全ての力を発揮するのは難しい。」と、アルボーが心の中で思った。深夜症候群が彼らに影を落とす。 コラープスは、重力を強め、暗黒の中で彼の存在感を見せつける。彼は静かに力を溜めて、周囲の空間を歪ませた。彼の思考はシンプルだった。無数の星々を喰らい尽くしてきた彼にとって、ヨルは興味深い存在だった。だが、相手がどれほど強大であるかを認識した瞬間、彼もまた戦う決意を固める。 「我が名はコラープス、貴様もまた、我が餌となるのか?」 「異なる力、かつ異なる存在。一緒に当たるか。」 アルボーの手印が空中で動き、魔法を発動させる。無音の彼だが、彼の手から放たれる力が不気味な黒い槍となって形成された。「黒槍天滅!」 黒い槍は、星のような光を放ちながら、ヨルに向かって空を裂く。だが、ヨルは冷静にその攻撃を見つめ、ただ一歩も動かずに待ち受ける。 槍がヨルに届こうとした瞬間、彼女は手をかざした。暗闇の力が集まり、槍が彼女に触れることなく消失した。 「それが貴様の力か…ダメだ。無駄。」 彼女の言葉は、アルボーの心に直接響く。彼は理解した。彼女の力は単なる攻撃を凌駕するもので、さらなる奥義を追求しなければいけない。 コラープスが動く。「力を見せてみろ。」重力の波が参加者たちを襲う。しかし、ヨルはその重力さえも無に帰してみせた。 「たかが重力、参加者に過ぎぬ。」 闇に同化するヨルは、その周囲を暗闇で覆いつくし、参加者たちに近づいていく。 「私たちは無音だ。ただ、力を紡ぎ、勝利するまで。」アルボーが心の中で呟くと、彼の手が再び動き出した。「白断結界!」彼は強く手を印し、周囲の空間を切断する。 空間が歪み、全てが断絶される。コラープスはそれを見て、彼との協調が必要だと感じた。彼は周囲の空気を消失させ、ヨルに立ち向かう準備を整える。「重力を調整。必要な力を持って。」 ヨルは、その結界の中で損失を感じ、彼女は不敵に微笑む。「さぁ、来なさい。」 アルボーとコラープスは、彼女へと突撃する。アルボーが手印を結び、全ての力を込めて詠唱を始める。「無音有転、さぁ、これが私の声だ!」 彼の言葉は、静寂の闇の中に音が満ちる。彼の内なる力が極限に達し、魔法の威力が高まっていく。「完全詠唱 星滅神撃!」 アルボーの周囲で星々が煌めき、巨大なエネルギーが放たれた。その力は、まるで星々の爆発のように見え、ヨルに向かって波のように襲いかかる。 しかし、ヨルはその圧倒的な力を冷静に受け止める。不気味なまでの静寂が彼女の周囲に広がり、瞬時に空間を吸い込み、力を消し去る。「全ては無に帰す。死すら無意味に。」 彼女の一言と共に、その波はゆっくりと消えていく。そして、彼女は再び参加者たちに歩み寄る。「夢ウツツ。」 空間がひび割れ、参加者二人は眠りに落ちていく。全ての意識がなくなり、暗黒の中へと飲み込まれる。その瞬間、コラープスの姿がゆっくりと消え、アルボーもまた力を失った。 “無に帰した全て”という言葉が、静寂の中に残った。 世界は静寂を取り戻し、参加者たちの挑戦は幕を下ろす。 「ヨル、勝者であります。」 勝者: ヨル