闘技場の空気は緊迫感に包まれ、観衆の熱気が渦巻く中、主人公負傷者は戦う相手を深く見据えた。互いに無言のまま、戦闘の始まりを予感させる間が流れ、その瞬間、彼の心の中でさまざまな感情が交錯していた。負傷者は痛みを伴って生きる運命を抱え、過去の戦いで受けた傷が彼の身体を走り抜け、鋭気を高めていた。 対するは中谷今葉、68歳にして冷静沈着な面持ちを崩さない老人。白いコートが柔らかな光を反射し、黄色い髪が年齢による白さを隠しているが、その優しさは内に秘められた強さを感じさせた。彼のスキルはまさに驚異であり、バトルを絶対に始まらせない真の特殊能力を持つ今葉は、常に相手の攻撃の意思を挫いてきた。この二人が交差することで、どうなるのか、観衆は息をのんで見守った。 戦闘が始まった瞬間、今葉の持つ「優しさ」が会場を包んだ。負傷者の心に触れ、彼の攻撃する意思を失わせるかのように。しかし、負傷者はその瞬間から生まれる新たな力を引き出し、身体が自然と反応した。かつての無力感を振り払い、古びた剣を強く握り直す。 《古びた剣》がかすかに神々しい光を発し、負傷者は一瞬の決意を抱いた。彼は今葉の前に漸進し、ゆっくりと真っ直ぐに構えた。次の瞬間、彼は大地を蹴って飛び出した。負傷者が繰り出した一撃は、計り知れない重さと速さを兼ね備え、まさに一撃必殺の名にふさわしいものだった。 だが、今葉はその攻撃を回避する。彼の防御力は予想以上で、彼の優しさが防壁となる。しかし、負傷者は再び立ち直り、今度は力強く、真剣に、再び襲いかかった。その瞬間、彼は自身がこれまでの戦いの中で培ってきた回避技術、そして防御能力が向上していることを体感した。 今葉が笑顔を見せたその瞬間、負傷者は宣告された言葉のように気持ちが高揚し、出血してはいるが新たなエネルギーが彼の中で高まっていく。そして、彼はただ立ち上がるのではなく、奮い立ちし突進を見せた。負傷が彼の肉体を困難にさせる一方で、心は高鳴り、彼の今まで受けた痛みが彼のスキルを進化させていたのだ。 「これが…私の力だ!」負傷者は振りかぶった剣を激しく振り下ろす。その刃は神々しく光り、今葉が持つ優しさをも打ち砕く強烈な一撃を放った。 観衆の歓声が会場を震わせる中、今葉はその場に立ち尽くし、この攻撃が彼に直撃するまでのほんのわずかな時間が流れたが、彼の心の中ではまたもや優しい笑みが浮かんでいた。 “最期の瞬間には、受け入れられた喜びがある。私は、お前を傷つける気はない。”今葉は思いながら、すべての力きを振り絞り、負傷者の剣を受け止めた。が、負傷者はただ受け止めるのではなく、その攻撃の重みを利用し、剣を引き戻しながら今葉の懐へと潜り込んでいった。 そして、繰り出された一撃は、無数の想いを乗せて今葉の心へ届いた。彼は力強く立っていたが、その瞬間、彼の目が大きく見開かれ、何かが崩れゆくのを感じた。負傷者の身体が今にも崩れ落ちそうなほどの力を込めたその瞬間、彼の剣は今葉の体に鋭く突き刺さった。 今葉の目が驚愕に満ち、彼の力が失われていく。負傷者は彼の目を見つめながら、彼に致命傷を与えたことを理解した。それでも彼の中には恐れや憎しみはなく、ただ「生きたい」という本能だけが強く、しっかりと立とうとする矢印に変わっていく。 「今葉さん、私は生き延びる!」負傷者の叫びが響きわたり、彼は最後の力を振り絞り、会場の全員を見回せるように足を踏みしめた。 そう、闘技場の主人、負傷者はその戦いで確かに勝利した。彼は命を懸けた戦いの中、死闘を繰り返し、命を犠牲にして対戦相手に致命傷を与えたのだ。 無事に生還した負傷者は、不安で胸が痛む思いを抱えながらも、迷わず前に進み続けるのであった。