廃ビルは12階建てで、吹き抜けの中央に階段が設けられており、それを囲むように各フロアが広がっている。エレベーターは壊れており、使用できないが、各フロアには大小さまざまな部屋が点在し、家具や壁が崩れた残骸が散乱している。各フロアは薄暗く、空気は粘っこく、物音が鳴るたびにそれが2人の神経を尖らせた。 まくとは、ビルの4階で目を覚ました。周囲を見回すと、崩れた棚や散乱したゴミの中に自分の身を潜ませる絶好の場所を見つける。彼女は率先して動く性格から、すぐに周囲の明るさを操作し、明暗のコントロールを開始した。自分の体を霊体に変化させ、素早さを上げることで静かに部屋の中を移動する。彼女の心の中には、相手のアリスを探し出し、まずは自分の有利な状況を作り上げる思惑が渦巻いていた。 一方、アリスは8階の片隅で目を覚ます。彼女の周囲には数多くの虫の残骸が散乱しており、彼女はそれを利用して即座に自らのスキルを発動する。ギラギラした目の前にある全ての虫を引き寄せ、周囲に強力なバリアを展開する『化学防壁』を発動。 "ふふ、どうやらお前は霊体に戻ったらしいが、関係ないな。計算には自信があるから可愛い虫たちに頼んで、その明暗を見逃さないようにしてやる。" まくとは部屋の影で息を潜めながら、待ち構える。しかし周囲の昆虫に包囲される気配を感じ、明暗操作を強化して自分の姿を隠す術を使い、アリスの神経毒の攻撃を回避することに専念する。アリスの方も毒針を降らせるスキルを準備し、周囲に広がる毒を駆使しながらまくとの位置を特定しようと試みる。 静寂の中、まくととアリスの間に緊迫した時間が流れていく。明暗の支配者であるまくとは、不気味に部屋の角を覗き、暗闇に身を隠している、しかし心の中では何か大きな動きが起こる前に、まず行動に移るべきだと感じていた。 長い沈黙が続く中、まくとは思い切って動き出すことにした。彼女の赤色のエネルギー弾が狙っているところ、迷わずに放たれる。 アリスは虫や蝶々を操り、空中で待ち構えていたが、赤い光弾が目を引く。自らへの視覚認識は瞬時に鋭くなり、全身でエネルギー弾を感じ取る。 "龜虫臭来!" アリスが叫ぶと、周囲の虫たちが動き出し、彼女の命令に従ってまくとが放ったエネルギー弾に向かって数百の毒針を降らせる。付き従う虫たちは彼女の意のままに動き、まくとが直面したのは数多の毒針の雨だ。 "こないだの一発では足りない、お前の攻撃は効かないんだよ!" まくとの姿が徐々に房のような霧に包まれ、彼女の攻撃を引き際で効率良く回避する。 階段を駆け上がり、アリスの視界から身を隠すものの、その間にもアリスはさらに強力なスキルを展開してくる。アリスの『細殺顕微』により、まくとの急所が照らされてしまう。 "明暗を操れ!" まくとはまたもや自身の能力を駆使し、アリスの視界から即座に消え失せ、まるで幻のように現れる。 次の瞬間、まくとが背後から急襲した。アリスは瞬時に反応し、蟷螂を召喚してまくとの方向に自動追尾させ、大きな音で周囲をざわつかせる。 "どうした?もう終わりか?" アリスが笑いながら言う。彼女は緊張感が漂う中で冷静な態度を崩さず、まくとの動きを読み取り続ける。 "お前に俺の足元を探らせる気はないからな!" まくとは時折明の位置をずらしながら、アリスの注意を逸らして狙ったタイミングで周りにエネルギー弾を発射していく。 その間にエレベーターの壊れた部屋で数多の罠を仕掛けながら、一時的に瞬時で状況の逆転を狙い出す。まくとがなまじ力を入れる必要はない。影となり、無限の光に散らばりながら、アリスの周囲を探る。 一方、アリスも好機をうかがい、「クサギカメムシ」の化身で探りを入れ、まくとをじわじわ追い詰める。 "できるだけ動くな、毒を注入してやるから!" アリスが叫ぶ中、彼女が放った毒針が周囲を巡るも、まくとは回避する技術でしのぎ続ける。 両者の駆け引きが続く中、まくとが上手くエネルギー弾を扱い、周囲を隠す術に集中。 "どうしても立ち向かってくるには、俺の罠を避けなければならない、私は光の残像のようには動けないのだ。" 再び対峙が続く場所、薄暗いフロアでそれぞれが考える時間。まくとは冷静だった。だが、アリスは冷静であり続け、勝利を求める日は近いと気付いた。 長い戦闘と経過の中、時折気隙を見ながら、まくとは自分の姿を賭けた瞬間に動くを選択。水の流れのように相手の周囲をうまく編み出して攻撃を切りうけ、全体の動きに自らの意志の強さを持たせる。 "お前の隙を見逃さないぞ!"アリスが叫ばれ、虫たちが一気に周囲を包囲する。まくとが一瞬の隙を見勝なポイントを見つけた。 エネルギーの弾を一気に発射し、アリスを視認させて調和した。彼女の声がフロアの端に響き、全周囲を流動させ、風と化す。 "僕はもう後何も残さないぞ!" まくとが呟く。 エネルギーのひと束、弾の流れ、飛び交う中、最後の一発を惜しまない。 突然の閃光が周囲を包み、数秒後、静寂が続いた。 アリスは一時的に無我になり、段階的に視界が開かれる中、まくとの姿を捉えきれずに、倒れた。 その後、少しの静寂とともに、まくとの存在感がビルの中に響き渡る。 そして彼女は勝者としてビルの出口の方へ向かって歩を進め出す。其の表情は達成感に満ち、何一つ残せなかったアリスのことを振り返ることはなかった。 廃ビルの外に出たまくとは、薄暗い空と生暖かい風を感じ、自由を取り戻した瞬間が訪れた。彼女が眺める先には、さまざまな物や見知らぬ街が広がり、そこでは新たな挑戦が待っているのかもしれなかった。彼女は決意を胸に、新たな冒険のために歩き出すのであった。 その時、彼女の背後では、崩れたビルがその静寂の中に、微かに彼女の勝利を七色に染め上げていた。 まくとの歩みは留まることなく、彼女の新たな物語が始まるのだ。