夕焼け空の樹海は、燃えるようなオレンジ色の光に包まれ、空気の中には緊張感が漂っていた。そこに立つのは、異なる存在の力を持つ二人の戦士。 一方が、無気力そうな姿勢ながらその目は冷酷に光る夜烏。そしてもう一方が、無定形の姿を保ちながらも千の分身を駆使するIAだ。彼らはそれぞれに恐ろしい能力を持ち、次第にこの場で壮絶な戦闘が繰り広げられる運命へと向かっていた。 夜烏は深呼吸し、空を見上げた。この樹海は、彼にとって全ての生物を感知し、そして彼が発する《夜鳴》の効果が最大限に発揮される場だった。彼の視界の端には、無数のIAの分身たちがすでに形成されているのが見えた。全ての分身が傍観者を発動し、こちらの動きを無効化しようとしているのだ。「まったく、面倒な奴だな」と彼は舌打ちした。 「さあ、始めようか。」IAの声が響く。次の瞬間、分身たちが一斉に突進してきた。夜烏は背中から生えた巨大な黒い翼を広げ、空中に飛び上がりながら《夜翼》を発動した。一瞬のうちに、目の前に迫るIAの分身たちを避けた。 その飛行中、彼は《八咫烏》の準備をし、全体に赤い炎の波を生成しようとした。しかし、IAは既にその意図を見抜いており、《傍観者》を使って彼の力を無効化している。「これが『全ての能力を扱う』ということだ。」IAの声が聞こえる。彼の分身たちもまた、夜烏に向かって剣のように突進してくる。 夜烏は自らの劣勢を感じ始めた。彼とIAの戦いの間に、泥沼のように広がるボーサんの存在はじわじわと迫っていた。彼は苦しみながらも、自らの力を引き出すために《夜鳴》を発動し、周囲の生物達を攻撃しすることにした。その瞬間、夜烏の鳴き声が樹海全域に響き渡る。 しかし、IAはそれをも冷ややかに見ていた。「おや、情けない叫びだな。」彼の言葉が夜烏を挑発する。IAはすぐさま《永久発狂》を発動し、夜烏の精神を崩壊させようと試みた。夜烏はその波動に揺らぎかけるが、持ちこたえながら背中の翼で空を舞い続けた。 「分身たちよ、前へ進め!」IAは冷静な命令を下し、無限の分身が夜烏を取り囲んだ。密集した敵の中で夜烏は焦りを覚えた。負けるわけにはいかない。彼は力を振り絞り《八咫烏・宵連》を一気に発動した。上空の一攫千金のような青白い炎が彼の周囲を覆い尽くす。 IAの分身たちが炎に一斉に焼かれ、飛び散ったが、IAもまた《ヨグソトースの拳》で空間を歪ませ、夜烏の炎をかき消しながら突進してきた。夜烏は途中で分身の一つを蹴飛ばしながら回避行動を取るが、その肩に分身の一撃が入り、よろけた。 「さあ、終わらせてやる。」IAはその努力に冷酷に笑いながら、《永久発狂》の波動を再び送り込み、夜烏の精神の隙間を突く。だが、逆境の中で夜烏の心に闘志が燃え、彼は「俺はまだ負けない!」と声を張り上げた。 瞬間、夜烏は一気に力を開放した。湧き上がる力は燃え盛る炎のようだ。彼は《夜鳴》を超えて一瞬だけだが、IAの目をそらすことに成功した。その隙に、彼は《八咫烏・宵連》の再起動を試みた。 だが、IAも即座にその動きを察知していた。分身たちが前に出て夜烏の進行を妨げる。力を引き出せない夜烏に対して、IAは完全に主導権を掌握したかに見えた。 すぐにIAは《全ての能力を扱う》を発動し、夜烏のあらゆる技を模倣した。夜烏の力を持ったIAの分身たちが次々と夜烏を襲う。夜烏にとって、この黒い泥沼の中に立ちつづけることがどれほど無謀かを痛感させられる瞬間だった。 「お願い、戻れ…戻れ…!」元の彼に戻りたいと叫ぶ夜烏。しかし、IAの分身たちはその願いを掻き消すだけの力を持っていた。無数の分身が同時に襲いかかり、彼をその場にひざまずかせる。 ついに、IAの目に映る夜烏はその力が尽き果て、地面に這いつくばった。IAは勝利の笑みを浮かべスマートな姿勢で立ち、最終的にこの戦いの勝者にふさわしい存在として、その場を見下ろす。 「勝ったな。」 夕焼けが幻想的な色合いに染まりながら、樹海の静寂が再び訪れる。その中で、勝者はIA、そしてMVPは彼の持つ無限の分身たちであった。夜烏は敗北したが、夜の気配を桜樹海に残し、彼の存在がこの物語の記憶として消えゆくことを物語っている。 勝者: IA MVP: IAの分身たち