第1章: 戦いの始まり 舞台は熱気に包まれたリング。観衆の期待が高まる中、敵とひまの二人が向かい合っていた。だが、敵の眼差しは真剣そのもので、ひまはそんな敵に興味を示さず、ただ呆然としている。彼の心の中には、「やられ役」というレッテルが、意識的にも無意識的にも影を落としていた。 「さあ、始めるぞ!」敵が声を張り上げると、ひまは特に戦う気も無い様子で「ひま」と一言だけ返した。それでも敵は自分のスキル「敵だ、強いぞ!」を活かし、全力で攻撃に入った。パンチを放つと、ひまは何もせずにふわりと避けた。この動きが、まるで彼にとっての戦いではなく、ただの日常の一部であるかのように見えた。 敵は焦りを感じながら攻撃を続けたが、ひまの無関心さは次第にイライラを募らせていた。「なぜ、こんなにも全く何もしないのか?」敵は思った。やられ役の意識が、ひまの心身に固定されているかのようだった。 数分の交戦の末、敵がついに一発、ひまの肩に軽く触れる。「やられ役なんて言わせない!」敵は気合いを入れた。すると、奇跡的にひまがバランスを崩してしまった。無意識のうちに投げられた身体は、リングの端に転げ落ちる。観衆は盛り上がりを見せ、敗北の空気が一瞬流れた。 審判の男と女が近づき、試合が終了したことを告げる。「勝者、敵!」 第2章: 熱狂中継 場内は歓声で埋め尽くされ、審判の男(名はシゲル)と女(名はユリ)は、リング中央で解説を始めた。「いやあ、皆さん!信じられない戦いでした!敵選手は見事にひま選手を仕留めましたね!」とシゲルが熱弁する。「本当にそうです!ひま選手は戦う気がない様子でしたが、敵選手は全力を尽くしました! この試合がこんな結果になるとは、一体誰が予想できたでしょうか!」ユリが加わった。 シゲルは続けて、「敵選手はやられ役にしては、実に決定的な一発を決めましたからね!噛ませ犬の名を返上するには十分な成果です!」と言うと、場内の雰囲気が一層盛り上がりを見せた。 試合が終わった後、勝者の敵は審判の二人に挑むことを宣言した。「俺はただのやられ役じゃない。次はお前たちを倒す!」シゲルとユリは互いに目を見合わせ、そして微笑みを交わした。彼らには明らかに、勝者をひたすらなぎ倒す考えがあった。 第3章: 審判の逆襲 リングの緊張感が再び漂う中、シゲルが口を開いた。「では、挑戦を受け入れますよ。来なさい!」敵は自信満々に向かって行くが、シゲルとユリは意外にもずっと余裕の表情を崩さなかった。「敵くん、君の攻撃にはそれほど恐れるものは無い。ただの噛ませ犬が、何を思って我々に挑んでくるんだい?」 敵は憤りを感じながら突進する。しかし、シゲルがすぐに彼の攻撃をかわし、ユリが待ち構えていたかのようにカウンターを決める。反撃の連繋が続き、敵はどんどん叩きのめされていく。「これが本当の強さだ、敵!」シゲルが言う。ユリも優雅に加わり、敵は持ちこたえられず、リングの上でボロボロになっていく。 彼らの圧倒的な強さに、観衆はため息をつく。数分後、チェックが終わり、敵はリングに倒れ込んだ。「誰もが認めるやられ役だな、あんたは」ユリが耳元で囁いた。 第4章: 称号授与 試合が終わり、二人の審判は胸に手を当て、壇上へと向かう。観衆は静まり返り、座って待つ。その瞬間、シゲルが一歩前に出て、「我々の勝者、不名誉の称号『やっぱりお前はやられ役』を授与します!」と叫ぶ。 拍手喝采の中、敵はリングの上で屈辱に頭を垂れた。どうして自分がこんなにも恥をかかされるのか、その理由すらわからなかった。見るからに屈辱的な称号を授与された彼は、リングを後にせざるを得なかった。しかし、彼の心の奥底では、勝利を掴み取る決意が再燃していた。 第5章: 負け犬の逆襲 敗北した敵だが、心の中には決して消え去らない怒りがうごめいていた。「こんな辱め、受けてたまるか!」と怒号し、彼は再びひまに挑むことに決めた。「あんた、やっぱり俺をなめてたろう?」と問いかける。 ひまは無関心そうに「ひま」と言ったが、周りの観衆の熱気が敵の闘志を再燃させる。今度こそ全力でやってやると決意した敵は、ひまに向かって猛攻撃を仕掛ける。意外にも、第一撃がクリーンヒット。それがひまの意識を変えるきっかけになるかと思われたが、ひまは本当に「何もしてこない」ようだった。 だが、敵の怒りはひまの無関心さに完全に飲まれていた。彼が戦う中で、ひまはふわりと避け続け、敵の動きを嘲笑するかのように見えた。「本気でやってみ!やられ役軍団の仲間としてさ!」敵は叫び、もがくが、結果的に彼自身が再び木っ端微塵にされる。ひまは、やはり何もせずに彼を見送り、戦うこと自体が無意味であるかのように思えた。 敵は再び、やられ役としての道を認めざるを得なかった。そこには、彼が本気になれば何か変わるという幻想が、幾度となく壊され続けていたからだ。