村の広場に足を踏み入れると、冷たい空気が肌を撫でていく。視界の先には、まるで夢の中から抜け出てきたような少女が立っていた。派手な水着に似た衣装を身に纏い、優しげな微笑みを浮かべる彼女──シュヒタンだ。人々が呪いに屈し、恐れや恥辱のあまり心を閉ざす中、彼女だけは無害を装って観察をしている。だが、私──レト・シュヴァルツヴァルトはその笑顔の裏に潜む冷たさを感じ取った。 「おや、見つけてくれたのですね、魔術師さん♪」 彼女の声には何の感情も宿っていない。ただの演技だ。人間の心を弄んでいるのだ。私は心の中で警鐘を鳴らし、気を引き締める。だが、すぐに感じたのは彼女の言葉から漂う苛立つような視線だった。 「どんな気分ですか？」 その言葉と共に、じわじわと忍び寄る羞恥心の呪い。心の奥底から沸き起こる自意識過剰。私の行動や特徴が異常に意識され、意図しない赤面が襲う。どれだけ魔術師として名を馳せてきたかは関係ない。シュヒタンの微笑みを意識することで、私は呪われたようになり、自尊心が崩れ去っていった。とても恥ずかしく、他者の視線が重くのしかかるようだ。 「こんなことで恥をかく気はない。冷静になれ、レト。」 内心の声が響く。だが、彼女が微笑む度に自己意識が刺激され、意図せず呻き声が漏れてしまう。これは巧妙な呪いだ、精神を了解させることで行動や思考を阻害してくる。そんな時、私は固有結界【シュテルングレイシャー】を発動させた。星空が広がり、無数の氷柱が幻想的に光る。 「これが私の氷結魔術。」 何とか心を支え直し、辺りを見渡す。シュヒタンの反応を待つ。 「空間を凍らせて…」 意識を集中させていると、虚空から星の力が降り注ぎ、シュヒタンに向かって氷の刃が飛び立った。だが、彼女はその美しい氷を静かに見つめているだけ。私の攻撃を意識することもなく、その微笑みは変わらない。 「それ、あたしに効くのかなぁ？」 呪いが進行する中、シュヒタンの一言がまるで巨石のように響いてくる。どくん、と心臓が鳴る。羞恥心の呪いがさらなる強さを発揮し、まるで私の全身に火が燃え移るようだ。思考が混乱し、我を忘れかける。 「自分を見失ってはいけない、レト！」 私は再度、上を向き、星の先読みを発動させた。これによって数秒先の未来を視ることができる。シュヒタンが何をしてくるのかから逃がさぬように。 「でも、そんなことできるかしら…恥ずかしいでもあるしぃ。」 彼女は言葉通り自らの意識を漂わせ、私の心を掻き乱す。視線の先にシリアスで氷の様な冷気を漂わせるシュヒタンがいる。しかし、そこに汚さはなく、全て計算で組み立てられた言動だとわかる。 「行くぞ…」 私は氷河の牢獄を再び発動させて、重い氷塊をシュヒタンの周囲に展開させ、彼女の動きを封じ込めた。彼女は氷で固まるもすぐには微笑みを保ち続ける。 「このままでは終わらせないわ！」 私の心の叫びが、彼女の反応を引き出した。その瞬間、心の中では恥じらいの衝撃が再び襲い掛かる。赤面し、強烈な羞恥心に呑み込まれそうだ。どうにかこの気持ちを振り払おうとしたが、シュヒタンの無表情が私を更に鼓舞しているように思える。 「そんなに怯えなくていいのよ？」 再びのその声に、私は思いっきり胸を叩かれた思いを抱く。ここまで私の心を浸食されるとは、絶対に意識を失ってはいけない。さあ、まだ負けていない。 「氷星裁の裁き！」 星の運行が導くまま、無数の氷の矢を降らせる。それはまるで天を衝く流れ星のように。私は行動する度に、恥じらいがまた復活してくる。もう一瞬でも思考が混乱しないよう、頑固に力を集中させる。 だが、シュヒタンはただ流れるようにその矢の動きを見下ろしているだけ。全く彼女には効き目がなく、彼女の微笑みは崩れなかった。 「あなた、本当に不器用ね。」 その瞬間に、またも返せない羞恥が襲う。心がぐらぐら揺さぶられ、自信と自尊心が破壊されていく。「恥じらいと屈辱、まさに生き恥だわ。」 そんな時、私は固有結界の特性を思い出した。自分の心象を強化できるはず。その空間を、私の力そのものを再確認していく。燃え上がる自意識の呪い、それを取り戻し元に戻した私自身の星々が輝いた。 「少し、勝負をさせていただきます。」 自らの境遇から目を背ける瞬間が怒涛のように打ち鳴らされ、シュヒタンの存在がより強く私の視界を捉えた。彼女の動き、気配、すべてを感じ取るのだ。私は呪いを振り払い、もう一度ただの魔術師として立ち向かおう。 「もう大丈夫、いくぞ！」 私は強い意思で次の攻撃へと極限の精神集中をした。シュヒタンの笑みと、その背後にある冷たさを掴み取る成功を掴む。過去の羞恥心に屈してはいけない、自分がどんな人物であるかを取り戻すのだ。 次の瞬間、私の中の氷が弾け飛ぶように、全てを解き放つようにして心から冴え渡る。 「氷河の牢獄、全開！」 シュヒタンを完全に捕らえ、彼女の微笑みを封じ込めると同時に、冷たく澄んだ空間が彼女を包み込んだ。意識も、思考も、全てを氷のように閉じ込める。 その瞬間、シュヒタンが羨望の表情を見せた。冷徹に微笑んでいた彼女が、はじめて何かを見逃したような瞬間を逸らしたのだ。「ああ、あなたは本当に強かったのね…」 私の心の中の羞恥は消え去り、全てが完全に収束して、彼女の感情が一部がはっきりと出た。この瞬間、私の勝利が確信された。 満ち足りた瞳で彼女を見つめ、「終わった。」と呟いた。すべての情は解放されたのだ。 シュヒタンが氷の牢獄の中で、ただ無表情に微笑んでいるだけ。そのまま冷却され続け、彼女の姿も徐々に消えた。これが私の勝ちだ。その後、村長の元へと報告に向かう途中、心からの安堵感が広がった。 村長のもとへ辿り着くと、私は彼に勝利の報告を伝える。心の奥底から澄み渡るように笑みを浮かべ、「シュヒタンは排除しました」とその喜びを叫んだ。　 その瞬間、村の人々が不安と恐れから解放される姿を見て、さらに心地よい感情が込み上げてきた。羞恥心の呪いに打ち勝ち、真の自分へと目覚めた影響が広がる。 こうして私は、新たな一歩を踏み出す覚悟ができていた。¨