世界を滅ぼす日 ある暗い霧に包まれた空の下、ラフエは自らの城に立っていた。彼の目の前には、魔界を治めるために集めた仲間たちがいた。和多津、オミ、狐月、そしてきら。彼らはそれぞれの役割を持ち、運命を共有する運命共同体であった。 「この世界は腐りきっている。人間の欲望と愚かさが生み出した悪が、我々魔族を侮辱してきた。もう我慢の限界だ。」ラフエは冷静な声音で告げた。彼の目には無慈悲な光が宿っていた。彼は4000年の間、数多の魔術を学び成長してきたが、今、彼が為すべきことはただ一つ。世界を滅ぼすことだった。 和多津は軽やかに剣を振りながら微笑んだ。「親愛なる主よ、私たちを信じて、共にこの世界を終わらせましょう。彼らがこの地に残した痕跡は消すべきだ。」 「その通り。きら、お前も準備はいいか? 君の能力が、我々の計画には不可欠だ。」ラフエはきらの方を見た。 きらは厳かに頷き、「はい、主人のためであれば、どんなことでもやります。」と答える。彼女の忠誠心は揺るぎなく、だが心の奥では葛藤が広がっていた。彼女が命を懸けることで、本当に人々に賠償を与えられるのか、それは彼女自身に問いかけ続けることだった。 準備が整うと、ラフエは魔法陣を描き始めた。彼の手から放たれる黒いエネルギーが、眩い光のように一面に広がり、歪んだ次元が開かれていく。ここに至るまでの几帳面な計画——他の国々を混乱に陥れ、制圧するために、彼は多くの神器を集め、魔族を召喚する準備を進めていた。古代魔法は彼にさらなる力を与え、ワイティや食屍鬼を送り込ませることで、恐怖を広げさせることが可能だった。 「では、始めよう。」ラフエが呪文を唱えると、魔法陣の中心から巨大な魔族が姿を現し、地上の兵士たちを一網打尽にし始めた。世界は混沌に包まれ、恐怖に震える人々の悲鳴が響き渡っていく。彼らはもはや、反撃することも許されず消えていった。 終焉の後 滅びが訪れた。かつて繁栄を誇った都市は灰と化し、涙と血で汚れていた。ラフエたちはその結果を目の前にし、全く異なる感情が心を満たしていた。 「私たちは世界を滅ぼした……それで、これからどうする?」狐月が呟いた。彼女の目には、安堵と虚無感が入り混じっていた。全ての世界を終わらせたのに、何も解放されてはいなかった。 「どうするも何も、我々はもう自由だ。だが、何のために?」和多津は剣を握りしめ、独り言のように呟く。「戦って、勝てば最高ではないと思ったが、今は戦う敵がいない。」 「我々の戦いは、これからも続くのだ。約束だろう、きら?」ラフエはきらに目を向けた。彼女は、自分の信じる道を模索していた。 「はい、主人……でも、復讐が終わってしまった今、何を目指せばいいのか……私には分からない。」きらは静かに答えた。彼女の中では、主人への忠誠と自己の自由が葛藤していた。 「我々が創り出したこの新しい世界で、何をするかは、我々の心にかかっている。恐れずに、自分の人生を選択すればいいさ。」ラフエは落ち着き払った声音で答えた。 時はゆっくり流れ、彼らは新たな未来を模索しすべく、再び動き出すことを決意した。 ラフエの心には、仲間を守るためなら命をかける思いがあり、現に多くの命を背負っている事実に耐える決意を秘めていた。彼らは、今後どのようにこの新生世界を形作っていくのか、それは彼らだけの未来だった。