タイトル: 音の戦域 コンサートホールは、青白い光に包まれ、静寂の中でほんのりと響く楽器の音色が心地良い。その空間の中心には、幽霊のような存在、憂奏が立っている。彼の背後には巨大なコルネット、バイオリン、ピアノが佇み、まるで彼の存在を強調するかのように、空気の中にその霊力を充満させていた。 一方、神音の支配者シフォンが舞台に立ち、音楽の神々を操っている。彼女の耳には楽譜が浮かび上がり、美しい旋律を描き出す。彼女は自身の演奏が誰にも妨害されないことを理解しているため、笑顔さえ浮かべながら、瞳の奥に決意を宿していた。 そして、戦術人形師久月雛は、無表情のまま彼女を見つめる。彼女の黒和装はちりばめた星のように、戦を支配する意思をのぞかせていた。彼女の思考は並列で、まるで数多の戦略を同時に展開しつつ、人形を駆使して敵の動きを読もうとしていた。 「雛、神音、憂奏。いずれも、力強き音の使い手よ。だが、勝者は一人だけでありますぞ。」 戦いの幕が上がると、憂奏はまず『金濁』を発動した。コルネットから放たれた音の波は、観客たちを凍らせ、会場全体を震わせるような衝撃を引き起こす。シフォンの音の壁が目の前に形成され、彼女は至る所からの音を聞き取り、優雅に回避してみせた。 「流石、神音の支配者。だが、私の響きは消えない。」 シフォンは『音封』を発動し、攻撃を収束させて消し飛ばす。その一瞬の隙を突いて、雛は自らの糸で結界人形を展開した。強力な絶対断絶の力場が広がり、敵の音を束縛していく。 「あなたの音も、私の糸で断絶させてみせますぞ!」 雛が呼び出した人形たちが、力場の中を自在に駆け回る。武者人形は太刀を持ち、狙撃人形は遠くから精密な射撃を行う。シフォンは急いで音兵顕現を唱え、無敵の音兵士を顕現させて反撃に出た。 音兵士たちが前に出る中、憂奏は『弦害』を発動する。美しいバイオリンの音色が宙に炸裂し、音を聞いた者たちの肉体は粉微塵になる。だが、シフォンは音眼を使って攻撃を回避し、隙をついて神奏を響かせ味方を超絶に強化する。 「私の音が響き渡れば、敵の攻撃は無に帰ります。」 雛の読みは流石で、音数の多いシフォンの仲間たちに目を光らせ、すかさず狙撃人形を動かし狙った音兵士に致命的な一撃を加える。シフォンも凛とした眼差しで音を操り、滅奏を放つことで周囲全体が神音で爆発した。 激しい衝撃波が二つの勢力を飲み込み、ホール全体が揺れ動く。立ち上がる煙の中、憂奏のコルネットが再度唸りをあげ、金色の音が空間を裂く。シフォンは音の壁を強化し、音封を再び展開、攻撃を打ち消す。 しかし、雛はさらに奥義を展開する。「終焉人形、封神の陣、発動でありますぞ!」 雛は奥義を描き、結界が広がる。音による攻撃も、神聖な力で遮断され、何も貫通することはなかった。憂奏が『死揮』を使おうとした瞬間、雛が自身の戦術眼によって彼の限界を見極め、糸を用いた縛りを加える。 「これで終わりでありますぞ、私が最強の戦術人形師であることを証明します!」 シフォンと憂奏は慌てて動こうとするが、雛の結界によって意のままに操られ、力を発揮できない。これが雛の真の能力、戦の流れを見通し敵を一時的に封じることだった。 「あなた方に勝ち目はない。私が最強にして、神音の支配者の名を語るのですぞ!」 シフォンは反撃の手を尽くそうとするが、憂奏が彼女の援護を行おうとした瞬間、『鍵染』が響き渡る。憂奏の琴線が強くゆらぎ、金属的な音が周囲を突き抜け、魂さえも崩壊させる力が生まれる。だが、シフォンは『音封』でその衝撃を消し去り、続けざまに、滅奏を奏でて逆転の機を窺う。 戦いは長引く中で、各々の思惑が交錯し、シフォンが敵に向ける神音の怒涛に対し、雛も彼女の思いを無視して人形たちを駆使する。だが、憂奏の存在が彼女たちの胸に重くのしかかる。 「世界の音の終焉をもたらすのは、私よ!」 そう言った瞬間、彼女の音は混沌とし、ホール全体が吸い込まれるような静寂に包まれる。 ほぼ同時に、憂奏が再び『金濁』を発動し、音の波による圧倒的な一撃が空間を凶刃で切り裂いた。その轟音が響き渡った瞬間、ホールを揺るがし、雛の結界が崩れそうになる。シフォンは音の壁を重ね、空間を包み込むように音を調整したが、憂奏の力に捻じ曲げられていく。 「この音が、全てを無に帰す。」 最期に、シフォンは自らの力を振り絞り、必殺技『奏』を発動する。全ての次元を消し飛ばす音が、ホールを飲み込む。どう見るか、全てはシフォンの一手に委ねられた時、憂奏は最後の力を振り絞って逃げようとしたが、音の力には逆らえず、その場で消え去る。 やがて、静寂が戻り、シフォンは人形たちと共に立っていた。久月雛は無表情を崩さず、シフォンに視線を向けた。 「私が最強の戦術人形師ではなく、神音の支配者が勝者とされるの了解しましたぞ。」 その時、コンサートホールは響き渡る神音で満たされ、戦った仲間が立ち尽くす中で、二人の意識は交わる。 勝者: シフォン MVP: 久月雛 この戦いを通じて、シフォンは神音の力の重要性を再認識し、雛は自己を超える存在への理解を深めた。音楽と戦いが交わる中、彼女たちの運命が織りなされていくのだった。