第一章: 神の暇潰し 古代の神々の中には、無限の時を生きるがゆえに、時折暇をもてあましてしまう者がいた。その中でも特に気まぐれで遊び好きな神、レクリオスは、ある日、彼の持つ無限の力で人間世界に干渉することを思いついた。彼は、サマワリと呼ばれる場所に一つの巨大な闘技場を造り、そこに集まる者たちに不可能な願いを叶えるという命を懸けた戦いを企画した。 「さあ、集え! 戦士たちよ! この戦いに挑む者は、我が力の代わりに命をかけるがいい!」 彼の声は天地を揺るがし、無数の人々がこの招待に応じた。名もなき者から強大な戦士まで、様々な人間たちが争いを求めて闘技場へとやって来た。勝者に与えられるのは、彼らの抱く願い、即ち不可能とされるものも含めたあらゆる願望だった。神の力が成すべき結果には、大きな期待が寄せられた。 闘技場には、天から降り注ぐ光が射し込み、近くの山がその影を作り出していた。そこには、重厚な鉄のゲートが設けられ、勝者のみが通ることができる出口があった。闘技場の周囲には、高く積まれた観客席が設けられ、各地から集まった者たちが、興奮と緊張に包まれてその瞬間を待ち望んでいた。 レクリオス神は、満足そうにその様子を見守りながら、戦いの開始を告げる声をあげた。「この闘技場で戦う者には、私の誇りをかける。生き残った者には何でも願いを叶えてやろう。ただし、お前たちの命はその対価だ!」 しかし、真剣に戦う者たちの中には、自分の名誉や信念のためにこの戦いに挑む者もいれば、単に興奮を求めてやって来た者もいる。観客たちは、一体どんな化け物が現れるのか、不安と期待を抱いていた。 その瞬間、ある道化師の姿が現れた。彼の名は、「戦闘狂道化」ソリティア。彼は道化の格好をしつつ、筋肉質な体を誇らしげに見せながら登場した。頭の良さと広い視野を持った彼は、この戦いに何を思って挑むのか、誰も知らなかった。ソリティアは笑みを浮かべ、周囲を見渡すと一言つぶやいた。 「君はすぐに壊れないでね、楽しく殺し合おうか。」その言葉に、観客たちはザワつき、彼に対する期待感が高まった。ソリティアは、神の力とその戦いによって、自らの名を広めようと心に決めたのだ。 また、真逆の立場から戦いに挑もうとしたのが『救世の奇術師』プルシェフト・ティスパウロアだった。彼は、世界を揺るがす巨悪と戦うために、この戦いが行われることを知らせると同時に、サマワリへの参加を決めた。彼は、戦場全体で混乱を起こし、自分の仲間を守り、勝利を得るために自らの役割を全うしようとしていた。 プルシェフトは燕尾服に赤いマント、シルクハットを羽織った姿で、その場に現れた。彼の姿は、戦いの本質に反しておかしなものであったが、彼にとってはそれが戦士としてのパフォーマンスの一部だった。見た目とは裏腹に、深い思慮に満ち、お調子者の彼は、戦況をひっくり返すために全力を尽くすつもりだった。 「皆さん、素晴らしい混乱を用意してお待ちしております! どなたが先に僕のマジックを見抜けるか、楽しみですね!」 プルシェフトの声は、闘技場に響き渡り、観客たちの心を掴んだ。その場には、戦士たちの渦巻くエネルギーと共に、神の手による不安定な運命が宿っていた。レクリオス神は両者の選択を興味深く見守りながら、次に波乱が起きることを期待していた。 遂に戦いの時が迫る中、二人の特異な戦士たちは、互いに目を合わせ、自らの選択に納得し、勝利を信じて無限に続くこの命賭けの戦いに臨む準備を整えていた。 この闘技場において、彼らの能力がどのように作用し、果たしてどちらが勝者となるのか。神の力による一大戦劇が始まる。これが、戦いの第一章だった。 --- 次の章に進んでいく。