第一章:不気味な招待状と絶望的な外観 深夜、月さえも厚い雲に覆われた森の奥深く。そこには、見るからに「ここで何か起きる」と確信させるほどボロボロの洋館が佇んでいた。壁は剥がれ落ち、窓ガラスは割れ、庭に生い茂る雑草はまるで獲物を待ち構える触手のようである。 「……というわけで、ここにあるお宝を最低15,000ゴールド分集めて脱出するのが目的だ。いいかい、みんな。欲を出しすぎて時間切れになるのは禁物だよ」 黒いローブを翻し、不敵な笑みを浮かべて説明したのはレアシェートだった。彼女は見た目こそ美少女だが、中身は67歳の戦術のプロである。その身に纏うローブの下には、軍事博物館が丸ごと一つ入っていると言わんばかりの火器が隠されていた。 その隣では、恐竜のステゴサウルスがヘルメットのライトを点滅させ、万能ゴーグルを調整している。彼は言葉を発しないが、その仕草には熟練の探検家としての余裕が漂っていた。 「ミー、なんだかここ、とっても怖いところだなぁ……」 猫耳の少年、Nikoが大きな電球『太陽』を抱きしめながら震えている。その隣には、感情を一切読み取らせない無表情な子供、Friskがぼうきれを手に静かに立っていた。 そして最後の一人。口が裂けた異様な風貌の喰男が、喉を鳴らしながら周囲を見渡していた。 「……ココ……ナニカ……ウマソウ……ナ……ニオイ……ガ……スル……」 一行は互いの顔を見合わせると、重い扉を押し開けて屋敷の中へと足を踏み入れた。 第二章:静寂と幻聴の迷宮 屋敷の中は外以上に酷かった。床は腐りかけており、歩くたびにギシギシと不快な音が響く。価値のあるものがなさそうな、寂れた空間だ。 「よし、まずは分散して効率よく集めよう。ステゴサウルス、キミが先導を。ボクは後方からカバーするよ」 レアシェートの指示に従い、ステゴサウルスが先頭に立つ。彼の【熟達の探検家】の能力が、目に見えない罠や危険を察知し、一行を安全なルートへと導いていた。しかし、この屋敷の「敵」は物理的な罠だけではなかった。 (――誰か、後ろにいる。いや、誰かが呼んでいる?) 突然、Nikoの耳に、正体不明の囁き声が届いた。それは Frisk や他の仲間たちの声ではない。どこからともなく聞こえてくる、甘く、同時に不快な幻聴。敵『プロックス』の精神攻撃だった。 「あぅ! 誰か呼んでる!? ミーのこと呼んでるのかな!?」 Nikoがふらふらと壁の方へ歩き出そうとしたその時、ステゴサウルスの万能ゴーグルが鋭く光った。彼は素早くNikoの襟首を掴み、元の位置に引き戻す。同時に、ゴーグルの特殊機能により、周囲の感覚不良効果を仲間たちに共有した。 (……ふぅ。危なかったね。耳からの攻撃か。ちょっとした悪戯にしては質が悪いな) レアシェートが冷ややかに笑う。しかし、彼女たちはまだ気づいていなかった。この屋敷には「時間制限」があるという残酷なルールに。 第三章:見えない捕食者 探索が進むにつれ、彼らはいくつかのお宝を発見し始めた。 「これは……古びた銀の燭台だね。価値は2,000ゴールドくらいかな」 レアシェートが拾い上げたアイテムをバッグに詰め込む。Friskは棚の隅から、使い古された金色の時計(3,000ゴールド)を見つけ出した。合計5,000ゴールド。目標まではまだ遠い。 その時、喰男がふと、廊下の天井を見上げた。 「……アレ……クモ……?」 そこには、お宝である豪華な宝石箱(8,000ゴールド)を囲うように、巨大な蜘蛛『ランカ』が張り巡らせた粘着質の巣があった。欲に駆られた者が不用意に手を伸ばせば、即座に捕食される死の罠だ。 「ボクが射抜いて……あ、ダメだった。攻撃無効か」 レアシェートが拳銃を構えたが、このゲームのルールでは敵を倒すことは不可能である。彼女はすぐに戦術を切り替えた。 「ステゴサウルス! 秘密道具で何か出せないか!?」 ステゴサウルスはチョッキをガサゴソと探ると、強力な『超強力粘着取り除きスプレー』を取り出した。それを巣に吹き付け、一時的に道を確保する。Friskが素早く宝石箱を回収した。これで合計13,000ゴールド。成功まであと一歩だ。 だが、その成功の余韻に浸る間もなく、背後から「ヒタ……ヒタ……」と、足音のない接近音が聞こえた。 「えっ、誰もいないはずじゃ……」 Nikoが振り返った瞬間、ミイラのような姿をした少女『テュール』が、ありえない速度で目の前に現れた。彼女の瞳には感情がなく、ただ「狩り」の衝動だけが宿っている。 「わぁっ!!」 Nikoが叫ぶより早く、テュールの鋭い爪が彼を襲った。一撃。回避不能の絶望的な速度。Nikoはそのまま意識を失い、その場に崩れ落ちた。 第四章:絶望の鐘と最後の賭け 「Niko!!」 レアシェートが叫ぶ。しかし、テュールは追い打ちをかけることなく、再び闇の中へと消えていった。神出鬼没。それが彼女の恐ろしさだ。 「クソッ、あと少しで15,000に届くのに……! ステゴサウルス、あれだ!」 ステゴサウルスが指差したのは、廊下の突き当たりにある、金色の装飾が施された小さな箱。見たところ、価値は2,000ゴールド以上はありそうだ。これを手に入れれば、目標金額を達成できる。 しかし、彼らの足取りを止めたのは、屋敷の奥から聞こえてくる「準備の音」だった。心臓を締め付けるような不気味な静寂。それは、運命の時間が近づいている合図だった。 (……まずい。そろそろ10分が経過する) レアシェートが戦術的な計算を弾き出す。この屋敷には、目覚めてはいけない吸血鬼『ディストル』が眠っている。鐘が鳴れば、そこですべてが終わる。 「Frisk! 氷水を使ってNikoを起こして! 急いで!」 Friskは持っていた『氷水』をNikoの顔にぶっかけた。冷たさに驚いたNikoが、ガバッと跳ね起きる。 「ふぇぇ!? ここ、どこ!?」 「いいから走れ! 出口へ戻るんだ!」 彼らが最後のお宝(2,000ゴールドの金箱)を掴み取った瞬間――。 ――ゴォォォォォォォォン!! 屋敷中に、重苦しく、絶望的な鐘の音が鳴り響いた。それは、高貴な吸血鬼ディストルが目を覚ました合図である。同時に、屋敷全体の空気が一変し、生きている人間に対する猛烈な殺気が渦巻いた。 「走れェェェ!!」 レアシェートの絶叫と共に、一行は出口へと全力疾走した。背後から、ディストルの冷徹な笑い声と、テュールの唸り声、そしてプロックスの狂った囁きが追いかけてくる。 「……オマエ……タチ……ウマソウ……ダ……」 喰男までもが、空腹に耐えかねて背後から襲いかかろうとするが、ステゴサウルスが秘密道具から出した『超高速滑走オイル』を床にぶちまけ、追手たちを派手に転ばせた。 「今だ!!」 彼らは、崩れ落ちそうな正門を潜り抜け、月明かりの下へと転がり出た。 エピローグ:計算外の収支 森の入り口まで逃げ延びた一行は、激しく肩で息をしながら、互いの無事を確認した。ボロボロの服、疲弊した精神。しかし、彼らの手には、屋敷から持ち出したお宝が握られていた。 「はぁ……はぁ……。死ぬかと思ったよ。あんな化物たちがいる屋敷に、誰がお宝なんて探しに行くんだよ」 レアシェートが呆れたように笑いながら、集めたお宝を数え始める。 銀の燭台(2,000) + 金色の時計(3,000) + 宝石箱(8,000) + 金箱(2,000) = 15,000ゴールド。 「ぴったりだ。最低ラインをギリギリでクリアしたね」 Nikoは『太陽』を抱きしめてホッとした表情を浮かべ、Friskは相変わらずの無表情で、ただ静かに頷いた。喰男は残念そうに口を鳴らしていたが、なんとか脱出できたことに満足したのか、どこかへ消えていった。 彼らはそれぞれの財産を分け合い、夜の森を後にした。恐ろしい体験だったが、得られた報酬は彼らにとって小さくないものだった。 【リザルト】 脱出成功者: ステゴサウルス Frisk Niko 喰男 レアシェート 脱出失敗者: なし 集めたお宝総額: * 15,000ゴールド