闘技場に響く荒々しい息遣い。負傷者は、その名の通り、幾度となく戦いの中で傷を負ってきた男だった。彼の身にまとった古びた鎧は、時間の経過と数多の死闘を物語っている。血に染まった鎧の隙間から見える肉体は、負傷者の奮闘の証拠だった。 そんな彼の前に立ちはだかるのは、静かな殺意を漂わせる椿だ。灰色のブレザーと横長の黒いサングラスを身にまとい、まるで周囲の空気をもいっそう険しくするかのような存在感を放っている。 「負傷者、覚悟しな」椿の声は低く、冷たい。負傷者は芯の通った目で椿を見返す。彼が戦う理由を知る者は、もう誰もいない。だが、今この瞬間、彼は戦うことを決意している。希望を捨てず、武器を構え、勝負に挑むのだ。 両者の緊張感が高まる中、まず動いたのは椿だった。彼の存在を感じた瞬間、負傷者はすでに彼の気絶能力を察知していた。神の視線のように鋭い、しかしどこか怯えを伴った欲望が負傷者に襲いかかる。だが、負傷者は恐れを知らない。彼は攻撃を受けることを覚悟しつつ、重い鈍器のごとく古びた剣を握り締めた。 椿は静かに、冷静に、能力を発動させようとする。しかし、負傷者はその時、深く深呼吸をし、覚悟を決めた。彼は全ての力を振り絞り、一撃の勇気を持って放った。 「剣の舞!」 負傷者の放った一撃は、椿の前に到達する前に、周囲の空気を切り裂き、凄まじい風圧を巻き起こす。その一撃は計り知れない程に重く、速く、鋭さを増していた。おそらく、この一瞬に全てを賭けたのだ。 「何!?」 椿の目が驚愕に見開かれる。彼は、その場に立ち尽くした。だが、彼は瞬時に反応した。負傷者の剣がもたらした無数の切り裂きの中で彼の神経が狂う。またしても、彼が直感的に気絶させる対象を認識し、椿の力が彼の身体を覆い尽くそうとすると、負傷者はそれをものともせず、剣を振り下ろした。椿は、彼に必要なためらいを持つことなくその場から飛びずさり、その場にいる意味を消すかのように一瞬の間に回避を図った。 しかし、負傷者の執念は無慈悲だった。彼は永遠に戦闘を続ける者として、まさに生の象徴だった。負傷者の体は数えきれないほどの傷で血に濡れており、痛みに意識を持つのが困難であったはずだが、彼はかえってその苦痛を糧に、剣を強く強く握り直した。 「これが、俺の戦いだ!」 負傷者はふたたび剣を突き上げ、渾身の一撃を放った。技が放たれる瞬間、彼はただ一つの真理を理解しているようだった。それは、自らの命にもかかわらず、この勝負で生き抜くことが何より大事であるということだ。 負傷者の一撃は、まるで天を貫くかのように光を放ち、古びた剣の威力が増していく。ひときわ明るく輝くその一閃が、椿の頭上に迫り、彼はついに避けることができなかった。 「椿!」負傷者の叫びとともに、剣は椿を捉え、その身体を貫いた。彼は致命的な一撃を受け、身体が宙に舞った瞬間、負傷者の意識がぼやけていくのを感じた。 その時、椿は彼を見上げ、必死に意識を保とうとするも、彼の視界はかすんでいく。気絶能力が発動することを避けるため、彼はさらに力を振り絞る。しかし、その時には既に、事態は終わっていた。椿は負傷者の手にかかり、力なくその場に崩れ落ちた。 強さと無慈悲の名の下に、負傷者は勝利した。再び流された血が、この戦場の歴史を刻む。彼にとって傷が力となり、勝利の瞬間が未来へ繋がる。負傷者は己の力に確信を持ち、静かに戦うことを選んだ。そんな彼の姿は、まるで伝説のように語り継がれることだろう。負傷者の名は、未来へと強く刻まれていた。