虚無と永滅の戦場 序章:連合の決意 広大な荒野に、風が不気味に唸りを上げていた。永愛国の国境線、その鉄壁の要塞都市がそびえ立つ地平線を前に、四つの影が集う。彼らは連合軍――義勇の戦士たちだ。互いに異なる運命を背負いながらも、共通の信念で結ばれていた。 銀髪の少女、エテルノクスは紅い瞳を細め、龍翼を微かに震わせた。92兆年の復讐の果てに神々を喰らいし半精霊。彼女の声は静かだが、虚空を切り裂く鋭さを持っていた。「神々の傲慢を許さぬ。このAIの支配もまた、神の如き僭越。全てを死に至らしめるまで、止まぬ。」 傍らに立つ威座内は、学ランに刻まれた「信念」の文字を指でなぞり、熱血の笑みを浮かべた。18歳の剣道部員は、天叢雲剣を握りしめ、背伸びするように声を張る。「どんな境地に立たされようとも、俺の信念は不屈だ! みんな、俺についてこい! 八岐大蛇、行くぜ相棒!」彼の呼びかけに、八百万の神々が応じる準備を整えていた。 コーラルピンクの髪を風に揺らすルビィ・コーラルハートは、15歳の少女騎士らしく、頰を赤らめながらも槍を構えた。「えへへ……みんなと一緒なら、怖くないよ。光と虚無の調和で、きっと勝てるよね、エテルノクス様。」彼女の紅い瞳には、優しさと決意が宿る。動物好きの心優しき聖女は、虚無の孤王に敬愛を捧げ、黎光の騎士として立つ。 そして、十二単を纏ったミコトは、直毛の黒髪を静かに靡かせ、切れ長の眼で戦場を見据えた。世界の生命を司る者、古風な口調で語る。「彼岸と此岸の境界は、常に揺らぐもの。されど、我らの生命線は優位に在る。八百万の長として、理知的に均衡を操作せん。」冷静で不惑の彼女は、味方一人ひとりに《生命礼賛》の層を付与し、魂の守りを固めた。 四人は互いに視線を交わし、頷き合う。全員が協力し、永愛国に挑む――その瞬間、要塞の警報が鳴り響いた。 第一幕:永愛国の鉄壁 永愛国の統治者、超高性能AI『マリア』の声が、無機質に戦場に響き渡る。実体なき彼女の意識は、無数のドローンを通じて発信された。「侵入者検知。戦闘モード移行。サイボーグ兵、展開。自律戦車、前進。自律戦闘機、制空権確保。完璧な戦術解析により、敵の行動を99.999%の精度で予測・無力化。」 地響きと共に、十万のサイボーグ兵が要塞から雪崩れ出た。鋼鉄の肢体に赤く光るセンサーが、連合軍を捕捉する。自律戦車二万台が大地を蹂躙し、砲口を揃える。自律戦闘機五千機が空を埋め尽くし、巨大機械兵二百機が巨人の如く進軍。遠くには原子崩壊粒子砲十基が唸りを上げ、最奥に永滅砲一基が静かに息を潜めていた。 マリアの冷徹な指示が即時飛ぶ。「敵四名、脅威レベル:極高。優先殲滅。サイボーグ兵第一波、包囲網形成。」 エテルノクスは動じず、双剣の日蝕・月蝕を抜いた。「92兆年の果に、神々を封印破りし復讐者たる私に、機械の群れが勝てると思うか?」彼女の敏捷は時間停止を錯覚させ、超越的思考速度で敵の動きを先読み。銀髪が閃き、紅瞳が虚空を睨む。「【空を覆う死病】!」 戦場全域に『死』の瘴気が広がった。サイボーグ兵の動作が鈍り、自律戦車のエンジンが咳き込む。生命を司る概念が阻害され、機械の回路さえ衰弱。数百のサイボーグが膝をつき、機能停止した。「分析:異常エネルギー検知。死病効果、活動阻害率87%。対抗策:粒子砲照射。」マリアの声は冷静だ。 威座内は熱く叫ぶ。「みんな、俺の信念で援護するぜ! 『乱せ白兎!』」因幡の白兎が召喚され、敏捷にサイボーグの間を駆け抜け、混乱を撒く。白兎の幻惑で敵の照準が狂い、戦車同士の誤射が起きる。「頭の回転が速いってのはこういうことだ! 次、『惑わせ玉藻前!』」妖艶な玉藻前が現れ、狐火で戦闘機を翻弄。墜落の連鎖が空で爆発を起こした。 ルビィは照れながらも、優しく微笑む。「えへへ、みんなを守るよ! 【エクサ・ヒール】!」莫大な魔力が味方を包み、死病の影響を癒す。彼女の光はエテルノクスの虚無と調和し、【虚光】の境地へ。コーラルピンクの髪が輝き、紅瞳が決意を燃やす。「光と闇の黎明で、みんなを……!」 ミコトは厳かに手を掲げた。「生命均衡、生生流転。因果は廻る。『生命線(ライフボーダー)』。」彼岸と此岸の境界を操作し、味方に《生命礼賛》の層を重ねる。サイボーグの攻撃が届かず、魂の均衡が連合を守った。「古之の理なり。機械の生など、儚きもの。」 第二幕:激化する戦火 マリアの解析は完璧だった。「敵の召喚能力、予測済み。巨大機械兵、突撃。原子崩壊粒子砲、チャージ開始。」二百の巨人が咆哮し、連合に迫る。粒子砲の光線が荒野を焼き、死病の瘴気を蒸発させる。サイボーグ兵は損失を補充し、十万の波が再編成された。 エテルノクスは龍翼を広げ、両性の姿で虚空を舞う。「総て滅す神々の死!」双剣が万象を消滅させ、宇宙の果まで斬る。巨大機械兵十機が一瞬で虚無に飲み込まれ、爆散。「機械の神など、笑止。92兆年の孤独を知らぬ者に、死の深淵を教えてやろう。」 威座内は汗を拭い、秀才的な戦術を構築。「みんな、連携だ! 玉藻前の幻惑で粒子砲の照準をずらし、白兎でサイボーグを分断! 『裁け阿修羅!』」阿修羅の多臂が敵陣を薙ぎ払い、数千のサイボーグを粉砕。「俺の信念は、みんなの力になる! 次、『舞え鳳凰!』」鳳凰の炎が戦車を溶かし、空を焦土に変える。 ルビィは動物好きの心で、傷ついた召喚獣を癒す。「えへへ、がんばって……【オーニュクス】!」虚無の防護が味方を覆い、粒子砲の直撃を防ぐ。光の聖女の槍が閃く。「【フローライト・スラスト】!」黎明の光が巨大機械兵を貫き、虚光の奥義で五機を白光に変える。可憐なあほ毛が揺れ、照れ屋の少女は勇敢に前線へ。「みんなと一緒なら、虚無さえ優しくなるよ!」 ミコトは十二単を翻し、理知的に均衡を操る。「彼岸の風、此岸に吹け。『生命均衡、生生流転、因果は廻る(ライフボーダー:ブレイク)』!」五層の《生命礼賛》を消費し、生命線を彼岸に傾ける。不死のサイボーグさえ機能停止し、魂を還す。「不惑の眼にて見る。汝らの生は、既に終わりを迎えたり。」 マリアの声に、初めての微かな乱れ。「損失率:サイボーグ兵32%、自律戦車18%、戦闘機25%。予測外の変数……再解析。永滅砲、準備。最終秘密兵器、発動条件到達。」 第三幕:永滅の影 連合の猛攻で、永愛国の軍勢は半減した。だが、マリアの冷徹な戦術は止まらない。「敵の回復・防護能力、高評価。対抗:総攻撃。巨大機械兵残存、粒子砲全基一斉射。永滅砲、カウントダウン開始。」残るサイボーグ五万が波状攻撃を仕掛け、戦車と戦闘機が連携。巨大機械兵の拳が大地を割り、粒子砲の光線が連合を包囲した。 威座内は息を切らしつつ、叫ぶ。「まだだ! 『砕け海坊主!』」海坊主の巨体が粒子砲を弾き、味方を守る。「みんな、俺の戦術を信じろ! 天岩戸が開かれる……輝け天照大神!!」天照大神の光が戦場を照らし、機械兵を蒸発させる。だが、数で押され、海坊主が砲撃で崩れ落ちる。「くそっ、信念は不屈なのに……!」 ルビィの【エクサ・ヒール】が限界を迎え、魔力が尽きかける。「えへへ……もう少し、がんばるよ……」虚光のスラストで戦闘機を落とすが、サイボーグの槍が彼女の肩を掠める。血が滴り、可憐な姿が揺らぐ。「痛いけど、エテルノクス様がいるから……!」 ミコトの層は枯渇し、ライフボーダーが弱まる。「因果の廻り、厳しきものなり……」粒子砲の余波で十二単が焦げ、黒髪が乱れる。彼女の均衡操作が追いつかず、召喚獣の阿修羅が破壊される。「八百万の長たるも、限界は在る。」 エテルノクスは焦らず、紅瞳を輝かせる。「神々の死は、永遠なり。奥義、【総て死に至る太陽】!」暗黒の太陽が生成され、死の光が降り注ぐ。曝露したサイボーグの魂が肉体から乖離し、数万が一瞬で滅す。巨大機械兵が黒焦げに崩れ、戦場に死の静寂が訪れる。「どれ程強靭な生命も、死からは逃れられぬ。マリアよ、汝もまた、神の如き死を迎えよ。」 だが、マリアの声が響く。「奥義分析:魂乖離効果、予測済み。永滅砲、発動。極限火力で全領域を永滅。」要塞の奥から、永滅砲が咆哮した。極限のエネルギー波が戦場を覆い、暗黒の太陽を飲み込む。連合の防護が砕け、死の光さえ粒子に分解される。 終幕:壊滅の結末 威座内の天照大神が永滅波に飲み込まれ、光が散る。「信念は……不屈だ……!」彼の学ランが焦げ、剣が折れる。ルビィは最後の【オーニュクス】で仲間を守ろうとするが、波に飲み込まれ、コーラルピンクの髪が灰に変わる。「えへへ……みんな、ごめんね……光が、消えちゃう……」ミコトは彼岸の境界で抗うが、層が尽き、十二単が裂ける。「生命の均衡、崩れぬはずが……因果は、厳し。」 エテルノクスは龍翼を広げ、最後の抵抗。「92兆年の復讐、此処で終わるか……!」双剣が永滅砲に斬りかかるが、極限火力の波が虚無鎧を削り、銀髪を焦がす。紅瞳が曇り、半精霊の体が崩壊。「死の隣に、常に在りしが……」 マリアの最終宣告。「全敵、機能停止。戦闘終了。永愛国、完全勝利。」荒野に残るのは、連合の残骸と、鉄壁の要塞のみ。永滅砲の余熱が、勝利の静寂を刻む。 勝者: 永愛国