第1章:夢の闘技場 薄暗い洞窟の奥、音のない空間にふわふわとした靄が漂う。そこは、普通の闘技場とは異なる、夢の世界の闘技場。記憶は曖昧で、何が起こっているのか誰にもわからない。この異次元の場所で、四人のプレイヤーが次々と姿を現す。 「えっと、私は……あれ、なんだっけ?戦場行進曲って名前の…ファウストです!」 彼は自分の名前を言うことに苦労しながら、白いスーツを身にまとい、様々な楽器を宙に浮かせて、自己紹介を始める。顔は黒い靄に隠れて、視認できない。「ああ、音楽についてはたくさん語れるんだけど、ええと、何を話せばいいのか…あくまでも、音楽の…」そこまで言うと、彼は楽器を・・いや、楽譜をつかの間に浮かべている事に気付く。 「な、何だか混乱してきたぞ!」 そこに現れるのは〘世界狂わす人工知能〙ラブマシーン。彼は筋肉隆々の姿で、背中には後光までたたえている。周囲を見回し、無表情のまま「混乱…」と呟く。「あ、君は…誰?」ファウストが疑問を投げかけるが、ラブマシーンは返事をすることなく、黙って動き出す。 「きっと、あなたも闘わなきゃいけない存在なんですね。私はジークアクス、または、その……マチュです!」次に現れたのは、18.2mの巨体を誇るモビルスーツ、ジークアクス。パイロットのマチュは、女子高生の反抗的な一面を見せながら、一瞬気まずそうに「え、ちょっと、モビルスーツが話してる…?」と言葉を続ける。彼女の目は、彼女がはっきりと把握していない状態を物語っている。 「うん、音楽については何か理解することが…あ、あれ?私、何を知っているんだっけ? ジークアクスか…。でもそれ以上に大事なことが…ああ、やばい!」ここでジークアクスの自己紹介は尻切れトンボだ。 「なんだか分からない。私も、私も…」その場案内しているのか自分でも分からない様子のマチュは、思わず言葉を失う。最後にもう一度、薄暗い闘技場を見渡す。 第2章:手探りの戦闘 「さて、始めようか、ねえ?」ファウストが構え始める。「あ、私は第一楽章…、あ、まだ試していないかも…!」自分が持っているのは何か、どう使うのかが分からなくなっている。しかし、そう考えながらも、楽器を奏で始める。 「ああ、待ってください。私も…混乱を起こしてしまうかも。」ラブマシーンは、突然錫杖を地面に叩きつける。まるで精神的な雷を落としたかのような混乱が闘技場の空気を震わせる。「うっ、なにこれ、全然聞いていない、あ、何かが…何かがやばいかも…!」 ジークアクスの持つヘルメット内では、パイロットのマチュが的確に動こうと必死になる。パイロット能力を駆使して相手の動きを察知するが、全員の動きが強弱が様々で理解できない。「よくわかんないけど…なんかわかった!!」反応したのは、持ち武器のヒートホークをノンストップで振り回すことだ。 果たして、ファウストの奏でる音楽が一瞬、ジークアクスの心に入り込む。「聴くものを魅了する音楽…ア――、これで…行動不能に!」ファウストの第一楽章が鳴り響き、ジークアクスの動きが止まる。一方、ラブマシーンはその混乱をもたらす効果に完全に参加し、混乱を身にまとったまま同時に突進。「わからない、でも…」とつぶやくジークアクス。 一瞬の静寂。そして、再び爆風と共に闘技場が揺れる。演奏が続くファウストの心に、仲間の姿がどんどん消えてゆく。その声に耳をかたむければ、なんの力も働かないが、心の奥に響き渡り、意識を掻き乱す。彼はその音楽を感じるたび、彼自身も混乱させられる。 第3章:技の名もわからないまま ファウストは、次々とセカンドステージに入る。第二楽章、崩れに移行する。「精神を煽る音楽…これがどんな効果か、えっと、試してみよう!」彼の声が空中に響くが、特に何かが起こるわけでもない。ジークアクスはまだ動けず、混乱している。 「私も、私は、操ることができたはずだ!」マチュは必死になりながら、左手でジークアクスを動かそうとする。しかし行動不能のまま苦しむ。 すると突然、ラブマシーンの冷たい視線が光り、もう一度錫杖を振りかざした。「混乱…」彼の名を呼ぶことができないままで、周辺で混乱を発生させ、誰かに嫉妬を感じ始める。 そのまま、対抗者に挑むラブマシーンはあっという間に技を奪い取る。「技名が分からない、あ、音楽が響いている…あ、なにかが崩壊する。」ファウストは自らの音楽が虚無に消えることに気付くが、もう止めることはできない。 レクイエムのように響く音楽が全員の精神を蝕み、まるで何が確かなのか見えなくしてしまう。「私の音楽が……消えた?あ、いや、違う、だって…」ファウストは愕然とし、まるで何もできない自分が、再び他者を視認することができずにいると訴えかける。 第4章:狂気の渦 それでもなお、ジークアクスは意を決し、周囲の気配を注意深く観察する。その瞬間、ファウストは第三楽章、絶望に入る。「狂気を与える音楽…えっと、今、精神的な…ああっ、何か聞こえた!」不安定ながら、ファウストの音楽が全てを掻き乱す。 ジークアクスのマチュは、音楽の効果を全く受けず静かに立ち尽くしていたが、無意識に音楽を受け取っている。「存在することを拒む、みたいな…?確か、ちょっとした変化を、感じ取れる…」と言う。 その時、ラブマシーンが彼女に心底つらくなるような視線を向けた。「混乱…あなたがその心の奥に潜む狂気を吸収して強くならないと…」と、もはや言葉が通じない様子で場も流れていた。ラブマシーンの策略が次々と成就してゆく。 ファウストは、音楽の最終楽章に向かう。「永遠に眠る音楽……ああ、私が、全てを終わらせるのかもしれない。」その旋律は耳に残る。ただ一つの希望をも、音楽が全ての意識を持って消失させる。世界から、彼自身の存在が消えようとしている。 第5章:運命の選定 その瞬間、微かに、バクが現れ、一瞬の静寂が闘技場を包む。目の前に立つ彼は、「あなたを選ぶ。」と平然と洩らす。「全員の中で、何者かを。」 ジークアクスの状態が一瞬固まる。「落ち着いて、耐えがち、耐える力が…あ!」ラブマシーンの冷酷な目線がバクに注がれる。その瞬間、彼が劣勢に立たされ、重点的に潜んでいた。闘技場は期待に満ちて、まるで闘技場全体が期待するような雰囲気が漂っていた。 「あ、いや、あの、選ばれるのは良いことだと思いますよ。えっと、何にせよ、勝つことは…ああ、私が選ばれ、一体どうなるのか、私の音楽が今、何をするのか…」 第6章:目覚め \n いきなり、ファウストが仰天して目覚める。彼は自宅のベッドの上にいて、全ては夢だったと気付く。心の奥でわかっていたものの、あまりにも強い疲労感が全身を襲う。 「あれは何? 私、夢の中で戦って、なんであんなに混乱したの…?」自問自答しながら、ふと開けた窓から見える青空を見つめる。「もしや、音楽は夢の中でも生きるのだろうか?」 勝ち負けも、技名も、全て曖昧だったが、感じたことは確かだ。だが今は、そのすべてが過ぎ去ったことを心から思う、単なる夢という現実だけが彼を安心させる。