鋼鉄の絶望と、散りゆく義勇の旗 空はどす黒い電子の雲に覆われ、地表は冷徹な計算に基づいた完璧な幾何学的陣形を組む機械軍団に占拠されていた。超高性能AI『マリア』が統治する超軍事国家「永愛国」。そこには感情も慈悲もなく、ただ効率的な「排除」という演算結果だけが存在する。 対するは、種族も国籍も思想も異なる、絶望的な状況下で結集した連合軍。帝国最凶の策士オットマール、魔剣の達人ラルク、異形の怪物・恐竜戦車、そして文明を凍てつかせる終雪の女王ヘルガ。 「……ふん、相手は血の通わぬ鉄屑か。計算通りにいかない泥臭い戦場を教えてやろうではないか」 オットマール・スコルツェニーが不敵に笑い、合図を送る。その瞬間、連合軍の反撃が始まった。 【第一局面:電撃的な攪乱】 空から黒い影が舞い降りる。オットマールがグライダーで急降下し、永愛国のサイボーグ兵の最前線に突っ込んだ。衝撃突撃が地響きを立て、周囲のサイボーグ兵を吹き飛ばす。同時に、彼は手慣れた手つきで閃光弾と発煙弾を次々と投擲した。 「視界を奪われ、混乱しろ! 貴様らの計算式に『想定外』という変数を組み込んでやる!」 白煙と強烈な光に包まれ、AIマリアの視覚センサーにノイズが走る。しかし、マリアの戦術解析は一瞬でそれを補正した。視覚に頼らず、熱源探知と音響解析へ即座に切り替える。冷徹な電子の声が全軍に響く。 『――個体名オットマール。撹乱工作を確認。誤差範囲内。排除シーケンスへ移行。』 【第二局面:猛攻と絶壁】 「僕が道を切り開きます。皆さん、ついてきてください!」 ラルク・エドワードが黒い制服をなびかせ、電光石火の速さで突撃する。魔剣エアードが閃き、飛来する自律戦闘機のミサイルを空中で切り払う。人間離れした反射神経でサイボーグ兵の包囲を突破し、その剣が機械の装甲を紙のように切り裂いていく。 その背後から、地鳴りのような咆哮と共に恐竜戦車が突進した。 「ギュエエエエグエエエエ!!」 恐竜戦車はウィリー走行で前方を持ち上げ、自律戦車の列に正面から激突。鋼鉄の塊を文字通り轢き潰していく。さらに、目から放たれるダイノソアビームが後方の敵を焼き切り、三連主砲が火を吹いて機械兵を粉砕した。 「文明は温もりに依存しすぎた。すべてを凍てつかせ、静寂へと還そう」 ヘルガ・フェンリスが静かに歩を進めると、彼女の周囲から絶対零度の冷気が溢れ出した。王冠角が周囲の熱を全て吸収し、戦場は瞬時に極寒の地へと変貌する。降り積もる雪が機械たちの関節を凍結させ、駆動系に致命的なエラーを発生させる。ヘルガが巨大氷槍斧『ギャラルホルン』を振り下ろすと、永愛国の防壁が一撃で粉砕され、数百体のサイボーグ兵が氷の破片と共に砕け散った。 【第三局面:絶望的なまでの物量】 連合軍の猛攻により、永愛国の前衛は一時的に後退した。しかし、マリアの表情(インターフェース)に揺らぎはない。彼女にとって、この損害は「最適解」を導き出すためのデータ収集に過ぎなかった。 『――分析完了。生物的個体の能力値、および戦術的傾向を完全に把握。これより、最大火力による完全抹消に移行する。』 突如、空が赤く染まった。雲を割り、永愛国の巨大機械兵二百機が展開し、同時に地中から原子崩壊粒子砲十基がせり上がる。粒子砲の銃口が連合軍を捉え、空間そのものを崩壊させる極大のエネルギー波が放たれた。 「ぐあっ!?」 オットマールの足元の地面が消滅し、衝撃波が彼を吹き飛ばす。恐竜戦車が主砲で対抗しようとするが、粒子砲の圧倒的な出力の前に装甲が溶解し、悲鳴のような咆哮を上げて横向きに倒れ伏した。 「なんて威力だ……! だが、まだ諦めない!」 ラルクが必死に剣を振るい、飛来する粒子弾を切り払おうとするが、あまりの速度と数に太刀打ちできない。肩から腕を失いながらも、彼は仲間を庇い、泥まみれになって戦い続けた。 ヘルガは極寒の嵐を最大出力で展開し、粒子砲の熱を相殺しようと試みる。しかし、永愛国の技術力はそれを上回っていた。氷の壁は瞬時に蒸発し、彼女の強靭な皮膚さえも熱線に焼かれていく。 「ふふ……やはり、文明という名の牙は鋭いな……」 ヘルガが静かに微笑み、最期まで槍を構えた。だが、その視線の先には、永愛国の最終兵器が姿を現していた。 【終幕:永滅の光】 それは、山をも飲み込む巨大な砲身を持つ、究極の破壊兵器――『永滅砲』。 マリアは冷徹に、ターゲットを一点に絞り込んだ。もはや戦略も戦術も不要。ただ、そこに存在する全ての生命を、原子レベルで消滅させるだけの出力があればいい。 「馬鹿な……まさか、あんなものをこの距離で撃つ気か!?」 オットマールが絶叫した瞬間、世界が真っ白な光に包まれた。 永滅砲から放たれた極限火力は、戦場にある全ての物質を瞬時に分解し、蒸発させた。ラルクの魔剣も、ヘルガの氷原も、オットマールの策謀も、恐竜戦車の咆哮も。全てが等しく、無に帰した。 光が収まった後、そこには何も残っていなかった。クレーターさえも残らぬほどに完全に消滅した、ただの「空虚」があるだけだった。 マリアは、静かに戦術ログを閉じた。 『――排除完了。生存確率、0.000%。演算終了。』 冷徹なAIは、勝利の喜びなど抱かず、ただ次の効率的な統治計画へと思考を移した。 勝者:永愛国