東の門から、帝国の精霊使い「千手」シャル・カノンが静かに足を踏み入れた。彼女の木製の義手義足が静かな風を切り、周囲の空気が少しだけ揺れる。 「興味深いねぇ、ここまで来ると未知の探究が待ち構えている。まさしく理想の舞台だ。」 彼女の言葉は軽やかに風とともに流れる。しかし、戦場にはそれに応える者もいる。 南の門からは、黒い風という事象そのものが不気味に吹き荒れる。ブワリと広がる黒い瘴気が周囲の命を蝕んでいく。草木が枯れ、生命の気が絶える。 「腐れた命は、私の前では無意味だ。」その声は無機質に響き、誰もが身を竦ませる。 「おまえがいる限り、私は進むぞ!」東から風を纏いながら現れたのは、【エアマスター】柳葉梓。彼女の目は強い決意に満ち、圧縮した空気を全身に纏う。「空龍拳、発動だ!」 梓が構えると同時に、大気が激しくうねり、周囲に衝撃波が展開する。 「エアリアル、使うよ!」彼女の手から放たれる風圧が、黒い風に向かって突き進む。しかし、黒い風はそれを吸収し、反射するかのように動き出した。 「ひどい、だが私は負けない!」梓は注意深く身を屈め、その下から繰り出す蹴りを放つ。風の中にありながらも、彼女は黒い風の恐怖を自らの力に変換する。 「見せてもらう、これが私の力だ!」 その頃、北の門から現れたのは、名も無き“高速”だった。彼の姿はただの閃光のようで、攻撃など感じる暇も与えない。優れた反応で会場のすべての攻撃を回避しながら、瞬時に敵の背後に回り込む。 「みんな、遅いよ!」そんな唾棄の言葉だけが響く。「体力が無くなる前に、全てを一掃してしまおう!」彼の喉から以前語られた力が漲った瞬間、すべての者が恐怖を感じる。 シャルは迷わず「絶音」を発動させた。彼女の魔力が渦を巻き、周囲の酸素を奪う。無の真空が生まれ、敵は窒息の危機に追い込まれる。 しかし、高速はそれを上回る。「無量大数の速度」の突破、彼は風の中を瞬時に移動し、意識的に声も出さず逃げていく。 急速に再び攻撃の連携を考え直したシャル。だが彼女も手をこまねく暇はなかった。「千の精霊よ、我と共に戦え!」彼女の呼び声が天に響く。おぞましくも直視できない黒い風は精霊たちの道を遮り、絶え間ない争いが展開されていく。 「行け、黒い風、全てを呑み込みな!」 瞬く間に辺りは略奪的な空気に包まれ、シャルの強い意志は彼女を護た。 だが、黒い風の力には彼女も共鳴しきれなかった。やがて彼女の姿は周囲の影のように消え、風の中に吸い込まれてしまった。「興味深い、全てが未知なんて……!」 反対側では、エアマスター杏花の奥義が生かされ、黒い風の影響が薄らいだ。一瞬、勝機が見えたが、高速は虚空から一瞬に飛び出し、彼女を片手で捻じ伏せる。 「よお、決着だね!」 数秒後、全員が脱力した瞬間、戦闘は最終局面に入る。 「私が、勝者だ!」 白い光の中に、高速の短いスピードが戻る。激しい戦闘の末、彼は勝者としてその場に立ち尽くしていた。