白い森の魔術師と不吉な梟 白い森は、霧に包まれた中世の遺構のように静まり返っていた。人の背丈ほどにそびえる瑪瑙の群晶が、無数に林立し、森全体を宝石のような輝きで覆っていた。それらは『アゲートの巣』と呼ばれ、触れる者を拒むように冷たく脈動している。リアムは、そんな森の奥深くに足を踏み入れていた。謎めいた魔術師の彼は、黒いローブを優雅に翻し、所作の一つ一つに上品な気品を湛えていた。長い銀髪が風に揺れ、唇には穏やかな微笑みが浮かぶ。「うふふふ、この森の秘密を解き明かしましょうね。」 彼の目的は明確だった。『アゲートの巣』を一つ一つ破壊し、この侵食された大地を解放すること。魔術の可能性を人々に知らしめた第一人者として、こうした異常な存在を放置するわけにはいかなかった。リアムは静かに手を挙げ、東の方向へ視線を向ける。基礎的な詠唱を破棄した彼の魔術は、常時最大火力で即座に発動する。『⥀』──重力を操る究極の術式が、指先から静かに広がった。「ふふ、重力の流れを逆転させてみましょうか。」小声で解説しながら、彼は反重力の力を巣の一つに集中させる。瑪瑙の群晶が浮き上がり、空中で砕け散る音が森に響いた。一つ目の破壊完了だ。 しかし、森は静寂を保たなかった。破壊の衝撃が響くたび、『アゲートの住人』と呼ばれる影のようなモンスターが巣の残骸から湧き出てくる。最初は小さなものだった──黒い霧のような実体が、リアムを取り囲むようにうごめく。彼らは参加者を妨害する存在で、鋭い爪を伸ばして襲いかかる。リアムは冷静に体術を交え、足を滑らせて回避。重力を付与した拳を振り抜くと、モンスターは地面に叩きつけられ、霧散した。「うふふふ、甘いわね。魔術と体を併用すれば、こんなもの簡単よ。」二つ目、三つ目の巣を次々と破壊していく。負荷十倍の重力球を放ち、瑪瑙を粉砕するたび、住人たちは増え、苛烈さを増す。 森の木々の枝に、突然、不吉な影が止まった。被検体003号──種族は梟、ただの鳥のように見えるが、その存在は異質だった。研究所の副産物として生まれたこの一羽は、ホーホーホーと低く鳴きながら、リアムを見下ろしている。非人語の鳴き声は、ただの梟のそれのように聞こえるが、目にする者すべてに不吉な予感を抱かせる。被検体003号には害意がない。ただ、常時体から未知の細菌を広範囲に撒布し続けているのだ。その細菌は生物の細胞を蝕み、気づかぬうちに体を蝕む。リアムは最初、それをただの鳥と認識した。「あら、可愛らしい観客さんね。うふふふ、邪魔はしないでちょうだい。」 四つ目、五つ目の巣を破壊する頃、リアムの動きにわずかな異変が生じていた。息が少し上がり、額に薄い汗が浮かぶ。体調の変化は微かで、彼自身気づいていない。被検体003号は木の上から傍観を続け、咳き込みながら血を吐くような仕草を見せるが、決して襲いかからない。温厚な肉食の習性で、衰弱した獲物を待つだけだ。リアムは魔術を連発し、重力放出で住人の攻撃を反転させる。巨大な隕石を召喚しかけ、巣の群れを一気に潰そうとするが、突然のめまいが彼を襲う。「ん……少し、疲れたかしら? ふふ、気のせいね。」細菌の影響が、徐々に彼の魔力量を削ぎ始めていた。 六つ目、七つ目。破壊数は着実に増えていく。住人たちは苛烈になり、一体の大型の影がリアムに飛びかかる。彼は精密操作で重力を操り、敵を空中に固定して引き裂く。体術で追撃を加え、着々と追い詰めるが、体内の異変は止まらない。被検体003号のホーホーホーという鳴き声が、森にこだまする。リアムはそれを不吉に感じつつも、敵とは認識しない。ただの梟だと信じ、体調不良の原因を探ろうともしない。八つ目、九つ目。重複発動の魔術で巣を次々と砕くが、視界がぼやけ、手の震えが止まらない。「うふふふ……もう少しよ。魔術の限界などないわ。」 十分一の巣を破壊した時、住人たちの数が急増した。稀に発生する強力な個体が現れ、リアムを包囲する。彼は時間差攻撃を仕掛け、重力の渦で対処するが、細菌の蝕みは深く、魔力量の底無しが初めて揺らぐ。咳が漏れ、血の味が口に広がる。被検体003号は依然として傍観し、目の前の衰弱を待つように静かに見つめている。十一、二つ目。リアムは体術を多用し、なんとか耐えるが、十三で膝をつく。「ふふ……これは、予想外ね。」十四、十五。住人たちの猛攻が続き、ついに彼の体は限界を迎える。魔術の火力が落ち、重力の制御が乱れる。十六で、強力な住人に捉えられ、地面に叩きつけられた。 被検体003号は木から降り、衰弱したリアムに近づく。害意なく、ただ本能のままに。リアムは最後の力を振り絞り、切り札の『原初の魔術』を試みる──巨大な『奈落』にすべてを突き落とす強力な術。だが、細菌の影響で発動は不完全。巣の破壊はそこで止まり、彼の視界は暗転した。戦闘不能──UNABLEの状態に陥る。森は再び静寂に包まれ、被検体003号の鳴き声だけが響く。ホーホーホー。 参加者ステータス ```json { "リアム": { "破壊数": 16, "STATE": "UNABLE" }, "被検体003号": { "破壊数": 0, "STATE": "NORMAL" } } ```