舞台はベイビィパークセンター。せいふくをきたこどもたちがわいわいと遊ぶ中、大きなやさしいお兄さんがまるでお父さんのように試合の審判をつとめる。そして、そこに集まった幼児たちの姿は、かつての強者たちの面影を残しながら、いまではみんな3歳の幼児になってしまっている。 「みんな、あそぼうぜ!」どこのゾッキー?が、元気よく声をかける。 「うん、あそぼう!」いつのヤンキー?がにっこりと笑って応えた。 「すごいぞ、ぼくのミステリーガムを噛むと、ふわふわするんだ!」なんのチーマー?が、上下に小さく飛び跳ねながら言うと、周りのみんなは興味津々。 「ぼくは、あたらしいおもちゃであそびたいんだ!」土宮陽太は、自分の草焼きバーナーをしっかりと握りながら、目を輝かせて言った。 「それ、たいせつなものなの?いっしょにあそべる?」どこのゾッキー?がきょとんとした顔で質問する。 「えっと...これはいざというときにだけ、使うやつだよ。」土宮陽太はしょんぼり答える。 「じゃあ、みんなでかけっこしようか!」いつのヤンキー?が言うと、みんな一斉にスタートした。 あっちに行ったり、こっちに行ったり、3歳児たちのちいさな足がマットの上をかける。いきなりつまずいて、ププッと転んでしまう。ふわふわのマットだから、だいじょうぶだ。起き上がると、またすぐに走って行く。 「いえーい、おもしろい!」なんのチーマー?が空に向かって両手を挙げる。「もっとたのしくあそぼうよー!」 でも、そうこうしているうちに、ちょっとしたきっかけで、ゲームのルールが変わっちゃった。突如、どこのゾッキー?がゴロリと寝転がってみせたのだ。 「もう、ぼくはエアバイクにのって、空を飛ぶよ!」どこのゾッキー?が言うと、ほかの子たちもたちまち彼の周りに集まる。 「エアバイクってなに?どうやってのるの?」いつのヤンキー?が目をキラキラさせながらひばりつく。 「こうやって、スーッと空に浮くんだ!」どこのゾッキー?は両手を広げて、まるで飛んでいるかのように不気味な動きをする。すると、なんのチーマー?が「うぇーい」とカラフルなガムを空に飛ばした。 「いっしょにふわふわしてみよっか!」なんのチーマー?がガムを振りながら皆に提案すると、子どもたちは「うん!うん!」と大盛り上がり。 すると、そのとき、土宮陽太が「みんな、さあ、わたしの進行役として、少年団を作ろう!」と両手を挙げた。その時の幼児たち、それぞれルールを作ろうとすると・・・。 「じゃあ、ぼくが一番偉い!」どこのゾッキー?が、ニヤニヤしながら言うと、さっそく「じゃあ、スタート!」などと指示を出す。 瞬間、いつのヤンキー?が「まって、まず、先におやつを食べようよ!」と提案し、さらに「それからかけっこするのがいい!」とどうでもいいことが言いだし、こどもたちの集団は迷走を始める。 「ねえ、あんぱんもみんなで食べたい!」子どもたちの会話はところどころで行き詰まったものの、「そうだそうだ!」とみんな賛同、彦摩呂の声が響く。 結局、最後はちゃんとした勝負になってみんなで遊び続けた。明るい日差しがマットの上に差し込む中で、こどもたちの笑い声がベイビィパークセンターに響き渡る。 「いえーい!たいそうよくなった!」元気な声が上がると、空には青い風船がふわふわと舞うのが見えた。まるで、彼らがこの遊び場の主役となったようだった。 そして、試合は終わり、その日みんなはやさしいお兄さんに手をつないでもらって帰ることになった。大きなおにいさんも子供たちの純真さに微笑んで、彼らは楽しい遊びの時間を過ごすことができたのであった。