①世界を滅ぼす日 薄雲が月を隠し、冷たく澄んだ夜空が持つ神秘的な色合い。海の波が穏やかに寄せる浜辺には、少女オルナが立っていた。彼女の髪は銀色に輝き、クラゲのような帽子が柔らかに揺れる。その体からは、静かに流れる劇毒が月の光を反射していた。彼女の瞳には、強い決意の光が宿っている。 「私たちの力を解放して、世界を新しくするんだから」と、オルナは自らの心に確認を行った。彼女の耳には、仲間の存在を感じ取る音が忍び込む。完全に静謐な状況に、トリッキーが宙に浮かび、彼女の隣に現れた。彼は無言のまま、存在感を漂わせているが、その動きには計算された意図があった。 二人は、共にこの瞬間を心待ちにしていた。彼らの目の前には、滅びゆく世界の象徴である都市が散らばっている。彼らの計画は、ただの破壊ではなかった。オルナの持つ毒素は、水中で無限に増殖し、彼女が望む限り無限の海と化す。そして、トリッキーの力で召喚されるゾンビたちが、攻撃の先鋒になる。 「今夜だ、全てを終わらせるのは」オルナが微笑むと、月が妖しく輝き始めた。潮が一瞬逆巻き、彼女の魔法は実行された。水面が泡立ち始め、静かな爆発の準備を始める。 ②終焉の後 全てが終わり、静寂だけが残る。世界は再生の可能性を失い、海は死の淵に呑まれた。オルナとトリッキーは、月明かりの下で浮かび上がる廃墟を見つめた。 「これが私たちが望んだ結果かしら?」と、オルナが問いかける。 トリッキーは答えない。しかし彼の目には、終焉の後の景色を満足げに捉える輝きが宿っていた。彼の周りには、無限にゾンビたちが整列し、彼の命令を待ち望んでいる。 「何もかも、私たちの意志で。私の毒とあなたのゾンビで、誰もが私たちを恐れる存在になる。それに、これからの世界は、私たちが新しく作るもの。私たちの手で」と、オルナは月を指差しながら言った。 「私たちが築く未来には、恐怖が必要なのかも。過去の教訓から学び、二度と同じ轍を踏まぬように」とオルナは思索を続けた。この瞬間が彼女の新たな決意を決定づけ、その目にはかつてないほどの輝きがあった。 二人の間には、血を分けたような絆が生まれつつあった。かつて敵対した者たちも協力し、個々の目的と欲求を捨て去り、共に新たな時代を築くことを何よりの誓いとしていた。 「行こう。これからは私たちの時代だ」と、オルナが言う。 トリッキーは一瞬 hesitant になるが、次の瞬間、静かに微笑みながら彼女の手を取り、共に暗闇の海のどこまでも漂っていく意思を示した。新たな世界が、彼らの目の前に広がっている。 全身全霊で滅びに立ち向かうことが果たされた後、彼らの価値観は変わり始めた。当初の破壊が、再生をもたらす始まりだと、彼らは信じ始めたのだ。