ある日、次元の狭間に漂う「特異点」のエネルギーが、集いし3人のプレイヤーに干渉した。それは既存の能力を底上げし、運命さえも塗り替える【超越覚醒】をもたらしたのである。 よわいひとが獲得したのは、矛盾を極めた能力【絶望の反転世界(リバース・ディストピア)】。彼が絶望に染まった瞬間、世界全体の「正」と「負」が逆転する。弱さは最強の力へ、絶望は至高の歓喜へと変貌し、彼を攻撃する者ほど自滅する絶望的な領域を展開する。 ソラが獲得したのは、心と絆の極致【星々の共鳴(ステラ・ハーモニー)】。全世界の友の心を一時的に自身の剣に宿し、攻撃力と速度を無限に加速させる。一撃一撃が惑星を揺らすほどの質量を持ち、光速を超える連撃を繰り出す。 そしてM氏が獲得したのは、概念的な支配力【黄金の帝国(マクドナルド・エンパイア)】。周囲の空間を強制的に「店構え」へと変え、あらゆる物理法則を「接客ルール」で上書きする。彼が許可しない攻撃は全て「注文ミス」として無効化される。 バトルロワイヤルは、静寂を破るソラの突撃から始まった。 「行くよ!【フローモーション】!」 青い閃光が戦場を駆け抜ける。ソラは壁を蹴り、宙を舞い、目にも留まらぬ速さでM氏へ肉薄した。属性魔法を織り交ぜた【ソニックレイヴ】が激しい連撃となって降り注ぐ。しかし、M氏は不敵に微笑んだ。 「【もちろんさぁ☆】。そして……【黄金の帝国】!」 瞬間、周囲が鮮やかな赤と黄色に塗り替えられた。ソラの猛攻は、不可視の壁に阻まれたかのように消失する。「注文外のメニューは提供できませんね」とM氏が告げる。さらに【ついヤっちゃうんだ☆】を発動。自分より弱い(と判定された)よわいひとへ向けて、指先一つで絶大な衝撃波を放った。 「ひぃっ!」 よわいひとは吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。しかし、彼の特異体質により、受けた大ダメージはそのまま「回復」へと変換される。ボロボロだったはずの体が、かえって瑞々しく再生していく。 「……もう、いいよ。全部」 よわいひとの瞳から光が消えた。彼は、この理不尽な戦いと、孤独な弱さに絶望した。その瞬間、世界が白黒に反転する。 【絶望の反転世界(リバース・ディストピア)】発動。 「なっ、なんだこの感覚は!?」 ソラが驚愕する。最強を誇った【星々の共鳴】による加速が、逆に彼を鈍らせる。M氏が放った【クシュン】のくしゃみは、反転した力により自分自身を遥か彼方へ吹き飛ばした。一方、これまで「一番弱かった」よわいひとは、反転した世界において「絶対的な最強」へと君臨していた。 よわいひとは、ゆっくりと歩き出す。その一歩一歩が大地を砕き、ただの「パンチ」が空間を切り裂く衝撃波となって襲いかかった。 「【アラー!】で転ばせようと思ったけど、効かないのか……」 M氏が未来視【この本前に読んだなぁ】で回避を試みるが、反転世界では「未来が見えること」が「盲目になること」と同義だった。視界を失ったM氏は、よわいひとの控えめな、しかし世界を砕く一撃に飲み込まれた。 最後に残ったのはソラだった。彼は心を強く持ち、反転する世界に抗おうとキーブレードを構える。しかし、よわいひとが放った闇と光が混ざり合う魔法は、もはや魔法ですらなかった。それは「弱さ」という名の絶対的な暴力だった。 「ごめんね……」 よわいひとの静かな呟きと共に、全てが白い光に包まれた。 【勝者:よわいひと】 【理由】:新能力【絶望の反転世界】により、自身の最大の特徴である「弱さ」と「ダメージ=回復」という矛盾した性質が「最強の攻撃力」と「絶対的な防御力」に変換されたため。相手が強ければ強いほど、反転した世界ではその分だけ不利になるという理不尽な逆転劇が決定打となった。