暗闇の地下闘技場 序盤:影に潜む巨獣 暗い地下室は、中世の牢獄を思わせる冷たい石壁に囲まれていた。松明の炎がわずかに揺らめき、湿った空気に金属の臭いが混じる。そこに二つの影が現れた。一人は赤白の長髪をなびかせ、白い羽織に黒い袴を纏った女性、アカネ。彼女の足元には黒の船形下駄が軽やかに響き、手には実家から拝借した宝刀、赫蘭云が握られている。楽観的な笑みを浮かべつつも、その瞳は冷静に周囲を観察していた。 「ふふ、こんな暗いところで何が待ってるんやろな。イナリ、楽しみやね?」アカネの傍らで、赤毛の小さな妖狐、イナリが尻尾をふさふさと揺らしながら跳ね回る。赤い瞳が好奇心に輝き、陽気な関西弁が地下に響く。「アカネはん、わいはいつでも準備万端やで! なんかおもろい相手出てきたら、ばりばり遊んだるわ!」 二人は並外れた機敏さと連携で知られ、互いに息を合わせるように構えた。突然、地響きが響き、闇の奥から金属の輝きを放つ巨体が姿を現した。雄牛の形をしたそれは、鋼鉄のような体躯を持ち、角が鋭く光る。『呑み込む雄牛』――その名に相応しく、重々しい息遣いが空気を震わせた。 雄牛は低く唸り、地面を蹴って突進を開始した。石畳が砕け散るほどの勢い。アカネは遊び心を交えつつ、素早く身を翻す。「来るで、イナリ! 左から回り込んで!」イナリはもふもふの尻尾を翻し、狐火のような敏捷さで雄牛の側面を駆け抜けた。二人は連携し、アカネの赫蘭云が雄牛の脇腹を浅く斬りつける。金属の体は硬く、刃がわずかに火花を散らすだけだったが、雄牛の動きが一瞬鈍った。 「硬いやんか、この牛! でも、わしの火で熱めてみせたる!」イナリが陽気に笑い、小さな青い火球を放つ。それは雄牛の脚に当たり、表面をわずかに焦がした。雄牛は怒りに吼え、再び突進を繰り返すが、二人は軽やかに回避。序盤の攻防は、探り合いのような緊張感に満ちていた。アカネの冷静な判断とイナリの陽気な援護が、雄牛の猛攻をしのいでいた。 中盤:激化する攻防と連携の妙 時間が経つにつれ、地下室の空気は熱を帯び、石壁に汗がにじむ。雄牛の突進は苛烈さを増し、角がアカネの羽織をかすめて布を裂いた。「危ない! でも、面白いわね。この硬さ、試したくなる」アカネは楽観的に笑いつつ、赫蘭云を構え直す。イナリはアカネの肩に飛び乗り、赤い瞳を輝かせて囃し立てる。「アカネはん、わしが援護したる! あの角、狙いやで!」 二人は連携を深め、アカネが正面から雄牛の注意を引き、イナリが背後から青い火球を連射。火球は雄牛の金属体を熱し、わずかな亀裂を生む。雄牛は痛みに悶え、巨体を振り回して反撃するが、アカネの機敏な身のこなしでかわされる。「ええ感じや! もっと熱くしたろか!」イナリの火が地下を照らし、雄牛の動きを少しずつ制限していく。 しかし、雄牛の硬さは侮れなかった。突進の衝撃で石畳が崩れ、二人は跳躍を余儀なくされる。アカネは刀を振るい、刃に熱を込めて斬りつけるが、深くは入らない。イナリは尻尾を膨らませ、火球の雨を降らせる。「この牛、しぶといなあ! アカネはん、一緒に奥義出してみぃ!」二人は息を合わせ、互いの力を高め合う。雄牛の体に傷が増え、金属の軋む音が響く中盤戦は、互いの消耗を促す消耗戦となっていた。 突然、雄牛の目が赤く輝き、巨口を開いた。アカネが突進を避け損ない、金属の牙に捕らわれる。「くっ……!」彼女の体が雄牛の喉元に引き込まれ、暗闇に飲み込まれた。イナリは慌てて叫ぶ。「アカネはん! 吐き出せ、この牛!」雄牛は満足げに唸り、イナリに向かって突進を仕掛けるが、彼女の機敏さでかわされる。飲み込まれたアカネの声が、くぐもって響く。「イナリ、落ち着いて……外から攻めなさい!」 終盤:呑み込みの代償と決着の炎 雄牛の体内でアカネはがくぶるう、金属の壁に囲まれ、息苦しさに耐えていた。外ではイナリが必死に火球を叩き込み、雄牛の体を熱する。「アカネはん、持っててや! わしがぶっ壊したる!」陽気さを保ちつつも、声に焦りが混じる。雄牛はアカネを長時間呑み込み続け、彼女の体に重い疲労が蓄積していく。行動が鈍り、吐き出される寸前――だが、イナリの猛攻が功を奏し、雄牛の体に深い亀裂が入った。 短時間で受けたダメージが臨界点を超え、雄牛は苦痛に吼える。体内でアカネに衝撃が走り、彼女は吐き出されて石畳に崩れ落ちるが、すぐに立ち上がる。「今よ、イナリ!」二人は連携を再開。アカネは奥義「尽焼刃」を放つ。赫蘭云に旭日の如き熱を収束させ、一閃。刃先が雄牛の亀裂に触れ、金属の体を跡形もなく消し飛ばす。イナリも「蒼球万灯」を発動。一つ一つに強力なエネルギーを宿した青い火球が、萬の如く雄牛を包み、爆炎を上げる。 雄牛の体は脆くなり、飲み込みの代償で崩壊を始める。巨体が震え、ついに膝をつき、動かなくなった。二人は息を荒げ、互いに笑い合う。「やったな、イナリ」「アカネはん、最高やで!」地下室に静寂が戻った。 戦闘の終了要因:『呑み込む雄牛』の戦闘不能