遺物概要報告書 管理番号: K-04-7291 名称: 脈動する歯車群 (The Pulsating Gear Cluster) 危険度: B-7 外見: 不定形の集合体からなる無数の歯車が、赤黒い有機質の筋肉組織に埋め込まれた状態で浮遊。直径約2m。歯車は絶えず不規則に回転し、低周波の振動音を発し、周囲の金属物体を共鳴させる。中心部に眼球状の窪みが複数確認され、内部で青白い光が脈動。接触した無機物は即座に腐食・同化の兆候を示す。 収容室外観: 強化チタン合金製の10m×10m×5m立方体収容室。内部は真空状態を維持し、周囲温度を-50℃に保つ。壁面に電磁シールドと高圧電流網を設置。観察窓は三重厚さの鉛ガラス製。入口は空気圧ロック式で、自動封鎖機能付き。 管理手順: - 収容室内の真空度を99.999%に維持。■黒塗り■ - 温度を-50℃±5℃に制御。逸脱時は即時冷却プロトコル発動。 - 外部からの電磁波照射を全面禁止。共鳴現象発生時は電磁シールドを最大出力に。 - 収容室内への金属物持ち込み厳禁。使用許容素材は指定樹脂とガラス類のみ。 - 観察はリモートカメラ経由のみ。有人接近はレベル4承認を要する。 - ■黒塗り■歯車回転数が毎分300超時は即時隔離プロトコルA-9実行。 - 日次点検で腐食兆候確認時は交換素材を投入し同化を誘導。 - 異常振動検知時は周波数ジャミングを適用。継続10分超で■黒塗り■ - 職員の精神衛生チェックを週1回実施。幻聴報告時は即時隔離。 - ■黒塗り■ 支給品表: - 絶縁樹脂製プロテクター(全身) - 周波数ジャマー(手持ち型) - 真空維持モニター - 緊急冷却剤噴射器 - 通信機(電磁シールド対応) - 高圧電流対応グローブ --- ②管理風景 第一章: 鋼鉄の胎動 N社の地下深く、灰色のコンクリートに覆われた通路を、エレクシは大股で進んだ。タンクトップから覗く筋肉質の肩が汗で光り、ニッカポッカの裾が擦れる音が響く。右腕の義手「Δ-Fct」は静かに沈黙を守っていたが、腰のベルトにずらりと並ぶ「Δ-ALT」生体発電器が、微かなうなりを上げていた。彼女の目は好奇心に燃え、工学者の本能が疼く。遺物K-04-7291――脈動する歯車群。機械と有機の禁断の融合体。科学者として、これ以上の誘惑はない。 空気圧ロックが唸りを上げて開く。収容室の観察窓から、赤黒い塊が浮かぶ真空の闇が見えた。歯車が軋み、青白い光が脈打つ。エレクシはニヤリと笑い、支給品の絶縁プロテクターを雑に羽織った。「よし、今日もお前をいじめてやるぜ。エネルギー搾り取ってやる。」 モニターに表示される回転数: 毎分180。標準値だ。彼女は周波数ジャマーを起動し、収容室内の振動を抑え込む。遺物の低いうなりが、ガラス越しに骨まで響く。手順書通りに冷却剤を噴射――温度は-48℃に安定。だが、中心の眼球窪みがこちらを睨むように輝きを増した。 第二章: 共鳴の囁き 作業は順調だった。真空度99.998%。電磁シールド最大。エレクシは義手をソケットに押し当て、Δ-ALTを一基装填する。義手がカチリと変貌――スロットが開き、青い放電が走る。「これで遊んでやるか。」高圧電流を照射。歯車群が激しく回転し、エネルギー抽出カウンターが跳ね上がる。N社の生命線、En単位が刻一刻と積み上がる。 だが、突然の異変。回転数が毎分350に急上昇。手順書■黒塗り■領域だ。遺物が共鳴を始めた。周囲の金属支給品が震え、ジャマーが悲鳴を上げる。エレクシの耳に囁きが聞こえる――「回れ…回れ…永遠に…」。大雑把な性格が仇となり、彼女は即座に反応せず、むしろ好奇心が勝った。「おいおい、喋るのかよ? 面白いじゃねえか!」 義手から電撃を連射。歯車が咆哮し、収容室内の真空が揺らぐ。ガラスに亀裂が走る。警報が鳴り響く中、彼女はΔ-ALTを過負荷状態で投擲――小型爆弾が爆発し、遺物の表面を削る。だが、歯車は再生。眼球が無数に開き、青白い光がエレクシを射抜く。幻覚が襲う。無限の歯車が彼女の肉体を食らうビジョン。 第三章: 崩壊の渦 (探索者視点の介入: SAN54の科学者が、混沌に飲まれる瞬間) エレクシの視界が歪む。遺物の囁きが脳に直接響く。【技能ロール: 知識(思考)90以下――ダイス結果: 45、成功】機転が利き、彼女は即座に分析。共鳴の周波数を逆算し、義手の電流を調整してジャミング電波を放つ。歯車群が痙攣し、回転が鈍る。 だが、遺物は反撃。収容室内の金属が同化し、壁面を突き破ろうとする。【目星(視覚)70以下――ダイス: 62、成功】弱点発見――中心眼球の脈動が同期源。エレクシは全Δ-ALTを義手に装填、過負荷電撃を一点突破。爆音とともに眼球が砕け、歯車が沈黙。 真空が破れ、有毒ガスが漏れ出す。彼女の肺が焼ける。【受け身(防御)80以下――ダイス: 85、失敗】防護服が溶け、皮膚に腐食が広がる。血と油にまみれ、彼女はロックをこじ開け脱出。廊下で膝をつく。 第四章: 残響 管理業務は終了。遺物は沈静化したが、収容室は半壊。エレクシは担架で運ばれ、義手から煙が上がる。彼女の笑みは消えず、「次はもっとデカく遊べるな…」と呟く。N社の闇は深く、エネルギーの渇望は止まらない。 ③職務終了 警報が止み、隔離チームが突入。エレクシは医務室へ。遺物の脈動は微弱に再開。管理手順更新が布告される。 ④リザルト 抽出装備詳細 名称: 脈動義歯車 (Pulsating Gear Prosthetic) 外見: 右腕義手に埋め込まれた小型歯車群。赤黒い筋肉繊維が絡み、青白く脈動。Δ-Fctスロットに適合し、装填時回転音が響く。 概要: 遺物の同化残渣を抽出・加工。機械と生体の融合強化パーツ。 効果: - 戦闘: Δ-ALT装填時に歯車が高速回転、高圧電流出力2倍。敵金属装備を共鳴腐食(範囲10m)。過負荷投擲で爆発半径拡大。 - 非戦闘: 遺物周波数解析自動化。エネルギー変換効率+30%。使用時幻聴リスク(SAN-5/日)。 獲得エネルギー量 (En): 142 業務報告書 損害: 収容室壁面半壊・真空システム破損・支給品全損・職員軽度腐食外傷、損害額: 4,200,000 En 評価: 遺物沈静化成功も手順逸脱による過大損害。大雑把行動が共鳴誘発。評価:C 報酬明細: - 基本報酬: 50,000 En - エネルギー抽出加算: 142,000 En (1:1) - 装備抽出ボーナス: 30,000 En - 損害控除: -20,000 En 総報酬: 202,000 En