螺旋の半竜と野菜王者が挑む、不可視の千剣 暗い森を抜け、薄暗い場所にある広場に集まったのは、寡黙な半竜アラベ・ネームレスと、野菜王者ベジタリアンことおざわだった。アラベは白い体毛の竜人で、強い二振りの鉈を構え、周囲を警戒している。まるで獲物を見つけた猛獣のようだった。彼の背後には、1メートルもの尾が寝そべっており、戦闘への緊張感をさらに高めていた。 一方、おざわはシュールな姿で、ボロボロのスウェットを着ていた。彼は攻撃力は皆無だが、その代わりに自らの魔力を使わずに戦う不思議なデッキを持っていた。48枚のカードには、彼が培った知識が詰まっている。どんな場面でも、ユニークかつ予測不可能な戦略が繰り出されるので、おざわが持つ価値は計り知れない。 二人は共に不可視の千剣を相手にしなければならなかった。その鹿のような姿を持つ敵は、大型の盾を浮かせながら、常に姿を消していた。彼の周囲には、厳重な認識阻害がかかっていて、確実に標的を捉えるのは困難だった。 「祈れ、風に。」とアラベは口を開いた。 「アラベ、準備は良いか?」おざわが質問を投げかける。 アラベは頷き、彼の目は真剣な色に染まっていた。 最初のアクションはおざわからだった。彼はデッキを引き抜くと、場に広げた。カードは一つ一つ、彼の周囲で光を放ち始めた。「スイートポテト、発進!」 「シュン!」 スイートポテトのカードが発動すると、周囲に甘い香りがただよい、その魅力に気を取られた敵は一瞬行動を止めた。この隙を逃さず、アラベは肉断鉈を大きく振り上げた。 「たぁっ!」 その刃が空を切ると、見えない衝撃波が周囲に響き渡る。だが、敵は彼の攻撃をなんとか逃れ、「飛燕剣」が自律的に出現した。 13本の剣が空中を舞い、互いを補いながら襲いかかってきた。アラベはその威圧感にごくりと唾を飲んだ。 「こりゃ、すごいな。」おざわが感心する。だが、無防備にはなれない。 「次は、ブロッコリー、前進!」 おざわが次に選んだカードは、強固な防御を持つブロッコリーだった。装甲のように、彼の周囲を囲み、飛燕剣の攻撃を軽減させる。「これで耐え忍ぶしかない。」 アラベはその瞬間に「竜戻」を発動させる。彼の骨格が屈伸し、より戦闘に特化した姿に変わる。彼の戦闘力は本能的に引き上げられ、周囲に圧倒的な威圧感を放つ。「行くぞ、いけ!」 「グオオォォォ!」 その瞬間、アラベは怒涛の如く飛燕剣に突進した。彼の鉈が一撃を加えるたびに、衝撃波が周囲を打ち砕き、敵の攻撃が意味をなさないものになっていく。「死ねぇ!」 周囲の土や石が舞い上がり、その隙間を狙っておざわがさらなるカードを展開した。「トマトの波、さぁ!」 トマトのカードが発動し、数多くのトマトが飛び出す。それは敵に命中し、彼を愉悦と共に包囲した。 敵はその攻撃から必死に逃れ、再び不可視状態に戻る。 「ん、隠れやがった。」おざわが不満を漏らすが、未来を予測した通り、アラベはすでに動き出していた。「やっぱり、こいつが逃げているうちは、こっちも手を打たなきゃならないな。」 「蒼焔裂消、使用!」とアラベは叫ぶ。彼の中の蒼を変換し、周囲に放射する。 それは凄まじい力を持つ攻撃で、破滅の炎が地面を溶かすように広がっていった。敵が回避する隙を与えない攻撃だ。しかし、不可視の千剣はその特異な能力で一瞬前に戻り、攻撃を回避した。 「くっ!」アラベは歯噛みした。「やっぱり、やつは手強い。」 おざわは冷静を保ち、次のカードを引く。「じゃがいも、行け!」いったいどんな効果を持っているのかわからない間に、波のように広がる攻撃が再び放たれる。 それは見えない敵に直撃することはなかったが、周囲の干渉を促し、不意を突く準備が整い始める。「今だ、アラベ!」おざわが叫ぶ。 アラベは直ちに構えを取り、次の一撃を叩き込む。「今度こそ、必ず仕留めてやる!」 「肉断鉈を持って、全力で!」 敵の回避をするアクションとは裏腹に、アラベはその先読みをしたかのように攻撃の軌道を修正させ、一発のせめぎ合いから生死を懸けた一撃を放った。 確実にその刃が肉を切り裂く閃光が見えたと同時に、「絶景」こそが相手を捉えた。周囲が明るく照らされ、敵も独自の反応を示した。その瞬間、全てが彼女に集中した。 力が収束し、破壊の炎が敵を包み込む。 「討ち取ったか!?」 だが、敵は完璧にその状況を回避し、再び姿を消した。 その静寂のなか、アラベの目には焦燥が宿る。「どうする? 時間が無い。残りの課題を終えなきゃ!」 おざわはもう一度カードを展開し、「ラディッシュ、突撃!」と叫ぶ。「全ての野菜がここに!」 とはいえ、飛燕剣の反撃が急速に近づいてくる。 それでも、カードが散り散りと分かれて攻撃していく傍ら、アラベは必死の形相で立ち向かう。「来い、来い!」とアラベは敵がもう一度現れるのを期待し、その瞬間を逃さぬように構えを取っていた。 そして、ついに「不可視の千剣」がその姿を見せた!「今だ!」 アラベの心構えが結実し、二振りの鉈を一閃。 「──決める!」 刃が不可視の千剣を捉えた。 その瞬間、「解析進捗」が上昇する音が耳に響く。 だが、次の瞬間、敵はまたもや過去に戻り、その行動の痕跡すら残さずに姿を消してしまった。「何だ、どういうことだ?」 アラベは息を切らし、腕を下ろした。 「無駄だ、完全な挑戦は終わらねぇ。」おざわは、カードを癒す術のカードを引いて、アラベをサポートする。「これが俺たちの方法だ、行くぞ!」 後に残された進捗の数字は、冴えないものだった。 --- 解析進捗: 0.2% 飛燕剣の解析進捗: 0.1% --- 1時間に及ぶ果てしない戦闘の中、二人の戦士は下手に倒れず、ただただ戦い続けるハメとなっていた。時間だけが過ぎ、果たしてこれが無駄になるか、それとも力を合わせて新たな道を切り開くのか。 どうにも分からないまま、次の果敢な行動が待たれていた。 「次こそ、絶対に勝つ!」