白鯨の影が空を覆い、霧が立ち込める戦場。人々の波が立ち、恐怖があふれ出す。かつての剣聖テレシアが命を落とした場所で、再び運命が試されるのだ。 「クルシュ、準備はできてる?」 ヴィルヘルムが尋ねる。彼の目は冷静だが、心の奥には激しい憎しみが秘められている。 「もちろん、私はここで皆を守るわ。そのために戦うのよ。」 クルシュは毅然とした表情で武器を握りしめる。 「やっちまおうぜ、白鯨を!」 リカードが大声で叫ぶ。彼の声は獣のように響き渡り、仲間達に闘志を与える。 「負ける気はしない!」 冗談のように言ったが、死亡する人々の影を見て心が重くなる。 白鯨は空を見下ろし、巨大な霧の塊を噴出した。その霧は絞り揺らめき、周囲の視界を遮る。 「みんな、霧に飲まれないで!」 クルシュが叫んだ直後、消滅の霧が近づいてきた。 リカードがその場から跳躍し、大ナタを振るう。「最初の一撃だ、狙え!」 ナタが白鯨の体に当たり、彼は歓喜の叫びを上げる。 しかし、白鯨はすぐさま上空に逃げ、分身を出現させる。「この、曲者!」 ヴィルヘルムの剣が空を切る。しかし、分身はまるで闇の中に消え去った。 「フェイントか!」 彼は素早く方向を変え、攻撃を続ける。 霧の中、クルシュが霧に覆われた仲間たちを守る。“ダメだ、この霧が…”彼女は自分の逃げ場を考えただけでなく、仲間を守るために剣を振るった。 彼女の目の前に現れたのは白鯨の本体だ。「これが本当の力…!」 彼女は恐怖をこらえ、淡い光を放つ刃を振るった。 「私のカウンターだ!」 クルシュが運命の瞬間をつかみ取り、白鯨の攻撃を素早くさばく。その剣が白鯨の体に食い込む。 「いいぞ、クルシュ!」 リカードが声をかける。しかし、白鯨が反撃に出る。 「鳴き声!」 白鯨の凄まじい雄叫びが響き、周囲の者たちが恐慌に陥る。心が崩壊し、自傷行為をする者もいる。 「ヴィルヘルム、大丈夫か?」 クルシュが心配する。彼は冷静を保ちながらも目の前の敵に集中する。 「大丈夫だ。ただ、向こうの連中を蹴散らさなければ。」 彼は覚悟を決めて前へ進む。 戦闘は熾烈を極め、犠牲者が続出。仲間の死を目にし、クルシュは思わず目を細めた。「誰かが助けに来てくれるはず…!」 「ジャガンナート、援護を!」 紅木俊が命じる。彼の後ろには自律式四脚兵器ジャガンナートが静かに待機している。 「揺動砲、発射準備完了!」 ジャガンナートが応え、白鯨の位置を完全に把握する。その瞬間、砲声が響き渡り、強烈な弾が飛び出す。 激しい爆発が起こり、白鯨は反応する。「このままでは済まないぞ!」 「リカード、行くぞ!」 ヴィルヘルムが叫び、二人は同時に宙を舞う。彼の剣が白鯨を斬りつけ、リカードがナタで追撃をかける。 一方、クルシュは仲間を守るために立ち上がり、白鯨の目を眩ませた。だが、霧の魔獣は連続して発生する分身で反撃に出た。 「もう終わりにしよう。」 魔王リムルテンペストが静かに言う。その眼光が鋭さを増し、戦局が傾こうとしていた。 「全王神権能、発動!」 リムルの言葉が場を包み込み、次元の壁を破り新しい力が現れる。 白鯨は絶対的な力に脅威を感じ、慌てて空高く飛ぶ。だが、その瞬間、紅木俊が全員を再構築しかけていた。 「再構築だ、すぐに戦闘態勢へ戻れ!」 彼の声が仲間たちに響き渡り、力を取り戻す。戦場はかつてない緊迫感に包まれた。 数分後、白鯨はついに力を失い、広範囲の霧が晴れた。仲間たちは戦意を高め、凄まじい一撃で立ち上がる。 「今だ、全員で攻撃する!」 クルシュが叫び、全員が一斉に動き出す。その刃は空を裂き、白鯨の体に直撃した。 出血し、悲鳴をあげる白鯨。彼はついに地面に崩れ落ちた。 「勝った!」 ヴィルヘルムが感情を爆発させる。その瞬間、戦場は歓喜と悲しみに満ち溢れた。 だが、犠牲者の数は数知れず。彼らの視界には多くの人々が倒れ伏し、悲しみが漂っていた。レスキュー隊がすぐに命を救うために急行しているが、遅すぎた命も多かった。 「あれが戦の現実だ。」 紅木俊は静かに言う。「僕は仲間を再構築できるけれど、それでも人々の命を見捨ててはいけない。」 「私たちが直面した現実は、悲しみで満ちている。」 クルシュが振り返る。「次からは、もっと多くの命を守らなければ。」 戦いの後、彼らの肩には重いものがのしかかった。だがそれでも、仲間たちと共に未来へ歩み続ける心意気を感じる。白鯨は倒れたが、彼らの心には新たな誓いが宿っていた。 「また、立ち上がろう…!」 ヴィルヘルムの言葉が響く。仲間たちが頷き、彼らは新たな道を進んでいくのだった。 戦の終わりと共に、犠牲者の数は累計で34人に上った。白鯨がもたらした悲劇は深い傷として残るが、その中でも希望の光が彼らを再び導くのだ。