ある日、夢の中の世界と、波濤の海の一端が交わる不思議な場所。黒夢の堕天使メアと自由を求める女海賊ラメールは、互いに着飾り、その衣装を入れ替えることになった。 青い海賊服を身にまとうメアは、いつもとは違う自分に戸惑いを感じていた。「全く、面倒くさいわね…まあいいわ…」と、青髪の海賊に向けてつぶやいた。その表情には、ダウナーな雰囲気が漂い、まるで自由を求める海の風とは真逆の存在を示している。 ラメールは、自身の艶やかな青の海賊服が、黒いドレスのメアにまとわれた姿を見ると、思わず声を上げた。「おいメア、似合ってるじゃねぇか!その黒いドレスも、まるでお前が海の暗い部分を操ってるみたいだぜ!」 「褒めてくれるの?それともからかってんの?」メアは、そのダウナーな雰囲気を崩さず、見下すように言ったが、心の中では少しだけ嬉しさがこみ上げていた。 「もちろんだ!オレが見たことある中じゃ、一番の堕天使だろ!」ラメールは、兄貴分のようにメアを励ます。「お前のその黒いドレス、生意気ながらも魅力的だ!」と呟く。 メアは手に持つ『フォールンネメシス』をじっと見つめた。「これが海賊の道具ってわけでもないみたいね。このサーベルも…どうせ何も感じやしないわ」彼女は指先で杖をかすめるように触れた。 「何言ってんだ、女海賊ってのは情熱が一番だぜ。武器なんて、その使い方次第だ!その槍だって、オレのリベリオンサーベルみたいに使えるさ!」ラメールは豪快に笑った。 「情熱なんて…つまらないわ。怠慢が一番。何もしないで働くのが最も楽でしょ。」メアは顔をしかめた。 「そうかもしれねぇけど、何もせずに濁った海にいるより、自由に航海してる方が楽しいと思うぜ!だろ?」ラメールは明るい笑顔で頷いた。 「自由って、本当に何かを得ることなの?」メアは首を傾げながら、青い衣装に包まれている自分を見つめた。 「そうだ!」ラメールは力強く言う。「オレたちは、自分の思うままに生きてる。海の向こうに何があるかは分からねぇけど、そこにはオレたちの思い描いた自由があるんだ!」 「ふーん…それで、自分が何者か見失ったりしないの?」メアはつい引っかかるように問いかけた。 「それがオレたちの魅力さ!自由を求めて、海の真ん中を突き進んで、どんな困難にも立ち向かう。それが海賊の特権だ!」ラメールは目を輝かせて言った。 その言葉に、メアは一瞬、心の奥に小さな光を感じた。堕天使としての暗闇に生きる彼女にとって、自由という言葉は重たく、どこか抵抗を感じていた。 「じゃあ、次はこのドレスで海賊をやってみる?」ラメールはふざけた調子で提案する。 メアは笑みさえ浮かべた。「嫌よ。やるくらいなら夢の中で悪夢を操ってた方がマシだわ。」 「それでも、たまには海を感じてみようぜ、メア!」ラメールは笑顔でメアの肩を叩き、彼女の心に小さな一歩を促した。二人の共通点は、「自由」を求める視点が異なることだけではなく、互いの思いを認め合い、静かに受け入れることかもしれない。 そんな会話をしながら、彼女たちはそれぞれの役割を持たない瞬間を楽しんだ。夢と海、堕天使と海賊。異なる世界の住人が、互いの衣装を纏うことで新たな発見を得ていくのだった。