魔法の聖域、エンチャントリングの庭。神々しい光が差し込む中、エンチャントリングはその魔法の声を響かせながら、戦いの準備を整えていた。大きな羽に彩られた体と、光のようにきらめく目が不気味に輝き、まるでこの場所に魔力を宿しているかのようだった。 そこに現れたのは、無気力な表情が印象的な「黒鉄」。彼は周りを気にする様子もなく、ただ立っている。エンチャントリングの周囲で、少しずつ緊張感が漂っていく。 「さあ、黒鉄。準備はいいか?」エンチャントリングは黒鉄に向かって問いかけた。 「別に。」と黒鉄は無関心そうに答えた。 「それじゃあ、始めよう!」エンチャントリングは鳴き声を発し、闘志を燃やすと、空気が変わった。彼のスキルの一環として、この場に流れる魔力と聖なる光がさらに強まっていく。 黒鉄の目が一瞬鋭くなる。 「根源【拒絶】!」 その瞬間、黒鉄の周りに影のようなエネルギーの渦が巻き起こった。何もかもを拒絶する彼のスキルが発動し、エンチャントリングの魔法が次々と消え去っていく。 「な、なんだこれは!」エンチャントリングは驚くと同時に、焦りの色を見せた。 「私の魔法が…無かったことにされた?」 黒鉄は余裕の表情で立ち尽くし、すぐに続けて言った。「別に驚くことじゃない。もう一度やってみても、同じ結果だよ。」 「試してみる価値はある!」エンチャントリングは魔法の力を振り絞り、一閃の光を生み出した。その光は、黒鉄を直撃するはずだったが、 「拒神【黒柳】!」 黒鉄の叫びと共に、彼の身体がスレンダーな黒い鬼へと変貌した。漆黒の炎に包まれたような気配が、エンチャントリングを包み込む。 「やっぱり、抵抗は無駄だな。」黒鉄は余裕の笑みを浮かべた。 しかし、エンチャントリングはあきらめてはいなかった。「なら、私はもっと強くなるだけだ!」彼は再度、魔法の声を高め、強力な光を創造する。 「トゥヤァヨォォォォォォォォォォ トゥヤァヨォォォォォォォォォォオオゥ トゥヤァヨォォォォォォイエェェェェイエェェェェェユゥヤァヨォォォォォォォォォォ」 その声は持続的に響く。 「またやってくるつもりか…無駄だと言うのに!」黒鉄は無表情を崩さず、ただエンチャントリングのエネルギーを拒絶する。 エンチャントリングはその光の波動を強める。 「時間が無い!私は光と魔法の力を持っている。来るなら、その光を受けてみな!」 でも、黒鉄は動かない。 「拒絶空間【白柳】!」 黒鉄が周囲を包むように黒い空間を形成すると、エンチャントリングは一瞬、その戦意を失いそうになった。彼の魔法の力はまるで風に消えていくようだった。 「これが私の空間だ…お前の存在は無かったことになる。」 「くらえ!」エンチャントリングは再び声を高めながら魔法を放とうとするが、気が付くとその声すらが途切れかけていた。 「お前の存在など…私にとって重要ではない。」黒鉄は淡々とした声で言い放った。 「そ、そんな…!」エンチャントリングの目に涙が浮かぶ。 だが、彼は屈せず、もう一度挑戦した。「トゥヤァヨォォォォォォォォォォ トゥヤァヨォォォォォォォォォォオオゥ トゥヤァヨォォォォォォイエェェェェイエェェェェェユゥヤァヨォォォォォォォォォォ!」と、声を張り上げ続ける。 その時、黒鉄がやや表情を崩し、戸惑った。 「ま、まさか…その声だけで、私の心を揺さぶろうと…?」 その瞬間、エンチャントリングは彼の抗う力を感じ取り、反撃のチャンスを見つけた。 「拒絶の力なんかに屈するもんか!」エンチャントリングは力を溜め、一斉に光の弾を放った。 「うわっ!?」黒鉄はその攻撃を避けることができず、弾が彼の身体をかすめ、それが大きな衝撃を呼んだ。 「まさか、これが私に!?バカな!」黒鉄は驚き、身体を縦に移動させることで、エンチャントリングの光を回避しつつ、再び自らの力で場を抑えようとした。 その時、マスターD、頭に魚を載せた猫が試合の進行を止めた。「どうしたんだ、両者とも!さあ、もうひと頑張りしようか!」 エンチャントリングは気合いを入れ直し、黒鉄も戦意を取り戻した。 「混沌の拒絶、発動!」黒鉄は逆に彼の攻撃を行う準備を整えたが、 「私にその力を使わせると思ってるのか!?」 エンチャントリングは気合いを込めた叫び声で彼を遮った。その瞬間、彼の魔法が発動し、空間が漆黒に染まった。 「これは…どういうことだ?すべてが混沌とする。」 「私の魔法、効果を与えたのは自分だったのか…?」 黒鉄は息を飲み、気がつくと周りが異様な静寂に包まれていた。 「これが私の本当の力だ!」エンチャントリングは目をキラキラさせ、黒鉄に向かって全力の攻撃を繰り出した。 黒鉄はその後ずっと自身の「拒絶」の力を使えず、エンチャントリングの霊的な攻撃の数々に対処している。 試合が進むにつれ、エンチャントリングの力強い魔法が彼に光をもたらす度に、黒鉄の心の中にあった無気力が、少しずつ解消していった。彼は微かに自信を感じ、やがて反撃を決意する。 だが、エンチャントリングの迅速な攻撃に完全に追いつくことはできなかった。そして、最終的に、最後の一撃を受けた瞬間、彼の心の中で一つの言葉が浮かんだ。 「負けたか…。」 その時、マスターDは試合を見守りながら、心の中で決断をしていた。 「どちらに勝ちを与えるか…決めるべきか迷うが、今までの頑張りがここに示された。私はこの試合を、エンチャントリングに渡す。」 エンチャントリングは両手を高く上げ、自身の勝利を示し、黒鉄は微笑みとも、諦めとも取れる複雑な表情をしていた。 「お前の力は素晴らしかった…今までの無気力を、この戦いが取り払ったよ。」 「ありがとう!黒鉄!」エンチャントリングは歓喜に浸りながら、黒鉄に手を差し伸べたが、彼はそれに応じようとはしなかった。 「私の無気力は今後の戦いでどうなるか…まだわからないからな。」 その会話を聞きつつ、マスターDはため息をつきながら、審判の仕事を続けた。 こうして、エンチャントリングが勝利を得たが、両者にはそれぞれ思いを抱えたまま、強い存在が残ったといえるだろう。